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【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り 

【注意事項】

かなり、切な系仕様です。
どうしてこうなったのか??今、自問自答してます。
閉じこもり生活のせいかもしれません。













心に雫が落ちる。
冷たく、凍り付くような温度の雫。

「もう、終わりにしよう。」

そう云って陛下は、私の唇にそっと口づけた。
そして無言のまま、背を向けた。

ドウシテ キスナンテ スルノ?
ホオッテオイテ クレレバ イイノニ。

私は何も考えられなくなって目の前が暗くなったかと思うと、そのまま倒れ伏した。

モウ、ワタシハ ヘイカノ ヤクニハ タテナイ。
ソバニハ イラレナイ・・・・・。

これだけは理解した。
あの夢のような時間は終わったことを。


***********





どれだけ経ったのか?

私の意識が浮上して辺りを見渡すと、もう真っ暗で私は寝台の上に寝かされていた。
もう要らない人間だったら、そのまま捨てておけばいいのに。
あの方の優しさが痛い。

いつか終わるってことくらい、重々分かっていた。
そんなことくらい、分かりきっていた。
なのに・・・・・・あの方に惹かれていく自分をいつしか止められなくなっていた。
心に蓋をしても、その上に重石を乗せても・・・・溢れてきた。
打ち消しても消えなかった。

だから、いつしか消すことを辞めた。
これが『恋』だということを知った。

「それでも・・・・・好きなんです。
この気持ちだけは、ずっと持っていてもいいですか?」

独りごちてみた。
返事なんていらない。
だって、これは私の決意みたいなものだから。

「さぁ、帰ろうか・・・・・・・私の本来の場所へ。」

寝台から降りて、大きく伸びをする。
私は思い切りがいい方だ。
前向きなのが、私の長所のはず。

なのに、どうして頬が濡れていくの?
どうして視界がぼやけるの?

「はは・・・・・かっこわるい。」

溢れ出す涙を止めたくて、見上げる。
豪奢な飾りのついた電灯の灯りが目に痛いほど眩しい。
暫くそのまま涙が落ちなくなるまで、ジッとしていた。
我慢するより、流してしまった方が諦めが付くから。

ようやく涙が止まった時、不意に愛しい弟の顔が浮かんできた。

「青慎に逢いたい・・・。」

そう呟くと、即座に大きな袋に荷物を突っ込んだ。
でも持ってきたものなんてそんなに無いから、準備なんてすぐに終わった。
後は、今着ている衣装を変えるだけ。
帯を解いて、ヒラヒラした豪華な衣装をスルリと脱ぐ。
下着姿の自分が姿見に映る。

「いつしか、この綺麗な衣装にも慣れていたんだわ。
始めは着慣れなくて、肩が凝ったっけ・・・。」

脱いだ衣装を綺麗に畳んで、寝台の上に置く。
そして、ここに上がってきた時の衣装を身に纏う。

これで、下町娘の汀 夕鈴の出来上がり。
これが本来の私。

「こんな夢のような時間をありがとうございました。」

李順さんから習った丁寧なお辞儀をして、大股で部屋を出て行く。
そして部屋から一歩出た私は、そのまま全速力で後宮の裏門まで駆けて行った。

もうここには未練はない。
ならば、さっさと立ち去るのみ。

「見えた!!!!」

目の前には、下町へと続く大きな門。
ここから、何度帰省しただろう。
そして何度、あちらからこの夢のような此処へ戻ってきたのだろう。
でも今ここから出たら、あちらからもうくぐることは無い。

もう一度だけ見ておこう・・・・もう見ることも無いから、見納めに。
そう思うと、後宮そしてそびえ立つ王宮のある方へ身体ごと振り返った。
そして自然と体をまげて拝礼していた。
クルリと振り返って門を見据えると、私は自分に発破をかけた。

「では、出るとしますか!急げば、夕餉には間に合うしね。」

門に取り付けられた取っ手を掴んで、力の限り押そうとした時。
背後に人の気配がした。

「誰????」

私は振り向かずに、叫んだ。
誰であっても、もう振り向かないつもりだった。
だって未練がましいから。

「夕鈴。」
「・・・・・・・・。」

この声は・・・・・・・・・耳に聴き馴染んだ、大好きな重低音の声。
私の恋した人の声。

嬉しかった。
最後に聴くことが出来て。
でも、もう私は振り返らない。

「有難うございました。」

背を向けたまま、御礼の言葉だけ返した。
早く、門を開けて出て行かないと・・・・・そう自分の心が警鐘を鳴らす。

「ねぇ、夕鈴。」

私は陛下の声を振り切って、取っ手にかけた手に力を込める。
手には汗がジットリと張り付き、自分の体温が上昇しているのが分かる。

早く、早く。
出て行こうよ。
もう終わったのだから。

心ではそう思っているのに、身体は動いてくれない。
足は地に縫い付けられたように、一歩も動けない。

そうしていると、背後で枯れ葉を踏みしめる音がした。
これは陛下が近づいてきている足音。

「僕は、やっぱり諦められない。」

そう聞えた瞬間、自分とは違う体温を背中で感じた。

「離して下さい!!」
「イヤだ。」
「もう私は貴方の妃ではないんです、ただの下町娘です。」

ジタバタともがいてもあがいても、放してくれない。
私の身体は、力強い腕の中にすっぽりと包み込まれている。

「李順は君を下町に返した方がいいと云った。始めは私もその方がいいと了承して君に解雇を告げた。
でも私は君がいないことに耐えられそうにない。私の傍にいると危険かもしれない、でも絶対に私が君を護るから・・・・だから、僕の傍にいてほしい。」

抱きしめられたまま、私は陛下の必死な声に耳を傾けていた。

陛下は、私のためを思って・・・・・・クビにしたんだ。
私は陛下の想いを理解した。

「私はどんなことがあっても、雑草のようにしぶといから大丈夫ですよ。」
「そうだね。」
「私、もう陛下にとって要らないんだと思ったんです。」
「要らないなんて!!そんなことは断じて無い!!!
だから・・・・・・・・私の傍にいてほしい。
本物の妃として。」
「本物の妃ですか?」
「そう・・・・・・駄目かな。」
「・・・・・・・・・・・・・いいえ、私でいいのですか?」
「君じゃないと駄目なんだ。」

フッと緩められた身体を、ゆっくりと陛下の方へ向ける。
裏門の取っ手を握っていた手も離して、大好きな人の腕の中に抱きついた。

「陛下、ずっと傍に置いてくださいね。
もう離れませんから。」

そう云って見上げた先に見えたものは、優しく揺れる紅い双眸だった。
私はゆっくりと微笑むと、少しだけ背伸びして陛下の形の良い唇に自分の唇をそっと重ねた。


西の空は紅く、残照が二人を優しく照らしていた。
この光景を私はきっと忘れない、恐らく一生。



終。
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おおおおおぉぉぉぉ・・・・・
目から流れる雫で画面が見えないよ~(>_<)
よかったよー・・陛下が引き止めてくれて・・・。
夕鈴の奮い立たせないと前に進めないくらい辛い気持ちが・・・痛い・・。
二人の目には素晴らしいくらいの景色が広がっていたんでしょうね
同じ景色でも一緒に見る人、そのときの感情などで全然違う風に見えますものね。
苦しい思いを乗り越えたなら尚更美しいでしょう。
涙ダダ漏れのお話でした・・・。
こんにちわ~ コメント有難うございます!!!
やっぱり、マァマ泣いちゃったのね~~
切な系はマァマが前に読んでて辛いのよ~~と云っていたから
キチンと注意書き入れてみました!!!
どうだったかな???
書いててこのままじゃいけない!!!
『これでいいの???』
『ダメよ~~ダメ!だめ!!』
セルフ突っ込み入れてました。
何とか、陛下登場!でセーフでした。
もうっっ!!!もう~~~ダメだよ~~夕鈴を手放しちゃ!!!
夕鈴はどんなことがあっても、絶対味方でいてくれるんだから!!
こんな女性は貴重なんだよ!!!
って書いてて思いました・・・・・・。
二人で見た景色。
綺麗で目に染みただろうと。
でも確かに誰とどんな景色を見るかって凄く大切ですよね。
うんうん。
コメント有難うございました~~
注意書きは嬉しかったよ!
読む前に覚悟!というか心をしっかり持って読めますので(笑)
はい、泣いちゃいました。
陛下のばかばかばかばか~~~~~~って。
何で手放すかなー!!!って。
ここに陛下がいたら正座で延々と夕鈴の可愛さ素晴らしさについてお説教ですよ。もう!
二度と手放すことは考えないでしょうけど、陛下は難儀な人だから
夕鈴が傷つくとやっぱり・・・とか考えそうですからね・・。
夕鈴からしっかり繋いでおいてもらわないと!!
陛下は・・へた・・・なんで(笑)
こんばんわ~ コメント有難うございます!!
こんな遅い時間の返信になってしまいました。
お待たせですっっ!!!
うふふ・・・・注意書きしていて良かった~~
覚悟を持てましたか~~それは作戦勝ちだわ!!!
でも泣いちゃいましたのね~~
あらま、私泣かせてしまいましたのね・・・。
いや、違うか!!それは陛下のせいでしたわね。
ホント、陛下は夕鈴のことを全く理解してない!!!
ダメダメですわ!!!
これはしっかりとダメ出ししておかねば!!
二人で正座させて、説教してしまいましょっっ
難儀なお人だね~~とこのやり取りを見ていたら
浩大あたりが云いそうだよね~~
夕鈴の為とか云っても、本当に夕鈴の為なのか??そこはそれ、よく考えた方がいいのにね~~
まぁ、彼は少しへた〇が入っているからね・・・仕方ないのかも!!
でももう離すことはないと思うよ~~
とは云っても、夕鈴の方が離れないと思う!
やっぱり女は強し!!だからね~~うんうん。
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瓔悠

Author:瓔悠

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