【約束は。】
2014年12月08日 (月) | 編集 |
【設定】

臨時妃設定 ・ 原作寄り  








贈られたものは、簪だった。
紅いザクロ石の装飾のついた・・・・・。

「陛下・・・これは??」
「夕鈴にあげるよ。」
「私にですか??」
「そうだよ。」

事もなげに、陛下は私の髪に差してくれる。
その行為は手馴れていて、私は戸惑いが隠せない。

だから訊けなかった。
どうしてこんな高価なものを私にくれるんですか?とは。




********





「李順、私はそんな事は、したくはない!!!」
「そんな事とは?」
「とぼけるつもりか?夕鈴にこんなものを渡してどうするつもりなんだ!!」
「それは、夕鈴殿に一役買ってもらうためですよ。」

李順は飄々として言い放つ。

「だって、彼女は囮役の妃なんですから・・・。」

表情を変えることなく、李順は更に続ける。

そんな事は認められない。
認めたくはない・・・・・だから、僕は反論する。
掌の中の煌めく簪を握りしめながら。

「夕鈴を囮役にする??私は、そんな事をさせるつもりは毛頭ない。
私にとっての夕鈴の存在は、かけがえのない・・・・・。」
「かけがえのない・・・・その後に続く言葉は、何ですか??」
「・・・・・・・・・。」
「云えないのでしょう、今この段階では。」
「・・・・・・そうだな。」

あのキラキラした瞳を持つ少女を幸せに出来るとは、今は云えない。
約束・・・・・・・出来ない。


いつか。
何年か先には。
未来にはきっと。

気持ちはあっても、恐らく今は駄目なんだ。


「夕鈴、ゴメンね。」

いつの間にか、李順もいなくなった部屋でポツリと呟く。

「こんな僕を許して。」

王らしからぬ謝罪。
臣下など、使える駒であればいいはず。
ましてやただのバイト妃も、替えの利くただの一駒であるはず。


でも・・・・・・・駒を駒でいさせるには
知り過ぎた。
関わり過ぎた。

笑って、怒って、悲しんで・・・・・沢山の表情を見せてくれる等身大の夕鈴。
僕にはないモノを沢山、沢山持っている。
だから惹かれた。
だから愛しいと感じた。


でも私は王であるから。
一個人の珀 黎翔ではないから。
心ならずとも、せざる負えない時もある。



「夕鈴・・・・・・お願いがあるんだ。」

簪がどうも気になるらしい夕鈴は、掌で簪を優しく触っていた。
窓越しから差し込む陽の光が、簪のザクロ石を更に赤く紅く煌めかせている。

「お願いですか??」
「うん。」
「いいですよ。」
「いいって・・・・・まだ僕は何も云ってないよ。」
「だって、私はそのために此処にいるんですよ。」

優しく、そして儚げに微笑んでいる夕鈴。
僕は心がひび割れる音を聞いた気がした。


「夕鈴!!!!」

夕鈴の腰を引き寄せ、強く・・・・・力の限り抱きしめた。

「へ、へいかっっ!!!!あの、その・・・。」
「ごめ・・・・じゃない、ありがとう。」
「はい、任せてください。」
「必ず、この国を平和に・・・そして豊かにするから。
待っててほしい。」
「待つですか?」
「そうだよ、僕の隣でそれを感じてほしい。
これを最後にさせるから。」

夕鈴・・・・君を正妃にするから。
そんな確かな約束はまだ君には伝えられないけれど、必ず叶えてみせるから。


「愛してる。」


耳元にそっと囁いて、僕はその柔らかな唇に約束の印を刻み付けた。





終。
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コメント
この記事へのコメント
No title
こんばんわ^^
やっと、落ち着いたよ。
夕方から旦那様の仕事で神戸に着いていってたのでコメが遅くなっちゃった。
そしたら、たくさん更新されててどこからコメしようか迷った(笑)
今日は楽しい時間をありがとう!
また暇してたら、モシモシしてくださいね^^息子君、早く良くなりますように^^
きゅんきゅん辛いお話・・・。
幸せなはずなのに・・陛下の葛藤・・そして陛下が何を言いたいのか察してる夕鈴が辛いね・・・。
早く落ち着いた日々を過ごせる御世にしてほしい。
李順さんん的を得た受け答えにぐうの音も出ず・・・。
陛下頑張れ!!!夕鈴を守れ!!
2014/12/09(火) 00:45:37 | URL | ママ #-[ 編集]
ママ様
こんにちわ~コメント有難うございま~す。
そしてお疲れ様。
まぁ、旦那様とお出かけだっったのですね。
仕事でなければ良かったのでしょうけど。
でも息抜きに出掛けるのはいいことだよね~~。
今日はお付き合い、こちらこそ有難うございました~
スンゴク楽しくて~鬱々な気持ちもぶっ飛んだ!!
またモシモシしようね~~
だって、あの買ってきた本の感想も述べたいし~~
スンゴク面白かったんだぁ~~
息子へのお見舞いのお言葉、有難うございます!!!
昨日は39度5分まであったんで流石にきつかったらしい~~
でも今日は38度台なので、少しはマシらしい。
まぁ、大人しく寝ててくれるのは助かります。
少し切な系の話になりました。
このお話をSNSへUPしたんです。
久々にUPが切な系ってどないねん!!って感じですが。
でも夕鈴はホントにそれでいいのか??とか思ってしまいます。
どれだけ尽くすんよ!!!とね。
だから陛下にはモノキョン、気張ってもらわねばなりません。
ホント、早く二人で幸せを掴んでほしいもんです。
それにしても・・・・李順氏は凄い。
あんなことをサラリと云ってしまうから。
でもそうでなければ、狼陛下』の側近なんて務まらないのでしょうね。
2014/12/09(火) 12:39:11 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
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