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【意味などとしての水入らず・8】 

【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り






夕鈴の家までの道すがら・・・三人の様子はと云うと、全くもって男性二人は押し黙り、相手をチラリと見ようともしない。

そんな様子に業を煮やし、夕鈴が気を遣い取り止めの無い会話を始めた。

「あっ、ここの特売大根美味しいんですよ!!!特売だからって品が悪い訳じゃなくてですね、ここのおかみさんの心意気で安くしてくれているんです!!言うなれば、損して得取れって感じでしょうか。」
「そうなんだ~~夕鈴さん、本当にいいお嫁さんに為りますよ。何なら、黄稜国に来てみます??ウチの国の男性は、家事のシッカリできる女性を好みますから。」
「そうですか~~~でも私、行き遅れ気味なんですよ~~貰ってくれる人はいるのかしら??」
「「・・・・・・・」」

男性二人の間に飛び散る見えない火花に気が付いているのかどうかは定かではないが、ははは~~と夕鈴のカラ笑いがむなしく空(くう)を飛ぶ。

何だかこれはマズイと察した夕鈴が、また勇猛果敢に二人に会話を仕掛ける。

「そう云えば、先程のガラの悪い人たちは何処に逃げたんでしょうね。女性を口説くなら、紳士的じゃないと駄目なのに・・・あの方はもっと女心を学ぶべきです!!」
「そうだね・・・僕なら夕鈴をシッカリと心地よく口説く事は出来るよ。僕に口説かれてみる気はない??」
「李翔さん・・・・・冗談はそれくらいにして下さいね。全く本気にしてしまいますよ。そうですよね~~悠さま?」
「・・・・・・・。」

し~~~~ん。

静寂が三人を包む。
如何しようもないのでそのまま押し黙ったまま、ただ夕鈴宅に向かって歩を進めるだけ。

それを屋根伝いに追いながら見ている隠密・浩大。

―――おっもしれ~~~お妃ちゃん。あの二人を会話させようだなんて無理に決っているじゃん!!あの二人、お忍び中の友好国同士の国王だってんのに!!お互いこんなところで逢うのは、御免こうむりたいのにさぁ~~~。

余りの可笑しな光景にお腹をよじらせて笑う。
それで、屋根から落っこちそうに為るくらいだから世話が焼けない。

そんな調子でおかしな雰囲気を醸しながら特段会話が弾むこと無く、夕鈴の自宅へと辿り着いたのだった。

「あの・・・・ここです。狭いところですが、宜しかったら中にどうぞ。」

いつもなら黎翔だけなので直ぐに招き入れるところだが、今日は悠も一緒ということから遠慮がちに誘う夕鈴。

「あっ、では失礼させて頂きますね。」

一言断りを入れて門をくぐる悠と、対称的に勝手知ったるでズンズン入って夕鈴を手招きする黎翔。
そんな二人に頭を抱える夕鈴なのだった。

取り敢えず、中に入って確認すると誰も帰って来てはおらず、夕鈴はひとまずホッとした。
二人に居間の長椅子に座ってもらうと、そそくさと逃げるように台所へとお茶の準備をすると断わりを入れて、離れたのだった。

居間に取り残された二人に訪れる、何とも云えない気まずさ。
これまでは夕鈴がいたから、間に入って貰っていたので感じなかったが、改めて二人きりにされるとおかしな雰囲気に包まれる。

どちらかが先に話を切り出すのか________お互い、相手を牽制していたのだった。
お互いピリピリする空気を肌で感じながら、ただ其の時を待っていた。


果てしなく続くかに思えた沈黙の時が、突如一人の乱入者によって破られた。

「あれ??李翔さん!!いらしていたんですか???姉さんが帰って来てるんですね~だから戸口の鍵が開いていたんだ~」

ひょっこり人懐っこい笑顔で現れたのは、云わずのがなこの家の住人たる青慎だった。

「ああ、青慎君、久し振りだね。元気だったかい??」
「はい!!元気ですよ。先日、姉さんが送ってきてくれた元気が出る飲みモノのお蔭か判りませんが、最近睡眠時間が少なくても元気なんです。」
「元気が出る飲みモノ??」
「はい・・・茶色の小さな小瓶に入った・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・どんな味がした?」

二人は、悠がいるにも関わらず二人だけの会話を進めていた。
青慎はただの取り留めのない会話・・・そして黎翔にとっては悠との腹の探り合いの様な沈黙から解放される為の手段である会話だった。

「味ですか????甘い様な・・・ドロッとした感じでしたよ。」
「ふうん~~そうなんだ。」

―――一体どんなものを実家に送ったんだ、夕鈴は・・・怪しげなもので無ければイイのだが・・・献上品には無かった筈、何処から仕入れたのか?あとで聞いておかないとな。

そこで会話が途切れ、初めて青慎の視界に見知らぬ人物が映し出された。

「・・・・・・あの・・・・・どちら様ですか??王宮の方ですか??」

おずおずと尋ねた青慎に、ニッコリと微笑みを返す悠。

「私は、鐸 悠と申しまして、実は黄稜国の官吏です。ひょんなことから夕鈴さんと知り合いまして、お願い事を夕鈴さんにしたんです。するとこちらに案内されたんですが。」
「そうでしたか・・・・・。」

―――姉さんの面倒見の良さが、ここまできたんだぁ~~それにしても異国の人のお願い事かぁ・・・・姉さんに務まるのかなぁ。

これ以上は悠に詳しいことを聞くことを躊躇われた青慎は、台所にいるであろう夕鈴に事情を尋ねる為に居間を後にしたのだった。


居間にそのまま取り残された二人―――また沈黙が訪れると思われたが、今度はそうはならなかった。
__________何故なら、直ぐに黎翔の吐いた大きな嘆息のせいであった。


「はぁ~~~~全く、人の良さげな一般の官吏を演じるのも存外骨がおれるものだな。」
「????」
「そうは思わないか?悠鐸殿。」
「・・・・・・・・・・あの・・・やはり黎翔殿でしたね。」
「ああ、そうだが。市井の事をみるのに、王が我がモノ顔で町を闊歩しても実情は見えはしないからな。そこで身分を偽ってたまに町に出てくるのだ。そこで、あの掃除婦の娘を耳代わりに遣っているんだ。だからあの娘や家族は私の事を『李翔』と思って接している。だから私の本性や正体は知らないから、悠鐸殿も言動には気をつけられよ。」

黎翔は、尤もらしいことを並べ立て、更に一気に捲し立てる事により、悠を納得させたのだった。
悠は、明解な回答にナルホド!!と明るい顔で黎翔のことを見ていた。
そんな悠に、今度は黎翔が彼の不可解な行動をキッカリ説明してもらおうと、目を見開いて訊いたのだった。

「では、悠鐸殿は身分を官吏と偽ってまで、ただの掃除婦を従わせ何をしようとしているのか?」
「僕は・・・・・・人探しですよ。この王都にいるはずの人物を探しているんです。それで、偶々王宮の庭園で出逢った夕鈴さんに手伝って貰っているんです。」
「そうであったのか。」
「だから、見つかるまでは王宮には戻りません。ですので酒宴は欠席させていただくかと・・・。」
「案ずるな、どうせ酒宴は開かれる事はないだろうから。私がいないと云うのに、如何やって開くと云うのだ。」
「・・・・お戻りにはならないのですか?」

黎翔は返事はせずに深紅の瞳を輝かせ、悠が未だかつて見た事のない悪戯っ子を彷彿とさせる極上な笑みを見せた。
そしてそこに汀姉弟が、盆にお茶と菓子を乗せて入って来たのだった。



続。
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瓔悠

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