【傍迷惑な歓迎・6】
2014年12月02日 (火) | 編集 |
【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り










豪奢な椅子に腰かけ肘掛けの上で左掌に顎を乗せ、右手に持った書状を見て微笑む男性がいた。
薄茶の瞳を子どものように輝かせ、窓の外を眺める。

「楽しみだなぁ~。」
「何か仰いましたか?我が王。」
「いいや、こっちの事。」
「左様で・・・・。」
「あっ、準備は整っているだろうね。」
「はい、それは勿論でございます。」
「それは、ご苦労様!後はいいよ、下がって。」
「畏まりました。」

玉座の間に集まった老高官達を退出させると、もう一度手の中の書状を眺め見る。
その書状の差出人は黄陵国の優秀な隠密からで、受取人は黄陵国の国王宛だった。
・・・・現在の王は若き王で、名を悠鐸と云う。

『白陽国、国王並びに王妃におかれましては、本日昼には我が国に入国されたし』

書状の内容に、笑みが零れてくる悠鐸。

「夕鈴さんは元気かなぁ~いや、夕鈴さんではおかしいよね。
だって僕の妹姫だからね・・・じゃあ、何て呼べばいいのかな~」
「それでは、夕姫でよいのでは??」
「朔っっ!!!!僕の考えていることがわかるの??」
「そりゃ、声に出して云えば、私でもわかりますよ。」

隣りで苦笑いしているのは、国王付き側近の朔弦(さくげん)だった。
この朔は側近でありながら悠の幼馴染でもあることから、
国王である悠に対しても容赦なく突っ込みを入れてくるのだ。

「夕姫ね~~それもいいかもしれないけどさ、夕鈴さんは僕が兄だなんて知らないんだよ。
だったら、姫はマズいよ~~。」
「そうでしたね・・・・・・でも、本当は名乗りをあげたいのでは?!」
「僕だって、そうしたいけどさ・・・・・夕鈴さんを育ててくれた岩圭さんに悪いから。」
「悠らしいよなぁ~~。」
「僕らしいって何だよ!!他人事だと思って。」
「まっ、お頑張りなさいませ!!」

そう云うと朔弦は静かに拝礼をし、玉座の間を後にした。

「全く・・・・・・・・朔はああやって楽しげに、僕を焚きつけるんだから。」

ブツブツ云いながらも悠は、嬉しさを隠すことは出来ずに自然に笑みを零していた。






その頃宿屋を後にした白陽国国王ご一行は、黄陵国への街道を馬で駆けていた。
斥候の馬が4頭ほど先行し、その後ろには方淵と水月が馬を走らせていた。

そして少し遅れて、黎翔の愛馬が走っていた。
その背には、夕鈴を乗せて。

「夕鈴、大丈夫?怖くない??」
「はい、大丈夫です!!!それよりも遠くの景色が良く見れて、馬車よりも楽しいです。」
「そう、それは良かった。」

黎翔が考えたラブラブ夫婦作戦の通り、入国する際に民に夫婦の親密さを見せつける為に夕鈴を一緒に乗馬させていた。
こんな機会はあまりない事から黎翔は始終上機嫌で、落ちないようにと夕鈴にしっかりと自分の腰に腕を回させ、自身の身体に密着させていた。
夕鈴の体温を、そして鼓動を感じ・・・・・黎翔はこの上なく、喜びを感じていたのである。


「夕鈴っっ!!!見えたよ、ほら相手国との国境地帯だよ。」
「あの大きな門ですか?」
「うん、あそこで入国手続きをするんだ。まぁ、それは先行している方淵たちの仕事だけどね。」
「ああ、だから方淵殿が先に走っていたんですね。で、そういえば私、陛下にお聞きして無かったことが・・・。」
「何だい??」
「貿易交渉国って、何処ですか??」
「相手国??」
「はい。」
「行ってなかったっけ。」

黎翔は、素知らぬ顔でとぼけてみせた。
夕鈴はウンウンと頷いて、聞いてないことを主張する。
もうここまで来たからには教えないといけないだろうと観念した黎翔は、夕鈴の薄茶の瞳をじっと見据える。
相手国の国王と同じ色の瞳を。

「黄陵国だよ。」
「え~~~~~~~~それって悠様のお国じゃあないですか!!!」
「そうだね。」
「陛下、どうして教えて下さらなかったんですか??私、また悠様にお逢いしたかったんです。」
「そう・・・・・・・(だから、教えたくなかったんだけどね)」

黎翔は、苦笑いして後の言葉を飲み込んだ。
それとは対照的にウキウキ顔の夕鈴だった。


さぁ、黄陵国。
待ち構える悠の歓迎とは如何なるものか・・・・・・・。
それは、まだ今は黎翔には全くわからない。




続。
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