【そして、その後の二人・・・】 そして一つの可能性 (幕間)
2015年01月22日 (木) | 編集 |
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臨時妃 ・ 原作寄り 


此方の話はSNSで書いていた際、ある方からのコメントで二人がイチャイチャしているところがみたいとリクがあり、書いた幕間話です。
宜しければ、どうぞ。












「そういえば、陛下に一つ重要な事を云い忘れてました。」
「なんだ、改まって・・・。」
「其れはですね。今更な気も致しましすが、夕鈴殿には手を出さないで下さいと云う事です。」
「何故だ?」

書簡をほぼ片付けて一息ついていた黎翔に、ここぞとばかり李順が釘を刺してきた。
狼の声音が、夜の静まり返った執務室に響く。
そして直ぐに聞こえてくる有能な側近の大きな嘆息。

「大体ですね―――夕鈴殿を正妃にするには、あの氾柳両大臣を始め、名だたる大臣達に認めさせないといけないのですよ。だから布石を敷いて、キチンと準備を整えないといけないのですから、まだ少し先になります。その間はお待ちくださいと云う事です!!」

李順は至極まとまな事を云っているのは、理解出来る。
それくらい解っている。

だが、それはあまりだというもの・・・・・・・・。

「しかし、もう私が夕鈴の寝室で休むことは、周りには知られている事だぞ。」
「そう、それなんですよ。一体どうしてこんなことになったのだか・・・。」

1週間ほど前のこと・・・そう夕鈴に想いの丈をぶつけたあの日から、
2日程夕鈴の部屋から出る事をしなかったからか、
侍女達も心得たものであれから毎朝の朝餉やらを2人分用意している。

侍女達も始めはかなり戸惑っていた様である。
何しろ、今まで自分達が職務に就く前には・・・正確には明け方には陛下は自身の部屋に戻っている事になっており、夕鈴の分だけ準備すればよかったのだから。

「まぁ、仕方なかろう・・・・実際、夕鈴の容体も心配だったのだから。
また急変しないとも限らないし、それが夜中だったら誰が気づくのか?
其れは夫である私しかいないだろう。」

至極当然な表情で李順を見ている黎翔だが、
実際問題夕鈴はとうの昔に危機は脱しており、
そんな理屈は通らないのである。

「では、もう夕鈴殿も大丈夫なことですし、添い寝する必要は見受けられませんが。」
「侍女達もキチンと把握しているというのに、
今更妃の部屋で休まないともなればあらぬ噂が立つのだが・・・それでもいいのか?」
「あらぬ噂とは?」
「もう寵愛は薄れただの、なんだの・・・。」
「それは昼間の陛下の夕鈴殿に対する接し方で、大丈夫でしょう~」
「しかし、男女の仲は閨での事が一番だと思うのだが。」

全く口の減らない方だ。
李順は頭を抱えて、大袈裟に溜息を吐きだしてみせる。

「兎に角『懐妊した』なんてことには、くれぐれもならないようにしてくださいよ。」

これ位しか言い様がない。
全く頭が痛い事だ。

「じゃあ、今日はこれ位で夕鈴のとこに行くからね~~。」

シッカリと小犬に切り換わった主君は、
ウキウキしながら出て行ってしまった。

「これでは、夕鈴殿も大変でしょうね。」

一人残された李順は、今しがた黎翔から受取った書簡を部署ごとに分けながら、夕鈴の受難を思い浮かべ『気の毒に・・・』と一言呟いていた。

黎翔は浮き立つ様なご機嫌気分で足が地についてない様子を醸し出しながら、
そそくさと後宮へとやってきた。
それもそのはず夕鈴に逢うのは朝餉の時以来、逸る気持ちを糧に政務に邁進していたのだから。

そして、かなり夜も遅くなっているというのに律義に待っていた夕鈴を一目見るなり、
両手を広げ胸にシッカリと抱きしめて温もりを確かめる。
これは、あれから必ずしてくる行為に未だに慣れない夕鈴は、
湯で蛸のように顔を真っ赤にして俯くだけ。
ただ、その行為自体は黙って受け入れてはいるが。

というのも、これは黎翔の心の奥底にある不安が為せる事だと知ってしまったから。
自分の腕のなかで冷たくなっていく様を感じてしまったから、殊更に温もりを確かめようとしてくる。
だから突っぱねることなど出来ないし、してはいけないこと。

黎翔は安心したのか、抱きしめていた腕を緩めそのまま長椅子へと夕鈴を誘った。
少し離れて座ると、隣りから腕が伸びてきてぴったりと引き寄せられた。
横目で見てみると、紅い・・・そう妖しく光る双眸が『さも当然』と物語っていた。
その時点で、これはきっと何を云っても無駄だと諦めた夕鈴は為されるままとなった。

「夕鈴、今日は何していたのだ?」
「まだ、安静にしていて下さいと侍医が仰っているので、
ゆっくり書物を読んでましたよ。」

ゆったりと答える夕鈴の横顔を見詰める黎翔の瞳は、
穏やかで寛いでいる様に見受けられる。

「そうか・・・。」

徐に返事をすると、そのまま片手を挙げて侍女を下げる。
どうやら、本格的に二人きりで寛ぎたいようだ。

二人きりに為った事を確認すると、
途端に纏った雰囲気がコロっと柔らかいものへと変化する。

「ねぇ、夕鈴~~~今日はとっても疲れているから、
一つお願いしたいんだけど。」
「何でしょう???」
「これは、夕鈴でないと出来ない事なんだ。」
「私でないと駄目な事??」

全く見当もつかない夕鈴は小首を傾げて、尋ねてくる。

この表情が、この仕草が堪らない。
すぐにでも・・・・寝台へ行きたくなる。
李順の言葉が無ければ・・・・・。

黎翔はじっくりと夕鈴の様子を観察しながら、表情を変えることなくあらぬ方向へと考えを巡らす。
そして夕鈴の質問には答えること無く、そのまま夕鈴の膝の上にゴロンと頭を乗っけてみた。

「!!!!」

ビックリした夕鈴は悲鳴をあげかけたが、寸での所で黎翔の掌で口を覆われ止められる。

「夕鈴・・・侍女達が来ちゃうよ。」

片目を瞑りクスリと笑う黎翔は悪戯っ子を彷彿とさせ、夕鈴は怒る気力すら削がれてしまう。
仕方なくそのままにしておき、頬を薄桃色に染めながら潤んだ瞳を宙に彷徨わせていた。
何処に視線を持っていけばいいのか解らなかったから。
黎翔はと云うと、身じろぎする夕鈴の衣から仄かに漂う甘い香りが鼻腔を擽っており、その香りに酔いしれていた。

「夕鈴・・・・そっぽ見てないで、僕を見てよ。」
「えっ?」
「さっきから、何処向いているの?」

紅い瞳が私を捜している。
逃げられない・・・囚われる。

「は・・・・・い。」

下から見上げる力強い紅い瞳とシットリした茶色の瞳が絡み合う。
そして夕鈴は、口角を上げて微笑んだ。

それに満足した黎翔は急に眠気が襲ってきた様で、
夕鈴の膝の上で欠伸を噛み殺したのだった。

「陛下・・・・・・もう、そろそろ・・・。」
「そうだね。」
「あの・・・・・・・。」

云いづらそうに夕鈴は、黎翔を見詰める。

「どうかしたの?僕にお願い事?」
「はい・・・・・・。」
「云って!!僕が出来る事なら叶えてあげるから。」

意を決したように、夕鈴は言葉を紡ぐ。

「あのですね・・そろそろ陛下は御自身の寝室でお休みになってはと・・・。」
「えっ?迷惑?」
「いえ!!迷惑なんてことは無いですけど。」
「じゃあ、このままでもいいんじゃない?」

夕鈴、ハッキリ言うのよ!!

自分を叱咤して、夕鈴は続ける。

「迷惑ではないのですが、その・・・少し恥ずかしいですし、まだ婚姻も交わしていないのですから。」
「でも、僕たちは夫婦だよ。」
「いや・・・・仮ですし。」
「え~~~仮じゃなくなったよ。」

あー云えばこー云う・・・・・・これじゃ、埒が明かない。

「あのですね、私が良く眠れないんです!!!」
「えっ??」
「陛下が、私の事抱きしめて眠るから・・・気になって眠れないんです。」
「だから・・・実はここ何日か昼間に眠くなっちゃうんです。」
「・・・・・・・・」

夕鈴の必死さに、黎翔も仕方が無いのかと考え込む。
でも、もうあの気持ちよさは離せないし。

「じゃあ今日は自室で眠るから・・・・その代わりお休みの口付けをしてくれる?」
「はい??」
「だから・・・お休みの。」
「わかりました。」

これで引き取ってくれるのならと、夕鈴は目を閉じた。
その羞恥で桃色に染まった唇に、黎翔は自身の其れを重ねてそのまま抱き締めた。

「ゴメン・・・やっぱり我慢出来そうにない!!夕鈴と一緒がいいよ。」

云い終わる前にヒョイと夕鈴を軽々と抱き上げて、寝室へと大股で歩いていく。

「もう!!!陛下、約束が違います~~~。」

夕鈴の抗議もむなしく、今宵も黎翔の腕の中で眠らされるのであった。
李順が呟いた通り・・・『お気の毒』な事になったのだった。



終。
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コメント
この記事へのコメント
こんにちは
瓔悠さま
こんにちは。1月も後半に入りましたが、いかがお過ごしですか。
このお話を読んで、本当に、李順さん、苦労性だな、と。
胃がキリキリするのも納得です。そして、陛下に翻弄される夕鈴を心配するあたりは、気遣いと、気苦労の人でもありますね。そして、すべてを超越?して自分の思うように運んでしまう陛下…。後で、李順さんと夕鈴、有給申請してもOKなのでは(笑)。
まだ、インフルエンザが流行っておりますので、お身体には十分お気をつけ下さいませ。
2015/01/22(木) 14:13:06 | URL | ぶんた #uXAM18Kk[ 編集]
ぶんた様
こんばんわ~コメント有難うございます。
そうですよね、今朝TVであと9日で2月だと言ってまして、
『ぎゃぁ~~~』と朝から叫んだ私です。
ホントに月日の経つのは、早いこと早いこと。
お話の感想有難うございます。
確かに李順サンは苦労性ですよね~~でもそれは誰が原因なのか??
それは一重にへーかとゆーりんのせいだと。
胃痛に悩まされる李順サン・・・ホントにご苦労様!と温泉旅行でもプレゼントしたいくらいです。
まぁ、へーかのあの傍若無人ぶりは『狼陛下』と呼ばれるに値します。
もし白陽国に労働組合が存在するならば、ストライキ起こされているかもしれません(笑)
しかし、李順と夕鈴の有給申請ですか。
それってスンゴク楽しそう~~
それをネタにSSSでも書いてみたいです。
そのネタいただいてもいいですか?????
そしてご心配くださり有難うございます!!!
子どもたちの学校は、12月初旬に一度インフルエンザの大流行がありましたので
いまは少し落ち着いてます。
でも油断大敵!!!!
うがい、手洗いをして、インフルを寄せ付けないようにしたいと思います。
ぶんた様もどうぞご自愛くださいませ。
有難うございました。
2015/01/22(木) 17:36:50 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
カラカラの砂漠状態から抜け出してきました(笑)
もう家族は完全に砂漠化←潤いなんてものはない・・。
いろんなことが積み重なって、今年一年どうなるのか不安・・。
一月からごたごた勃発。やば過ぎでしょ!
私も上の二人みたいにイチャイチャ潤うがあふれる生活がしたい~~!
さて、明日は早売りの日だよ。
朝一で本屋さんに駆け込んでくるからね~。
2015/01/22(木) 19:26:40 | URL | ママ #-[ 編集]
ママ様
こんばんわ~コメント有難うございます!!
砂漠からいらっしゃいませ。(笑)
・・・砂漠で迷子になって無かったですか??
カラカラの砂漠では、1杯の水も貴重ですよね。
私の書くモノが1杯の水であればいいのですが。
さて、大丈夫???
体調不良は心労からだよ、きっと。
何か昨年のウチのようだわ。
でも思い返してみれば、昨年もウチは1月からドタバタ騒ぎで、
春くらいまで色々あり過ぎて落ち着かなかった気が・・・。
でも何とか1年過ごせたし、後半には結構いいこともあった気がするよ~~
だから、大丈夫!!!!最初のごたごたは後にいいことが待っていると思うよ。
うん、元気出していこう!!!
さて明日は早売りなんだね~~
いいなぁ~~~ウチの地域は早売りの恩恵は受けられないから
恐らく土曜日でしょう~~~
でも平日しか書店には寄れないから、月曜日以降だわ。
それまでは本誌ネタバレを読んでおくことにするわ~~~
それに、今日は白泉社のコミックスの発売日でして
既刊も含めて5冊ほど手に入れてきましたから、
それでも読んで待っていることにしますわ。
それに原稿も私を待ち構えてますからね。
頑張るぞ~~~~~~
それでは、またねっっ!!!!!
2015/01/22(木) 19:59:31 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
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