07
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
12
13
14
15
16
17
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
 【約束は、叶える為にある・4】
【設定】

夫婦設定 ・ 原作寄り 







あの人って、私にとってどういう人だったんだろう・・・・・。
あの憂いを帯びた深紅の双眸が忘れられない。
私・・・もっとあの人の話を聞いていれば良かったのかしら。
そうすれば、あんな切なげな瞳をさせずに済んだの?


気が付けば、あれから瞬く間に1週間が経っていた。
―――ああ、眠れない。
今夜も眠れそうにない。

いっぱい考えても。
今更、後悔しても。
もう、きっとあの人はここへは来ない。
多分。

「ああ、こんな事なら・・・・もっときちんと聞いてあげれば良かった。
でも、今の私にとっては知らない人だし。あの時はああ言うしか・・・・」

暗い室内に響く、自分自身の声。
窓から入り込む月光は、薄暗く頼りない。
今宵の月は、その形が無くなる一歩手前。
それは、自分の心を写し取った様で。
とても切なくなってくる。

「はぁ~~~~~~」

長いため息。
それは、誰かに聴かせるものでも無く。
ただ、ため息でも吐いてないとやってられないって感じで。


「こんなの、私じゃないっっ!!うじうじしてるなんてのは、性に合わないわね。
こうして立ち止まって考え込んでいるのは、汀 夕鈴じゃないわ!」

夕鈴は寝台から立ち上がると、片手を天井に向けて突き上げる。
その握り締めた拳に決心を乗せて・・・・。

私は、自分自身の記憶を積極的に取り戻す努力をする!
そうすれば、少しは打開策も考えつくだろうし。
それに、あの人が私にとってどういう関係の人なのかも分かるはず。

「もう遅いし・・・兎に角、寝よう」

夕鈴は、寝台に横たわると静かに目を閉じた。
しかし直ぐには眠れず、何度も寝返りを打つのだった。



********



朝が来た。
夕鈴は、ガバッと寝台から跳ね起きた。

少々寝不足気味は否めないけど、
今日も几鍔のところのお店のバイトが待っている。

両手を天井に向けて、高く上げながらゆっくりと身体を解す。

「私が行動を起こさないと、私は私に戻れない!
だから、頑張らないと」

正直・・・今まで辿ってきた自分のこれまでの事を青慎にしても父さんにしても、
更には几鍔にしても訊こうと思えば訊けた。
でもそれを自分の意志で、徹底的に避けてきた。
心の奥底に眠る、得体の知れない恐怖が首をもたげてくるのを避けたかったからだ。

でも、もうそんな事は言っていられない。
ずっとこのままという訳にはいかないから。
そろそろ潮時な気さえする。

「誰に一番に訊けば、良いんだろう?
父さん?・・・いや、父さんはあまり分かっていない様な気がする。
じゃあ、青慎?・・・あまり青慎には気を使わせたくないわね。
官吏登用試験も近い事だし。
なら、やっぱり几鍔位しかいないか・・・。
まぁ、アイツは私に『いつでも力になるから』って言っていたし、
こんな時に頼るのも悪くはないか」

夕鈴はそそくさと準備をすると、いつもより早目に家を出た。
善は急げ!とも言う事だし、朝の内に几鍔に捕まえるのが得策だと思ったから。

通りは朝早くから露天商が準備を始めていて、活気が満ち溢れていた。
それを横目に見つつ、夕鈴は几商店へと足を運ぶ。
その活気に触れて勇気をもらった気持ちになった夕鈴は、足取りも心なしか軽くなっていた。

「おはようございます!!」
「あら、夕鈴ちゃん!今日は早いわね」
「あの・・・・女将さん!几鍔はいますか?」
「ああ、あの子だったら奥にいるけれど」

店先を掃いていた女将さんに出会い几鍔の所在を訪ねると、
昔からのよしみで直ぐに家の方へと招き入れてくれた。
夕鈴も勝手知ったるという具合に、ズンズンと中へ入って行った。

ドキドキする胸の鼓動を抱えて、夕鈴は自分自身に戻る為の第一歩を踏み出した。
それは、心の奥に眠る『約束』と『恐怖』を同時に抱える事になるのだった。




続く。













関連記事
スポンサーサイト
分類題名 : 二次創作:小説  *  分類主題 : 小説・文学  *  分類 : 夫婦設定
自動通知機能 : -  *  伝言 : 2  *  記事編集  *  2017年10月13日(Fri) 23時26分
このところ、更新がハイペースじゃないですか?大丈夫ですか?
すごく嬉しいです!
が、飛ばしすぎて倒れたりしないで下さいね。

1から改めて読み直してみても、
「何がどうしてこうなってるのか」
やっぱり全く想像つかない!
いろいろ気になる!!
この後ってどうなるんですかっ!!!

文頭と違うじゃんと思いつつ、
つーづーきー!

でも今回は、強い態度の陛下が出てないお陰で、
朝起きても続いてた悶々が少し収まったかも。
重ねてありがとうございます~
2017年10月14日(Sat) 11時22分       編集
みや様
こんにちは~~コメント有り難うございました
返信が遅くなりまして、申し訳ありません


実は、あの後中学校の文化祭のバザーや子ども会ハロウィン行事で
忙しくなるのことが分かっていたので
書ける時に書いておこう!!と言う感じで、更新頻度が上がっていたんですよ~~


そしてやっぱり忙しかったです。
まぁ、大きな2つの行事に加えて、ちょっと緊急事態が発生したことも
こうしてブログから離れてしまった原因ですが。


また更新していきますので
どうぞお楽しみにしててくださいませ



ふふふ。
私もどうなるのか?は、実は分かりません。
書いてても当初思っていた通りに進まず、あれ?どうしてこうなった??なんて事は多々あるので。
でもそれが書いてて楽しい!と思える醍醐味です。

なので、
さぁ、どうなる?と楽しんでいただけましたら幸いです。
・・・・・いちお、伏線とかはキチンと回収はするようにいつも心掛けてはいるので。
それが結構頭を悩ませる原因にもなるんですけどね~~((笑)


2017年10月31日(Tue) 11時19分       編集






管理者にだけ表示を許可する  
プロフィール

瓔悠

Author:瓔悠

リンク
最新記事
最新コメント
カテゴリ
いらっしゃいませ。
ごゆっくりどうぞ。
現在の閲覧者数:
カレンダー
06 | 2018/07 | 08
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
狼×嫁(うさこい)倶楽部・情報
会誌の情報についてはこちらへ 014.png 会誌の通販ショッピングカートはこちらへ 201709131130345a4.png
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム