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【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り










それは、二人にとって忘れられない重大な日。

「へいか~~~調べて来たよ。」

明るい調子で窓から声を掛けてくるのは、彼の信頼のおける隠密。

全く仕事の早い事だな、相変わらず・・・。

黎翔は、感心して浩大の報告を待つ。

「それがさぁ~~その花火の出処は、なんとまぁ下町の几商店のものだよ。
で、買い上げたのは、提案してきた大臣ではないよ~~~若い男だってさ。
几商店の跡取り息子から直接買ったらしいよ。
それが、どういう経路かはまだ解んないけど、あの大臣の手に渡ったみたい。」
「では、その大臣と若い男が通じているのか?」
「いや、それは違うと思う・・・だってさ大臣が手に入れたのは、歳のいった男性からだったらしいしさ。」
「そうか、杞憂だったのか・・・。」

「陛下?杞憂とはどういう事ですか?」

今まで黙って聞いていた李順が書簡の精査をしていた手を止め、口を挟んでくる。

「いや・・・・やはり季節外れの花火とは、いささか気になったものだからな。
何かあっては・・・と思って浩大に調査させたんだ。」
「そうですか。」
「では、その件に関しては調査終了だ。」
「りょ~~かい!!じゃあ、お妃ちゃんの所に戻るね~。」

何処までいっても底なしの明るさに黎翔は拍子抜けしながら、
浩大の立ち去った窓辺でボンヤリと外を眺めていた。

その視線の先には、忙しそうに花火の準備をしている花火師とその助手たちが立ち働いていた。
その中には黎翔と夕鈴が先日逢った秀偉の姿があったのだが、
丁度死角の位置に居たため黎翔の目には映らなかった。

その秀偉はと言うと3、4人ほどの男性と合図を送りながら、
花火師の手伝いと並行してコソコソと何かを庭先に設置していた。


「陛下・・・いい加減仕事を再開されませんと、夕刻までに終わりませんよ。
終わってもいませんのに陛下を花火見物に出すとお思いですか?
私はそれほど甘くはありませんよ。」

ずり落ちた眼鏡をそっと人差し指で押し上げながら、窓辺で佇む黎翔に力を込めて云い述べる。
それは困ると、黎翔は慌てて卓上の書簡制覇に向けて邁進するのであった。





その頃、後宮では今日の花火見物を侍女達と共に心待ちにしている夕鈴は、優雅にお茶を愉しんでいた。
そこに天井裏から「カタッ」と物音がしたのを夕鈴は素早く察知して人払いをすると、
天井を見上げてそこにいるであろう浩大に声を掛ける。

「そこにいるんでしょう??浩大?」
「当たりだよ~~最近お妃ちゃんも鋭くなった??」
「そんな事無いわよ、浩大がわざと音を立てて知らせてくれたから解ったのよ。
何かあったんでしょ!」
「やっぱ~~鋭いよ~~~。いや、大したことじゃないんだけどね。
陛下は花火見物、張り切っているみたいだよって伝えたくてさ。」
「そうなんだ、でも本当にそれだけ?」
「・・・・・・・・ねぇ、お妃ちゃん。一つだけ言っておくけど、陛下の傍は離れないでくれよ。」
「えっ?どうして?」
「いや・・・タダの杞憂で済むといいけど、あの人の勘ってイヤな時ほど当たるんだよね。だからだよ。」
「ふうん、解ったわよ。陛下の傍から離れなきゃいいんでしょ。」
「じゃあ、よろしく~~~~。」

天井裏越しの会話はそこで途切れどうやら浩大も離れていったらしく、
シ~~ンとなり元の静けさに戻っていた。





そして日が西の彼方に傾き辺りがうす暗くなってきた頃。
後宮の一室では、侍女達により普段より少し着飾らされた夕鈴が、陛下の迎えを心待ちにしていた。

そこへ陛下の訪問を静かに伝える侍女。
静かに立ち上がり、戸口まで迎えに行くと夕鈴の姿に満足気に微笑みながら佇む黎翔がいた。

「今宵の妃の姿は、いつもより艶やかであるな。これでは夜空に咲く大輪の華も霞んでしまうというもの。」
「そんな事はございません。花火の方がきっとすばらしいに違いありませんですわ。
陛下のお越しを心待ちにしておりました。」

頬を染め上げ潤んだ瞳で見つめる姿は侍女達が思わず見とれてしまうほどであり、
更にお妃様の美しさを引き立たせる自分達の仕事の素晴らしさを感じていたのであった。
彼女たちの逸品であるお妃は、そのまま陛下の手に誘われ回廊をゆっくりと歩いていったのである。

「夕鈴・・・・今日は今年夏祭りに行けなかった分、存分に見ようね。」
「そうですね、とっても楽しみです。」


後宮と王宮とを結ぶ回廊の途中には大きな庭園に続くところがあり、
今日の花火の会場はそこになっていた。
もう気の早い官吏は庭園の脇で待機しており、今か今かと空を見上げている。
丁度会場に二人が着いたのを見計らった様に日が完全に沈み暗くなった夜空に、
まずは赤と黄の大輪の華が二重にかさなるように咲いた。

「わぁ~~~~綺麗。」

到着するなりの綺麗な花火の歓迎に夕鈴は思わず大きな声を出してしまい、顔を赤らめて下を向いた。

「俯いていたら、折角の花火を見逃してしまうではないか。」

黎翔の形のいい指先が夕鈴の顎を持ち上げ、瞳を合わせると二ヤリと微笑んだ。

「左様でございますね。」

それだけ云うと、夕鈴は自分の跳ねあがった気持ちを抑え込むように夜空に咲く花火を見上げた。


その時。
後ろの暗闇から忍び寄る足音が、二人に徐々に近づいて来ていた。
でもまだ夕鈴と黎翔は花火の音に周囲の物音も掻き消されていた為か、
気付く事はなかったのあった。


『ひゅるるるるる~~~~どん』

花火は連発で上がっており、空のキャンバスを赤や青や緑、黄で染め上げ大輪の花を幾つも咲かせていた。
庭に集まった誰もが空を見上げ、歓喜の声を上げている。
夕鈴と黎翔も例外ではなく二人並んで空を見上げ、
時折顔を見合わせて瞳で会話しつつニコヤカに笑みを浮かべていた。

この花火見物は盛況のうちに終わるだろうと、きっと誰もが思っていたはずで。
まさかあの様な凶事が起ころうとは、誰もが・・・そう、黎翔でさえ思わなかったのである。


「お前が、狼陛下唯一の妃だな!!!」

背後の暗闇の中から、夕鈴めがけて言が飛ぶ。

「えっっ??誰?」

そう云って夕鈴は律儀にも振り返った。
その刹那・・・・・・相手からの返事ではなく、シュッと空(くう)を切り裂き音を立てながら手刀が飛んできた。

「危ない!!」

黎翔は素早く剣を取り出すと、手刀が夕鈴へと届く前に瞬時に地面に叩き落とした。

「夕鈴!!走れ。」

それが合図だった。
夕鈴は瞬間的に危険を察知して、明るいところに向かって走り出した。
瞬間的に後宮の回廊の方へ・・・・・・・これが運命の分かれ道であったとは、
夕鈴はこの時は全く判らず取り敢えず慣れた回廊へと走って行った。

その間も黎翔は賊に対峙しており、夕鈴が逃げ込んだのが後宮であったのか王宮であったのかまでは確認しようがなかった。
見物に来ていた官吏の多くは若い文官であったため、黎翔の邪魔にこそなれ加勢にはならない様で。
逃げまどうもの、大声を上げるだけもの、庭の植え込みに隠れるもの・・・・・誰も彼も使いものにはならない。

仕方なく黎翔は賊と対峙したまま、官吏たちに命令を出す。

「おい、そこにいる者ども!!王宮に赴き、兵を呼び寄せろ!!!」

それだけ怒鳴りつけると、黎翔は手の中の剣を煌めかせ相手の出した剣とを絡み合わせ、相手を倒そうと剣をふるった。

「陛下!大丈夫?」

背後から浩大がやって来て、黎翔と背中合わせになって賊に向き合った。

「おい、浩大!夕鈴はどうした?」
「お妃ちゃん?来なかったよ。」
「なんだと!おまえは此処を頼んだ。私は夕鈴を捜しに行く。」

黎翔はいやな予感を覚えつつも、それを頭から消し去り剣を携えたまま回廊へと走り出した。
誰に教えられるでもなく、自らの勘が教えている後宮の回廊へと・・・・・・・・。

夕鈴は、後宮奥へと続く回廊をこれ以上ない程必死に走っていた。
もう息も切れ切れである・・・こんなに真剣に走ったのは多分久々だ。
賊と対峙していた黎翔の事は勿論心配でないと云ったらウソになるが、
今はその事を考えるよりも逃げる方が先だった。
もし自分が賊の仲間に捕まったりでもしたら、陛下に多大な迷惑が掛かると理解しているから。

「走れ」と陛下の激昂した声に背中を押されて後宮の方へと走り出してしまったけれど、
良かったのかしらと今更ながら思う。
かなり中庭から離れたからと足を止め、元来た道を振り返ってみた。

誰も追って来ていない様だわ・・・・もう大丈夫みたいよね。

夕鈴は肩で息をしながらもまた走り始めたが、
走る速度は徐々に緩くなり早足へと・・・そして次第に歩き始めてしまっていた。
それでも歩く足は止めない。
まだ陛下の顔を見るまでは安心出来ないのだから・・・。

ヒタヒタ歩く回廊は、まだ両脇の灯篭が所々しか灯されていないためか辺りは薄暗い。
その為、視界はあまりよくなくて・・・・それがこの後の事態を引き起こしたのだ。

夕鈴は暗い回廊の柱の陰から人が出てきたことに、気が付くのに遅れてしまったのである。

「おい、身なりのいい女だな。お前が狼陛下の女だな。」
「捕まえたらどうなるかね~~あの狼も。」

回廊中に響き渡る声で2人の男だと言う事が判る。
その男は両手を広げ夕鈴が進もうとする先に仁王立ちのまま立ちふさがっており、
手には煌めく剣が握られていた。

「おい!なんとか云ったらどうなんだ。」
「そうだ!!返答次第によっては、俺たちの手で慰みモノにしてやるよ。」

男たちが口々にわめきたてる。
夕鈴は大きく息を吸い込み、激しく鼓動する心臓を鎮め静かに語りかける。

「此処をどこだと思っていますか?後宮ですのよ。」
「ああん?何か云ったか?」
「いいや、聞こえねえよ!!」

バカにしきった男たちの声に、次第に夕鈴は腹が立ってきていた。

「黙りなさい!!再度云いますが、ここはあなた方の様な方が入れる場所ではありません。立ち去りなさい。」

夕鈴は威厳を持って答えていた。
これには男たちも一瞬怯んだ様子で一瞬押し黙るが、
女に黙らせられたとなるのも癪だと感じたのかまた話し始める。

「怖え、女だな。さすがに狼陛下の女ってとこか。」
「そうだな。これは連れて行くのも一苦労しそうだな。」

男たちは面倒くさいと思ったのか、夕鈴を無理やり拘束しようとはしなかった。
それは夕鈴にとっても、好都合だった。

陛下は必ず来てくれる。
だからそれまでは時間稼ぎをしないと。

「ねぇ、あなた達は、何がしたいの?」

男たちと距離を取りつつ、夕鈴は話しかけてみた。

「おれたちか??さぁな~~~だっておれたちは下っ端だから知らねえよ。
ここにいて、来たやつを捕まえろって云われただけだしな。」
「そうだな~~~だから、お前は俺たちに大人しく捕まれば良いんだよ。」


男たちが、夕鈴ににじり寄ってくる。
その分夕鈴は1歩、2歩と少しずつ距離を保つように、後ろに下がる。

「おまえら、何やっているんだ!!」

また暗闇から、男性の声が響いてきた。

もう駄目かも・・・・・・逃げられない??
夕鈴はさっきの威勢はどこへやら、その場にへたり込んでしまっていた。


そして暗闇から現れたのは・・・・・・・・・・・・夕鈴は声が出なくなるほど、意外な人だったのである。




続。
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暗闇から現れた人物・・・それは?・・・・・○○~~~~っ!(笑)
陛下!全速力ですよー!
何でも卒なくこなす陛下ですからきっと、ボルト選手より速いはず!←怒られる?(焦)
息子君もお元気で、退屈してるのね。
世湯りんもゆっくり出来てるみたいだし、普段の疲れも取れたかな?
でも炬燵で転寝は風邪引く原因にもなりますから、加湿はしっかりなさってくださいね^^
これからも寒さが厳しくなるようですので、暖かくして休息してくださいね~。
続き、お待ちしております^^
こんにちわ~コメント有難うございます!!
さぁさぁさぁ~~現れたのは~~~~
と久方ぶりにドキドキな私です。
(先知ってるくせにね・・・・・私ッたら)
この話も佳境かな~~
あと5話くらいだったかな、完結まで。
暇みてUPしていくので、最後までお付き合いくださいませ。
ホント、陛下・・・・早くしないと~~
ボルトかぁ~~これが昔なら、カールルイス・ベンジョンソンだよね。
まぁ、兎に角陛下にはガンバってもらいましょっっ。
そうだね~~
私もボケボケし過ぎて、逆に疲れているかも。
でも何もする気がしない・・・・・
大掃除でもすればいいが・・・・全くする気が起こらない。
なら、引き出しの整理でも・・・とも思いますが、それもやる気が出ない!!!
実家の母からは、こんな時に書類の整理とかすればいいのに~と云われたんですがね。
な、訳で・・・ボケボケしてます。
更新も中々思うように進まない~~~
こんなはずではなかったのに~~~
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瓔悠

Author:瓔悠

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