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【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り 












夕鈴が先に歩いて行く黎翔に追いついたのは、程なくであった。

「ねぇ・・・・李翔さん。視察は滞りなく終わったんですか?」

夕鈴は、取り敢えず当たり障りのないことを話し始めた。

「ああ、面倒くさいものだったから、さっさと終わらせたよ。」
「そうですか・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」

そして会話が途切れる。
でも夕鈴はこの沈黙がどうも居心地が悪くて、どんな会話でもいいから何か話していたかった。
さっきの事を蒸し返したくはなかったから。

「あの・・・・・。」

夕鈴が別の話題を持ち出そうとしたその時、
黎翔が急に立ち止って後ろからついて来る夕鈴に歩み寄ると肩を掴んだ。

「ど、どうしたんですか???」

訳が解らずに目を白黒させて焦る夕鈴に向って、艶然と微笑んだ。


「夕鈴、誰ともまだ結婚はしないって云ったよね。」
「ええ・・・・云いましたけど、それが?」
「それじゃあ、僕の妃でいてくれるんだよね、ずっと!!」
「はい、まだ借金も返していませんからね。」
「じゃなくて・・・・・。」
「えっ?どういう事ですか?」
「ふっ・・・・・もういいよ。じゃあ、早く帰ろうよ。」
「そうですね。」

黎翔は殊更に『ずっと!!』と強調して言ったのに、全く此方の意図など夕鈴には通じていなかった。
まぁらしいと云えば、らしいのだが。
二人は並んで下町の喧騒の中を歩いていく。
知らない人から見れば、きっとお似合いの二人なのだろう。
道行く人が、黎翔と夕鈴を微笑ましく見ているのだから・・・。

どんな風に見られているなどと解らないのは夕鈴ぐらいで、黎翔は周りから注がれる視線の意味は理解していた。
それが妙に嬉しくて上機嫌になってきたのだ。
夕鈴もその黎翔の様子に気が付き、安堵の表情を浮かべた。
取り敢えず、お見合いする事を黙っていた件に関しては大丈夫みたいだと。

やっぱり、こうして下町に陛下が来るのだったら、初めからキチンと話しておけばよかったのよ。
そうしたらややこしい事に為らずに済んだのよね。一応バイトの雇い主なのだし、
仮初めではあるけれど陛下は夫なのだから、隠し事されるのはきっといい気持ちはしないよね。
うんうん・・・。

なんだか違う方向に想像を巡らしている夕鈴なのであった。
黎翔が怒っていたのは、自分に隠したまま勝手に見合いをした事なのだと
トンチンカンな解釈になっていたのだ。
この二人の想いが交差して繋がる事はあるのだろうか???


「じゃ、李翔さん。青慎に挨拶して荷物持って来ますので、ここで待っていて下さいますか?」
「ああ、いいよ。行っておいで。」

黎翔の返事と共に玄関に入った夕鈴を見送ると、青い空を見上げて大きく溜息をついた。

「なんだか、お疲れみたいっすね。」
「浩大か・・・おまえ、まさかとは思うが、夕鈴が見合いをすることを知っていたんじゃないのか?」
「・・・・・・・」

浩大は返事はしなかった。
嘘を云っても、陛下相手じゃ直ぐにバレて後で報復されそうだし、
正直に云ったら直ぐに報復がきそうだからだ。
どっちにしても同じなのだ。

「ふん、知っていたのか!!どうせ李順が私には云うなとか云っていたのだろうが・・・。」
「まぁね~」
「それで止められたの?」
「当り前だろうが!!」
「ふうん・・・これでまたお妃ちゃんの婚期が遅くなるね。」
「関係ないさ。」

人の気配がしたのか、浩大は屋根の上から巧妙に移動し姿も気配すらも無くなった。


「カサッ」

背後で落ち葉を踏みしめる音がして、黎翔は殺気ではないが余りイイ感じのしない気配を感じた。
この嫌な気配はよく知っているもので、大体誰かの見当をつけた上で振り返った。
そこには『ゲッ、やな奴に逢った』とでも云いたげな表情の、几鍔が立ち塞がっていた。

「やぁ、金貸し君。相変わらず元気だけはありそうだね。」
「煩い!!大きなお世話だ。それよりやっぱりテメーかよ、ふうん・・・。」
「やっぱりって??」
「あいつが男と町をブラついていたとか何とか、子分どもが騒いでいたからよ。」
「う~~~ん、それは当たっている様な、いない様な。」

「どういう事だよ!!!」

几鍔は当てが外れたことで、夕鈴が黎翔以外の男にも弄ばれているのでは?という危機感でつい大声になっていた。

「そんなに大きな声で云わなくても・・・・君も知っているのかな?確か夕鈴は『秀お兄ちゃん』と呼んでいた様な。」
「秀お兄ちゃんだと!!」
「そうだけど。」
「アイツ・・・いつ帰って来たんだよ。オレに挨拶一つもしねぇで。」
「えっ?知ってるの?」

丁度いいところに先程の男性の素性を知る人物に出逢えた。
・・・こんな好機見逃す筈はない。
夕鈴も云わなかったし、相手の男もそう云えば名乗らなかった。
思い出したくもないが二人で親しげに歩いている時に、
風に乗って聞こえてきたのが夕鈴が呼ぶ『秀お兄ちゃん』という声だったと云うだけ。

「ヤツはな・・・・俺とアイツにとって幼馴染だよ。名前は董 秀偉(とう しゅうい)で親父は役人だったような。それで親父さんが地方赴任になって、此処を離れて行ったんだよ。それだけだよ・・・・それがなんでアイツと歩いているんだよ。俺の所にまず来いよ、全く。」
「ふうん。」

几鍔は自分よりも夕鈴に先に逢っていたことがどうも気に食わないらしく、ブツブツ文句を垂れている。
しかし黎翔にとっては几鍔の思いなどどうでもよいことで、こんな危険な恋敵がうじゃうじゃいる下町から早く王宮に連れて帰りたかった。
あそこなら『仮』かもしれないが夫婦であり、誰も邪魔立てしようと思う恋敵なんていやしないのだ。

「そういや、テメーはまたアイツについて来たのかよ。酔狂なやつだよな。」
「今回はついて来たのではないよ、迎えには来たんだけどね。それに夕鈴はお見合いだったって事だし。」

黎翔は、またここで几鍔にとって爆弾と十分為りうる発言をする。

「お見合いだと?誰が?あっ、アイツがか?」
「そうらしいよ。その君たちの幼馴染君とやらとね。」
「それでどうなったんだよ。」

几鍔にとって二人は幼馴染で知己であることからか?
はたまた別の理由なのからか?
どうやら気になるらしいのだ。

「どうなったも何も・・・・何故僕に聞くのかな?直接夕鈴にでも聞けばいいじゃないのかい?」
「アイツが大人しくしゃべると思うか?」
「思わないな。」
「だろうが!!だからテメーに聞いているんだよ。」

几鍔は中々話さない黎翔に苛立ちを覚え、足を地面に何度も踏んでは上げてを繰り返しバタバタ音を出していた。
これ以上は厄介だし夕鈴が今出てきたらまたひと悶着ありそうだから、
さっさとこの場から離れてもらおうと話してやることにした。

「ああ、夕鈴は断わったよ『今は誰とも結婚する気はない』とね。」
「そうなのか。」

几鍔は黎翔に見られないように隠れて溜息を一つ吐いていた。
その溜息の意味はどういうものであったのか。

「兄貴~~~~~あっちで喧嘩らしいっす。」

子分の一人が慌てて几鍔を呼びに来たことから、話は此処で終わることになった。
別れ際、几鍔は黎翔に釘を差していた。

「おい!!アイツは弄ばれることには鈍感で気が付かないのだから、
アイツが泣いてこの下町に帰って来た時には承知しないんだからな。
それは肝に銘じておけよ。」
「そんな事云われなくても、弄んでいるつもりなんて全く無いよ。」
「なら、いいよ。じゃあな。」

几鍔は呼びにきた子分と共に、下町の平和維持のために風の様に駆けて行った。
そして程なくして夕鈴は玄関から現れた。

「お待たせしました。誰かと話していませんでした?」
「いや・・・・・・誰とも話してないよ。」

几鍔と話していた事は、夕鈴には伝えなかった。
これ以上、夕鈴に自分以外の男性の事を考えて欲しくは無かったから。

「夕鈴・・・・お父上は?」
「いつも通り、出掛けたままで居ませんでしたよ。
だから、結果だけは青慎に伝えてってお願してきました。では帰りましょうか。」
「そうだね。」

二人はまるで恋人同士の様に並んで歩き、王宮を目指した。




続。
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私もその恋人同士のようなお二人を下町のおばちゃんでいいから見守りたい・・・・。
陛下の<ずっと!!>を完璧スルー・・・。
ゆ、夕鈴それは一応・・プロポーズ・・・??かな・・・。陛下・・・(笑)
陛下玉砕(笑)
王様を玉砕させることが出来るのは夕鈴だけだよねー^^
王様だったら一言で終わりだものね
陛下の難儀が面白過ぎるよね^^
こんばんわ~コメント有難うございます
私も仲間に入れて~~~
見たい!!!!後ろからこっそり、いや堂々と見たい!!!
商店の売り子でもいいから~~
夕鈴の超鈍感が炸裂!ですね。
ここまで鈍感だともう罪です!!!
可愛いのを通り越して、『こら~~』と叱りに行ってきます!!!
へーか、頑張ったのにね~~
もう可哀想です。
でも頑張れ!!へーか!!!
うふふ・・・続きUPしてるからお時間のある時にどうぞ~~~
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瓔悠

Author:瓔悠

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