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【設定】

夫婦設定 ・ 原作寄り 





そよそよと心地良い風が、開け放った窓から吹き抜けていく、初夏の夜。
昼間はそこそこ暑かったりもするのであるが、
夜は別で結構涼しいを通り越して肌寒かったりもする。

ここは白陽国後宮の一室。
狼陛下の唯一が住まう愛の巣。

「夕鈴・・・このままだと風邪をひいてしまうよ」
「・・・うぅ・・・ん」
「眠いのは解るけど」
「・・・・・・・・」

静かな寝息。
コテンと預けられた頭顱。
自分の肩にそっと掛かる重さ。
これは幸せな重さ。
ハラリと滑り落ちてくる薄茶の髪を一房とって、唇を寄せる。
スンと髪から薫る甘い香りを胸一杯に吸い込んで、
そっと吐き出した。

それは、今まで得られなかったもの。
手を伸ばしても、掌から零れていってしまっていたもの。
初めから無かったもの。

だけど、今はこの手の中である。
それはただの日常の一風景なのかもしれない。
でも、それは自分にとっては非常に得難く・・・・手放せないもの。

「ほら、夕鈴」
「うう・・・・・ん、もう少し・・・・このままで」
「ダメだよ。
さっきから何度もそう言っているよね」
「でも・・・・・眠く・・・・て」

クスリと微笑んでしまう。
答える言葉が途切れて、寝息に変わる姿が愛しくて。

「全く、困ったお嫁さんだね」

頸と膝に両手を差し入れて、そっと抱きかかえて、立ち上がる。
不意にきた浮遊感が少し心許なく思えたのか、
僕の首にしがみついいてくる柔らかな両腕。

本当に可愛い人だ。
これは誰にも渡せない、見せたくない僕だけの宝珠。

「さぁ、夕鈴・・・・・寝所に行こうか」
「・・・・・・・」

完全に寝入った夕鈴には聞こえていないみたいで、
返事は無い。
でも口元は柔らかく微笑んでいる。

今、僕は幸せを感じている。
これが、欲しかったんだ。

だから―――。
絶対に―――。
この手を離さない。
何があっても。


「夕鈴、愛してる」

ポツリと囁いた言葉は、きっと夕鈴には聞こえてないだろう。
でも、その揺蕩う微睡みの中で感じてくれていればいいのだけれど――――。




終。






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瓔悠

Author:瓔悠

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