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【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り






二人は通りを歩きながら、店主に貰った串団子を美味しそうに頬張っていた。
美味しいものを食べている時の顔は万人共通で、二人の表情はニコニコホクホク顔だった。

「美味しいですね。」
「そうですね!ホント店主さんに感謝しなくっちゃ。」

食べ終わると夕鈴は人探しを始めるべく、悠を引っ張って下町の章安区へと向かったのだった。
そして先ずは、人が集まり情報も得やすい飯店に行くことにした。
あそこは明玉が働いているので本当は一番避けたいところであったのだが、下町で一番大きな飯店だから仕方が無い。

「あの・・・こんにちは。」
「あら、夕鈴ちゃんじゃないの!!!今日は休みかい??でも残念だね~~明玉ちゃんなら今日は休みなんだよ!!」

―――はぁ~~~~良かった!!運がいいわ~明玉休みで!!突っ込まれなくて済みそうだわ。

夕鈴は悠を日当たりのよい窓辺の席へと案内した。
二人は向き合い、お品書きを見て店員さんを呼ぶ。

その様子を二人が店に入ってきた時から、鋭い眼光を放ちながら見詰める人がいた______。

その人は暗い色の外套を頭から被り、一人座って渋い顔でお茶を飲んでいる。
眼鏡越しに光る瞳の色は、とても珍しい深い紅色であった。

―――夕鈴を見つけたはイイが、あれは・・・・・・悠鐸殿ではないか!!消えた官吏とは悠鐸殿。一体何故?夕鈴と?

そう、夕鈴を遠目で見詰めていたのは黎翔であり、黎翔なりの考えをもっての事だった。
夕鈴が消えたのが黄稜国の官吏と一緒だとのことだから、安易に実家に連れて行くとは考え難く、先ずは下町でご飯でも食べているのではないか?と予測してここにやって来たのだ。

それに茶館を直ぐに出てしまったようだから、茶館には入りはしないだろうと飯店を選んだのだった。

あそこで浩大が逃してしまわなければそれが一番良かったのだが、ここで見つけられたのだから良しとしておこう。

「さて・・・どうやって声を掛けるべきか?」

黎翔は、相手が相手なだけに慎重に為らざるおえない。
自分の小犬本性がバレルのも困るし、狼でもこの場にはそぐわない。
如何すればいいのかと考えを巡らせていたら、背後に身に覚えのある気配を感じた。

「これは、陛下ではないですか。」

黎翔にしか聞えない小声で話しかけてくるのは、下町で密かに色々探らせている徐 克右だった。

「おまえは・・・全くいいところに現れる。」
「何かご用向きがお有りで??」
「そうだな、あそこにいる娘に此方に来てもらえるように伝言を頼みたいのだが。」
「それは容易い御用で!!でもあの娘さんは確か陛下の『耳』では?」
「そうだ!!余計な詮索はしなくていい。つべこべ云わずに頼んだぞ!!」
「御意。」

黎翔は外套を更に目深に被って、様子を窺うのだった。
徐 克右は、黎翔にマジマジと観察されているとは気がつかずズンズン夕鈴達の卓に近付く。

「あの・・・お久しぶりですね。」
「・・・あっ、徐 克右さん!!!どうしたんですか??またお仕事ですか?」
「まぁ、仕事と言えば仕事に為る・・・のかね~~。」
「???」
「まぁ、こっちの事!!それより、あそこにいる人からの伝言!!『ちょっと来て欲しい』んだってさ。」

夕鈴が『あそこ』とやらに目を向けると・・・正確に云うと夕鈴の真後ろ後方であるが、其処には不自然に外套を被った見覚えが大有りの人物が座って此方を窺っていた。

「へっ・・・・いや、李翔さん・・・ですよね。」
「???あれは、へい・・。」
「克右さん、その先は言わなくていいデス!!解りました、直ぐに行きます。」
「じゃ~~俺は行くので・・・あとは頼みましたよ~~。」

徐 克右は野性の勘みたいなものでもって、この先の雲行きが怪しい事を察知しそのまま店の外に出たのだった。
夕鈴はノロノロと椅子から立ち上がり、悠にこのまま待っていてくれるように頼むと黎翔の傍へと近寄って行ったのだった。

夕鈴は大きく嘆息を吐きながら、指定された卓に近付いた。
近くなればなるほど、外套を被った人物の存在が大きくなり黎翔であることは明白だった。

「あの・・・・・・・。」
「・・・・・・・・夕鈴。何してるのかな?」
「それよりも、李翔さんは、どうして此処に??」
「ねぇ、夕鈴。君と同行している男性が何者なのか、知ってるの?」
「李翔さん、何をしにこの下町に来たんですか?」

二人の会話はお互いが聞きたい事だけを言っているので全くかみ合わない。
いつまで経っても進まない会話に業を煮やしたのか黎翔はキチンと話をする必要性を見い出し、夕鈴を自分の前の席へと勧めたのである。
そして夕鈴もここで事を荒げる事は避けようと、そのままゆっくりと腰掛けたのだった。

坐る間際に、一人にしたままの悠が気に為り夕鈴が振り返って見たのを黎翔は見逃しはしなかった。

―――ソンナニモ悠鐸殿ガキニナルノカ??

黎翔の中に嫉妬という黒い感情がふつふつと湧いてくる。
無意識に・・・・・そして無自覚に・・・・。

―――夕鈴にはキチンと誰の妃で有るのかを解らせておかないと・・・そして同行者の正体も教えないとな。それにしても悠鐸殿は何故、夕鈴とあんな恰好で此処をフラフラしているのだろうか?

黎翔には解らない事だらけで、夕鈴に詰め寄りたくなるのを寸前で抑えている。
そして、卓についてふっと息をついた夕鈴が先に口を開く。

「あのですね・・・・先程も聞いたと思いますが、ど・う・し・て・ここに李翔さんがいるのでしょうか?」
「・・・・・・・・・・・」
「そこで押し黙らないでください!!」

夕鈴は周りに聞こえないように頭を突き出し、黎翔に詰め寄る。

「だって・・・・・・夕鈴があんな書き置きして、黙って出て行くから、何か有ったんじゃ?と心配で探すに決っているじゃないか!!」
「・・・・・・・・・・・・」

黎翔の尤もな云い様に今度は夕鈴が押し黙る。
その様子に黎翔は更に続ける。

「このまま、僕と帰るよ。」
「帰れません!!」
「なんで?」
「だって!!約束したから・・・」
「約束?」

夕鈴はそこで一旦振り返り、悠を見詰める。
黎翔も反射的に夕鈴の視線の先を追う___________そこには、一人で窓の外を眺めながらお茶を飲んでいる黄稜国国王がいた。

「だって!!悠さまと人探しを手伝うって約束をしたのだから、まだ見つかってもいないのに、帰れません!!」
「夕鈴、あそこにいる同行者がどう言う人物か解っているのか?」
「???黄稜国の官吏の方でしょ・・・」
「あれはね・・・・・・・・・・・・」

黎翔が同行者の正体を暴こうとした其の瞬間。

「きゃ~~~~やめて下さい。離して~~」

店の表で明らかに若い女性の悲鳴が響き渡ったのだった。
その声に呼応したのは夕鈴。
即座に椅子を蹴倒して、表に出ろうとする。

店内にいる大人達は厄介事に巻き込まれるのは御免こうむると、俯いて静かに食事を続けている_____________あたかも何も聞こえないととでも云う様に・・。

「夕鈴!!」

黎翔は出て行く夕鈴に遅れはせぬと、そのまま呼びかけて店から出たのだった。
そして二人は気がついてはなかった_____その二人の後を悠がこっそり付いて行った事を。



続。
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瓔悠

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