≪ 2017 07                                                2017 09 ≫
 - - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 - -

【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り 










「うわ~~~~~~なんなの、これは~~~~。」

思わず大声で叫んでしまい周囲を見渡すがしーーんと静まり返っていて、
誰もいなかった事を思い出し安堵する。

久し振りの青慎からの手紙・・・・嬉しくてじっくり読みたくて、
侍女の方々に少しの間一人きりにして欲しいとお願いし下がって頂いていたのだった。

「どうしよう~~~~どうしてこんなことに???困ったわ・・・・。」

開いて読み進めていた文面に驚いて叫んだ後は一応落ち着いたのだが、
余りの困惑に独り事をブツブツ呟くだけで、いい案が浮ばない。

そう、またしても・・・・父が至らぬ厄介事を押し付けてきたのである。
厄介事とは、あまり考えたくもない縁談話である。

手紙にはこう綴ってあった。

『姉さん、近く休暇をもらえないですか?
父さんからの伝言ですが・・・出来れば早めに休暇を取って帰って来て欲しい、
逢わせたい人がいるから・・・との事です。
これでは何の事か解らないでしょうから、僕がよくよく聞いてみると逢わせたい人とはどうやら縁談相手らしいのです。
僕ではどうする事も出来ません・・・姉さん、兎に角早く帰って来てください』

大好きな愛すべき青慎が困っている、これは実に緊急事態だ。
早く帰省してあげなければ!!

しかし、縁談ねぇ~~。
先だって開催された華装会の時に父さんにはキチンと『当分結婚なんてするつもりはない』
(例え結婚したいとしても、借金モチの私は出来ないというのが正しいが)という事を言って、
意思表示はしたはずなのに、如何してこんなことになっているというの?


はてさて、これは手紙のやり取りぐらいでは到底解決しない問題の様だ。

きっと私が断固として『イヤだ』と断わったとしても、どうしても断われない相手の息子さんだの何だので、結局行かないといけない状況になるのは目に見えている。
それなら、ジタバタしないで逢うに越した事はない様に思える。

ただ、困った事は一つのみ。
どうすれば陛下がついてくるという状況に陥らないかだ。
阻止する方法・・・・これが中々難しい。
今まで何度となく巧みに王宮を抜けだしついて来られたのだろうか?
考えただけで頭が痛い問題なのであった。


「さて、どうすればいいのかしらね。」

夕鈴は誰かに相談するとかいう事は全く思いつかずに、
一人でいい方法がないのか真剣に模索していた。

「はぁ~~~当面の問題はやっぱり陛下なのよね~~。」
「陛下がどうしたって?」

神出鬼没の浩大が侍女が居ない事を把握していて、天井からヒラリと降りてくると直ぐさま卓上のお菓子を摘まむ。

「このお菓子美味しいね~~~。あっ、ゴメン!!お妃ちゃん、お茶くれるかな?」

全くチャッカリしている隠密である。
黙ったままお茶を入れ差し出すと、美味しそうにゴクゴク喉を鳴らして一気に飲み干し満足気な顔をする。
ひと心地ついたところで、浩大は本題に入ってきた。

「美味しそうなお菓子が目に入ったから、質問が途中になったんだけど陛下がどうしたって?」
「えっ、私何か言ってた?」
「言ってたよ~~『問題は陛下』だとかなんとか。口に出して言っていたの気が付いてなっかったんだ。」
「気が付かなかった!!」

自分が独り言を云っていて、浩大に聞かれていただなんて思いもよらず恥ずかしさで一杯になる。

「はぁ・・・・浩大に言ってもねぇ~どうこう出来ることじゃないし・・・。」

溜息交じりで曖昧に答えた。

「いいじゃんっっ!!軽~~い気持ちで言ってみれば!!」
「ふう、そうね・・・・・・じゃあ話すけど、実は私緊急に帰省したいの。
それはキチンと李順さんにお願いするからいいんだけど・・・ただ今回は。」

その先はちょっと云いづらくて、言葉が途切れる。
すると浩大はうんうんと頷いて、ズバリ夕鈴が云いたかった事を当ててくる。

「今回は、陛下について来て欲しくないんだろ?」
「ええっっ、どうして解ったの?」
「だってさ、お妃ちゃんの顔に書いてあるよ。ホントに素直だよね。」

浩大にも言われてしまった。
わかっている・・・_私は隠し事など、出来ないという事を。

「そうなの・・・今回は、絶対について来てほしくないの。
どうしよう、どうしたらいいと思う?浩大。」

もう夕鈴はなりふり構わない処まできているようで、全く関係のない浩大に助言を乞うていた。
夕鈴の尋常ならざる困り方に浩大もからかう表情が消え、どうすればよいかを真剣に考え込んでいた。

しばし考えた後、一つの提案をしてみる。

「じゃあさ、その帰省の日に陛下がこの王宮から出て行ってもらっていたらいいじゃん。」
「どうやって?」
「それはオレっちに任せておいてよ。先ずは李順さんと帰省する日を先に決めてよ。」
「解ったわ。」

少し胸のつかえが取れたかの様に、夕鈴の顔は晴れやかになっていた。
そして浩大を置き去りにして、李順のいる執務室へと向かった。


「陛下はいらっしゃらないのですね。」

執務室には李順さん一人きりで、この部屋の主である筈の陛下の姿は無い。

「陛下でしたら浩大と庭園に出向いておられますが、陛下に何かご用ですか?」
「いえ!!」
「そうですか、浩大が珍しく陛下に見てもらいたいモノがあるからと、連れて行ってしまったんですよ。どうしても今じゃないとマズイと云いながら。」
「そうなんですね。」

陛下が居ないなんて私にとっては好都合というもの、だって陛下の前で話せる話ではないから。
それにしても、浩大は気を使ってくれたんだわ。
陛下を上手く連れ出してくれてたなんて。

「あの・・・・・実はですね・・・・お願いが有りまして・・・・。」
「夕鈴殿、立ち話もなんですから。」

私が云いづらそうにしているのを見かねたのか、椅子を勧めてくれ更にお茶まで出してくれた。
差し出されたお茶を一口飲み、落ち着いたところでつとつと話し始めた。


「あのですね、実家で緊急事態が有りまして、至急帰省したいのですが・・・。」
「緊急事態とは?」
「はい・・・・・その・・・実は父が持って来たというか、断れなくて仕方なく持ち帰ったというか・・・見合い話がきてしまって。でもヒョイヒョイ帰省するのは、バイトの身としては大変心苦しいのですが。」

夕鈴は申し訳ないと何度も頭を下げる。
その様子に李順はかなり追いつめられている事を感じ取り、安心させるように返答をした

「随分とお困りの様子ですね。いいでしょう、休暇を差し上げます。」
「有難うございます!!ただですね・・・。」
「陛下の事でしょう・・・解りました。ああ、だからあの話になったんですね。」

一人頷く李順に夕鈴は訳が分からず、目が点になる。
その様子に気が付き、手をヒラヒラ振る。

「いえ、こちらの話ですよ。ああ、それより陛下の事は気になさらなくても大丈夫です。
恐らく夕鈴殿が休暇の頃にはこの王宮に居ませんから。」
「えっ?それって浩大も言っていたけど・・・。」
「ああ、浩大が言ってましたか?では休暇には色々準備もあるでしょうから、2日ほど差し上げます。でも、申し訳ありませんが1週間程待って下さい。いいですね。」
「はい、解りました。」

夕鈴は、浩大が自信ありげに云い切ったのには李順さんの協力も仰ぐからだと初めて理解した。
これなら陛下が付いてくるような事態にはならないと一安心し、執務室を後にしたのであった。


夕鈴と李順が密談をしている正にその頃・・・・・浩大に無理やり連れ出され少々ムクレながら、歩いている黎翔。

「おい、何処に連れて行こうと言うのだ!!全く私は暇人ではないのだぞ。
早くつまらん政務なぞ終わらせて、愛しき妃とゆっくりと過ごしたいモノを・・・。」

黎翔の文句を全くモノともせずに、軽く聞き流しながら歩く浩大はある意味剛胆である。

「浩大、聞いているのか?何処に連れて行くんだと云っているだろう。」
「はい、ここだよ。オレがアンタに見て欲しいモノが有る場所は・・・。」
「此処か?ここは備蓄倉庫だが。」
「そう、まさに此処なんだよ。」

浩大は何処から拝借してきたのか、倉庫の鍵を指でクルクル回しながら扉に近づき鍵を開ける。
更に重い扉を押しあけた上で、手招きをすると黎翔を呼びつける。

「見てみてよ、この中のモノを・・・。」

広い倉庫内に入ると、うす暗い倉庫には所せましと緊急時の為の食物が置かれてある。
それを見ても、緊急時に十分事足りるほど備蓄されている。

「いや、これじゃないよ。あっちのほうだよ。」

浩大が、更に奥を指し示す。
ここからではよく解らないので、移動して確認してみる。

確かここには、緊急時用ではないが国賓の為の高級食材があるはずである。
うず高く積まれているはずの物資が思ったよりも少ない。
最近国賓はこの白陽国に招いていないので、使用されてはいない。
だったら、こんなに少ないことは有り得ない。

「これはどういう事だ、浩大。」
「俺も最近、知ったんだけどね。どうやら先の担当だった高官が、物資をせしめて換金してしまってたらしいんだよね。それもかなり前から少しずつ・・・でもこの前の異動で此処から外されたので、最後にごっそりと持って行ったらしいよ。でも書類上は廃棄処分としてしまっているから新しい担当官吏も解らなかったらしいし、まだ着任して間もないから倉庫の精査もしてないらしい・・・。」
「そうか・・・・それでこの担当だった高官は、今どうしているんだ?」
「ばれた時にこの王都に居るには流石にマズイと、領地に隠居と称して籠っているらしいよ。どうする~~」
「それは決まっている・・・粛清してやろう、ここまで私をたばかってくれていたのだからな。」

黎翔の瞳がこれからの事を思い紅く輝き、昏い笑みをも浮かべていた。
そして黎翔を見るとボンヤリだが紅い炎のようなものが立ち昇っている・・・・これは黎翔が放つオーラ。
怒りに満ちたオーラだった。
浩大は、思わずブルンと身体を震わせた。

やっぱ、このヒトはこえ~~よ。
悪い事なんかできないよな~~。

「浩大、この裏づけはいつ取れるか?」
「え~~と、1週間ばっかし時間ちょうだい!!シッカリと調査しておくからさ~~。」
「それと、この事を李順にも伝えておけ。そしてその粛清には私が直々に行くとな。」
「りょ~~~かい!!あっ言い忘れたけど1週間後に出掛けるのは、いいけど・・・・この王宮内にあの高官の息の掛かった奴もいると思うんだよね~~ここにお妃ちゃんを残しておくには、ちと危ないかもよ。それだったら2日程下町のお家に帰した方がいいよ。」
「そうだな、私もいないしお前も居ないからな・・・・夕鈴には私から言っておくことにしよう。」



こうして、陛下が王宮からお出掛けする事は決定したのであった。

夕鈴は裏でこんな危険なことになっているとは到底知る由もなく、心穏やかに・・・とまでは行かないモノの厄介事に思いをはせていた。
その間の浩大や李順・・・そして陛下まで、1週間忙しく準備していたのであった。






続。
関連記事
スポンサーサイト


この記事へコメントする















瓔悠

Author:瓔悠

現在の閲覧者数:
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -