【いつの日かの生誕祝】
2016年09月27日 (火) | 編集 |

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*******

『夕鈴の子供の頃の話で、青慎の誕生日に幼い夕鈴が一生懸命考えてお祝いをするみたいなお話。
陛下が出てこなくなるので、コッソリお忍びに来てどこかで会ってた風な設定も・・・・』
というリクを、以前にいていまして・・・・。

原稿に追われて中々書けなかったのですが、
ようやく書く時間が取れましたので、カキカキしてリク主様のお贈りしました。

そうした所、是非に公開を!と有難いお言葉を頂戴いたしましたので
こちらにUPしました。
まるねこ様、誠に有り難うございます。


何でもOKな方は、このままお進み下さいませ。




「陛下、これは?」
「ああ、これ?もうすぐ僕の生誕の祝いだから、仕舞い込んでいたのを出したんだ」
「陛下の生誕って、半年近く前だったですよね。
だって、王都でも大変な賑わいだったではありませんか?」
「本当の生誕の日はそうだけど・・・・・僕にはもう一つ生誕の日があるんだ」
「?」
「それにしても、それは7歳の生誕の時にお祝いとして贈る願い袋ですよね。
それにその飾り文様は、下町にある神社のものだわ」
「そうだったのか・・・・もう昔の事だから、何処の神社だったのかも思い出せなくてね」

そう言って、紅の願い袋を握りしめたまま黎翔は窓の外に広がる遠い空の向こうを見ていた。

「あの子は今、どうしているんだろうか」

夕鈴は、遠くを見詰める黎翔の瞳に懐かしさと穏やかさを見い出して、
何だか嬉しくなっていた。
そして願い袋を久々に見たことで、夕鈴も昔の事をボンヤリと思い出していた。
それは・・・・・・・青慎の七つの生誕の日の事。


********


「おねぇちゃん、僕・・・何か手伝う事は無い?」
「青慎 、ありがとう。でもここはもういいから、表で遊んできていいわよ」
「いいの?」
「いいわよ」

6歳の割にはしっかりしてるけど、やっぱりまだまだ遊びたい盛り。
嬉しそうな表情を満面に浮かべる青慎。
その表情がホントに可愛くて・・・・・・。

私の大好きな、大好きな青慎。
あんなに可愛くて、聞き分けの良い弟なんて何処を探してもいない。

それに、可愛いだけじゃない。
とっても賢いの。
周りが『姉バカ』だなんて言ったって、それは譲れない。

だから、青慎は将来官吏になったらいいと思うの。
そうしたら、この下町の人達も今よりもずっといい暮らしが出来るはずだから。
だって今の王様は・・・・・ダメなんだもん。

私、知っているのよ。
近所のおばさんたちが言っているもの・・・。

「今の王様は女好きで、政治なんてそっちのけらしいよ。
そんな事でこの国は大丈夫なのかね・・・・・」
「もっと私たち庶民を思ってくれるようなお方は、いらっしゃらないのかしら」

ってさ。
だから、庶民から官吏が出れば少しはマシになると思うのよ。
それなら、青慎のようなウソをつかない優しい子が適任なはず。


「ねぇ、青慎・・・大きくなったら何になりたい?」
「僕はね、おねぇちゃんの役に立ちたいんだぁ」
「えっ?私の役に立つ仕事?」
「そうだよ」

何て可愛いのよっっ。
そんな・・・私の役に立ちたいだなんて!!

私はガバッと青慎を抱き締めた。
抱き締めると、フンワリと若草のような青慎の匂いが立ち込めた。

・・・・私、もっと頑張るから!!


「おねぇちゃん、苦しいよ」
「あっ、ゴメンね」

抱きしめていた腕を外し、私たちは微笑みあった。


「じゃあ、僕遊んでくる!!」
「いってらっしゃいっっ」

元気に表に出て行く青慎を見送り、夕鈴は来週の青慎の生誕日に思いを向けた。
今年はどうしようか・・・と。

青慎は、7つになる。
7つは子供の成長では節目の年で・・・。
その他の年とは違って、特別なお祝いをする。

「ホント、どうしようかしら・・・・・」

私は思いあぐねる。
だって、私の時は母さんも亡くなっていたし。
父さんじゃ分からない事も多くて、普通のお祝いになってしまったから。

だから、青慎の時は私がキチンとしたものにしたいと思っていた。
それが母さん代わりをしている私の役目だと思うし。

「まずは、神社で願い袋を貰って来る事から始めよう~~と」

私は、身支度を整えると地元の皆が事あるごとに訪れる神社へと向かった。


神社の鳥居までは走っていたが、そこで一度止まって一礼をする。
鳥居の先には、チラホラ参拝者が歩いていて寂し気な感じはしない。
私はまずはキチンと参拝を済ませて、早足に社務所へと向かった。

「あの・・・・願い袋が欲しいのですけど」
「まぁ、7歳になるのね・・・・って、あなたはもう7歳以上に見えるけど」
「ああ、それは、弟の分です」
「そうなのね。それはおめでとうございます」

社務所の巫女のお姉さんが、願い袋の見本を沢山持って来てくれた。

白磁・桃花色・緋色・紅・中黄・山吹色・
萌葱色・若草色・空色・紺碧・紺青・若紫・・・・・ 12色もあって、正直私は迷っていた。

ふと、青慎の事を思い出してみると・・・・あの子からはいつも若草の匂いを感じる事に気付いた。

「あっ、これがいい!」

手に取ったのは、若草色の願い袋だった。
それを代金と共に巫女のお姉さんに渡し、御祓いをしてもらうことにした。

それを待つ間、私は手持ち無沙汰でボンヤリと周りを眺めていた。
ここはそんなに広いわけでもなく、辺り一面が見渡せる。
境内には散歩する人や参拝する人がいて、その様子を見ているだけでも退屈はしない。
その中にまだ年若い男性が、一人キョロキョロ辺りを見回しながら歩いているのを見つけた。

「あの人・・・・・何してるのかしら?
もしかして迷子?流石にあんな大きな人が、そんな訳無いか~」

私がクスリと笑っていると巫女のお姉さんが戻ってきて、
赤色の小さな紙袋に入れた願い袋を手渡してくれた。

「ありがとうございました」

私は深々と礼をして、クルリと踵を返した。
これでまずは一番大切なモノを手に入れた!と意気揚々と歩き出した。


境内をブラブラ歩いていると、数十メートル先の植え込みが不自然にガサッと揺れている事に気が付いた。

誰かいる・・・・。
そう思った私は、思い切って声を掛けてみた。

「そこにいるのは誰?かくれんぼでもしてるの?」
「・・・・・・・・」

特に返答は無かった。
そうなると、余計に興味が湧く。
私は植え込みの傍に行って、葉のついた枝を左右に広げてみた。
そこには、うずくまって微動だにしない物体が・・・いや、男の人がいた。
男の人って言っても、大人の男性じゃなく子供でもなかった。

「こんなところで何をしてるの?」
「・・・・・・・隠れているんだ」
「誰から?」
「伴の者から・・・ね」
「ふぅう~~ん。でもお兄さん、ここじゃダメよ。
反対から丸見えだもの」

私は、反対側に回って指さした。
そうすると、そのお兄さんはクルリと振り返って苦笑した。

「確かに、丸見えだ」
「でしょう~~かくれんぼだったら、もっと上手くやらなきゃ」

私はニッコリと笑って見せた。
お兄さんも私につられて、ニッコリと笑った。


「それは何?」

お兄さんは、私の手元をジッと見詰めて不思議そうな顔をした。

「ああ、これ?これは7つの生誕祝いの時に使う願い袋よ」
「願い袋?」
「ええ、この袋を持って家族や近所の知り合いの家を訪ねて、
願いを授けてもらうのよ。
そうすることで、その子に沢山福事が舞い込んでくるの」
「そうなんだ・・・・・」
「お兄さん、知らないの?」
「知らない」
「お兄さん、この辺の人じゃ無いのね」
「まぁね」

お兄さんは、素っ気なく答えた。
そのお兄さんの横顔が、 私にはスゴク疲れているように見えた。
だから私は折角神社にいるのだし、何かお兄さんにしてあげたくなった。
掌の中には、まだお金は残っている。

私はう~~んと考え込んで、一つの考えが閃いた。

「ねぇ、お兄さんはこの願い袋を持っていないのね」
「確かに、持っていないね。そんな祝い方がある事も知らなかったよ」
「そうっっ、じゃあここで待ってて!」

私はまた社務所へと戻った。
そして巫女さんにあるお願いをした。

しばらくして私が元の位置に行くと、そのお兄さんはまだそこにいてくれた。

「何をして来たの?」
「ふふふ、それはこれなの」

私は掌の中にある紅の願い袋を見せた。

「これが願い袋!はい、お兄さんにあげる。
お兄さんの瞳と同じ色だから!!」
「僕に?」
「そう、私が今から願いを授けるから・・・・。
だから、お兄さんは今は7歳で、それに今日がお兄さんの生誕の日よ!」

私はそう言って、願い袋をギュと握りしめた。
そして、声に出して願いを授けた。

「この先、お兄さんに沢山、沢山の幸せが降り注ぎますように・・・・・」

そうして空に掲げて陽の光に当てた。

「・・・・ありがとう」

お礼を言ってくれたお兄さんに、『ハイっ』と手渡した。
お兄さんは口元をそっと緩ませて、笑って受け取ってくれた。
そして私をゆっくりと抱き締めてくれた。

「君みたいな心優しい子の為に、僕は頑張るから。
この国を・・・・・豊かに・・・・争いの無い国に・・・・・する為に」

お兄さんが呟いた声は、くぐもって私には聞こえなかった。

空が高くて青い。
私はそんな空を見上げながら、微笑んでいた。



「ーーー様~~黎----様~~~。何処にいますか??」

遠くで誰かを呼んでいる声がしてきた。
お兄さんは、はぁ~ってため息を吐き出した。

「僕を呼んでいるみたいだ。これ、ありがとう・・・ 大切にするから」
「うん、またね!!」

お兄さんは境内の奥へと歩いていき、私は鳥居の方向に歩き出した。
反対方向へ歩く二人の出会いは、まだまだ先。
それは、数年後の事である。


********


「青慎!おめでとう、7つになったわね。
まずはこれを!」

あれから1週間。
青慎の生誕祝いの為に、私は奔走した・・・ 料理に、ご近所さんで願い袋へ願いを授けてくれる人へ依頼をしに。

それでも、私は何だか幸せだった。
だって、生誕の日を祝えるのって・・・本当に幸せで有難い事だから。

私は願い袋を握って、最初の願いを授ける。

「青慎がなりたいものになれますように。
そしていつも健康でありますように」

青慎に渡すと、そこには満面の笑みがあった。
それを見るだけで私の心の奥がホンワリと温かくなった。

「おねぇちゃん、ありがとう。 僕、頑張るから!!」

そう言う青慎の顔が、いつになく逞しく見えた。


********

「そう言えば、もうすぐなのですね。 弟君の会試は・・・・・」
「はい、李順さん・・・・そうなんです。
これまで青慎は沢山頑張ってきたので、是非とも受かって欲しいと思います」
「そうですね」
「あっ、それについてご相談が」
「私に何か?」
「実は・・・・・・私も青慎の事を応援したので、少しの間実家に帰りたくて」
「・・・・・本来ならば、もう貴女は正式な妃なのですから許可出来ませんが。
弟君の為だとおっしゃるのでしたら、今回は特別に許可しましょう」
「はい、有り難うございます」
「但し、分かっていますね」
「はい、陛下にはバレない様に・・・・・ですよね」
「ええ、お願いしますよ」


李順と夕鈴の間だけに秘密裏に進む、妃帰省計画!
これは、黎翔には絶対にバレる訳にはいかない案件で、
気付かれる事が無い様に細心の注意を払っていた。

しかし、どんな秘密裏に進めた事でも、どこかに穴はあるもので・・・。
夕鈴が密かに帰省した数刻後、黎翔の姿も下町にあった。



終。
.





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コメント
この記事へのコメント
瓔悠さ〜ん!こんばんは〜\(^o^)/先日はありがとうございました!

まるねこさんのリクだというお話に我先とコメントにお邪魔しに来ちゃったぁ(*^◯^*)

いいですね〜!昔に繋がりのある設定やっぱり好きです。 可愛いかわいい夕鈴。
そしてもう一つ!陛下にばれない事は無いと学習してもらいましょうo(^_-)O 李順さん!


2016/09/28(水) 20:38:29 | URL | タイフーンです(#^.^#) #-[ 編集]
この度は素敵なお話ありがとうございました(#^.^#)
幼い時から夕鈴はしっかりもので、健気で可愛いですねぇ♪
陛下もまだ素直な少年で、ホンワカあったまるお話にしていただいて嬉しいです♪
2016/09/29(木) 00:01:25 | URL | まるねこ #-[ 編集]
タイフーン様

こんばんは~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!

イエイエ、こちらこそ!!
これからはあちらでもご挨拶が出来るので安心です。
どーぞ、宜しくお願いいたします


昔設定でもOKですか??
捏造過ぎていいのかな??とか少しビビりました。
でも書いてて楽しくて・・・・。
止まりませんでした。

やっぱ、そうですよね~~
陛下にバレない事は無い!!!!これぞ、まさしく~~です。


2016/09/30(金) 00:36:35 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
まるねこ様

こんばんは~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!

イエイエ、あんな感じで良かったでしょうか?
リクが楽しくて~~ノリノリで書けました!!

夕鈴の健気さって、きっとずっと変わらないんだろうなぁ~と思うんです。
だから、夕鈴って大好きなんですの~~可愛くって。

2016/09/30(金) 00:40:21 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
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