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【設定】

未来家族設定 ・  オリキャラ有り ・ 原作外設定有り

【注意事項】

こちらの話は、前々ブログからの移行分を手直ししたものです。
移行忘れを見つけたのでUPしてみました。

そして、この作品は、【精悍な狼は何を想う?】の夕鈴sideと及び補足となります。







一度拗れた事柄は、中々当事者だけではどうにもならない―――。
互いを想い合っているはずなのに、それが伝わらないなんて事は多々あったりする。
本当に、自分の想いを伝えることは何と困難な事だろうか。

それは、この白陽国の国王夫婦にも言えることで。
家出をしてからもう幾日も経つというのに、今だ夕鈴は明玉の家に留まっていた。
毎日・・・王宮では味わう事の出来ない事を満喫していた。
例えば明玉と昔話に興じてみたり、飯店の厨房で手伝いをさせてもらったり。
とてもイキイキとしており、黎翔との喧嘩すら忘れ去っているようだった。
しかし、それは傍から見れば・・・であって。
本当は夕鈴の心の中は、黎翔や子ども達の事ばかりが浮かんでは消え、
消えては浮かんでを繰り返していた。

「夕鈴・・・・このままでいいの?
ウチはいつまでも居ても良いのだけれど」
「そうね。私もこのままじゃダメだという事は解っているのよ。
でもね、ここでスゴスゴ帰るのは、なんだか負けてしまった気がするのよ」

―――夕鈴、それはただ単に意地を張っているだけだと思うのだけれど。

明玉は、フゥと息を吐き出した。
きっと夕鈴は解っているのだ、自分が意地を張っているのを。
だけど、ここまでくると・・・もう、引っ込みがつかないのだ。

「旦那さん、そろそろ夕鈴を迎えに来ないと、
本当に拗れたままになってしまいますよ」

明玉は夕鈴には聞こえない様に独りごちた。



**********


その頃の王宮は―――。
悲惨な事に成り果てていた。

後宮は主である夕鈴がいないだけで、いつも通りの穏やかな刻が流れていた。
末っ子の嘩鈴が初めの頃こそ大慌てで騒ぎ立てていたのだが、
何日も経てば夕鈴が帰って来ない事をキチンと受け入れて、
普段通りの生活を送っていた。

それこそ、夕鈴は今は休暇を満喫しているのだ―――という解釈で以って。

ところが、それを受け入れられない御仁が一人だけいた。
言わずもがな、黎翔である。

今日も、政務室にブリザードが吹き荒れる。


「よくぞこんな中途半端な書簡を提出するとは・・・。
これで良いとでもと思っているのか?
民の声に答えていると?・・・そうではあるまい?
それでこの政務室付きの一員でいられるものだな」
「も、も、申し訳ございませんっっ!!」

叱責されているのは、先程の人事で政務室付きになったばかりのもっとも年若い官吏だ。
確かに・・・黎翔の言うことは正しいが、言い方と言うものがあるだろう。
しかし、誰もその官吏を庇い立てをしようとはしなかった。
それもそうであろう・・・皆、己の身が可愛いのだから。
その官吏は項垂れて自分の席へと向かって歩いていた。
重い足取りは、その官吏の気持ちを代弁しているようで悲し気である。


シーンと静まり返る政務室。
この鬱蒼とした空気を誰が変えてくれるというのだ―――。

いつもなら、正妃である夕鈴が黎翔を宥めてくれることも有るのだが、
その人物はここにはいなかった。
ならば、一番近い側近の李順がその役を担うはずであったが、
魔の悪い事に、李順は別の事案の件で周宰相と方淵・水月を伴って会議室へと行っていた。

「正妃様がこのところ政務室へお越しになられないから、
空気が淀んでしまっているよな」
「正妃様は如何なさったのだろうか?
体調不良なのだろうか・・・いつもお元気で快活な正妃様のお姿が見えないのは寂しいことだよな」

小声で囁き合う数名の官吏達。
この政務室での夕鈴の評判はバイト妃の頃から上々で、
今もこうして年若な官吏達から慕われてる。
その年若い官吏達の小さな囁きを聞いていた人物が、
小さく息を吐き出して叱責された官吏の元に進み出た。
卓上に置かれた書簡を覗き見て、その官吏の肩を優しく叩く。
それは激励であり、その官吏を奮起させるためである。

「ここまで出来上がっているのだから、もう一詰めしてみましょう。
全てが悪いわけでは無いですよ」
「・・・・・・はい」
「陛下がああ仰ったのは、君に期待しているから。
だから、君はその陛下のご期待に添える様にしなければ」
「はっ、はい!!!」

その官吏の瞳の奥に、やる気が満ちる。
そして、その人物は柔和にニッコリと微笑んだ。
その微笑みは、ある人物に酷似していた。

叱責を受けたその官吏が書簡のやり直しを始めた事で、
安堵したその人物は黎翔の元に自分が処理した一つの書簡を持って進み出た。

「陛下・・・こちらの書簡をお目通しして頂きたく、お願い申し上げます。
私の考えではありますが、この様にしては如何でしょう」
「ああ、青慎 か。そうだな、このまま進めるように」
「かしこまりました」

そう、この人物は青慎だった。
今は、政務室付きの官吏として、自分の能力をいかんなく発揮しているのだ。

黎翔の元から去り際、青慎は黎翔に聞こえるだけの音量で囁いた。

「義兄さん、姉さんの事はお任せください。
何処にいるかはきちんと掴んでますし、もう少ししたら王宮へ戻りますでしょうから」
「ああ」

黎翔へと深々と一礼した後、青慎は困り顔をしつつもフンワリと微笑んだ。



***********


そうして、遥翔が浩大を動かす事にしたのは、あの朝から四日後。
聞く所によると・・・・その間の政務室は荒れに荒れた極寒の地へと変貌し。
狼陛下は今も健在だと、周りに知らしめていた。
余りの過酷な政務に胃痛を訴えるものも続出し、李順が頭を抱えていた。

いい加減これ以上、王宮が荒れまくるのは困ると李順に泣きつかれ、
遥翔もいい加減休暇を満喫したであろう母を呼びもどすには頃合いがいいと判断した。

浩大に高級酒を渡し、黎翔をけしかけてもらった。
これが功を奏し、黎翔は直ぐに王宮を飛び出した。



続く。









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こんばんは~コメント有り難うございます


そうなんですっっ!!
青慎は、政務室の清涼剤のような役目を担っているんです。
彼の、大らかでそれでいてきめ細かい気配りが、
重宝されていると思います。
(・・・・私もそんな人物になりたいモノです!!)

明玉もグッジョブ!!
ホント、持つべきものは幼いころからの親友ですよね~
夕鈴はマジで助かっているだろうなぁ~と。

フフフ・・・実はこれがまだ完結していなかったことを
すっかりと忘れてました。
何の気なしに、記事の確認をしていて思い出しました。
元々は前・中・後編の3話だったのに、なんだかんだで長くなってます。
ホント、私って長ったらしいのを書くのが好きだし、
くどいよな~~と思います。

しかし、次回で完結!!
なるべく早くUPしたいけれど、どうなることやら。
気長にお待ちいただけますと幸いです。
どうぞ、宜しくお願いいたします


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瓔悠

Author:瓔悠

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