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【設定】

夫婦設定

【注意事項】

此方の作品は、『そして一つの可能性』のラストの
ホンの少し前の話となります。

かなり昔に書いた作品ですので、
現在の本誌の夫婦寄りとは、かなり違うモノになっています。
しかも、夕鈴は正妃になってますので、
何でもOKな方のみお進み下さい。








あの夜・・・・陛下と二人っきりで睦ましく夜を過ごしてから、
気持ち的に少しは落ちついた様な気がする。
それに陛下も以前のように、こうした方がイイとか一切言わなくなったのがホッとしている一因でもある。

夕鈴はボンヤリと今の自分の心境を分析してみた。
しかし、そうも言ってられない。
不満事は他にあった。

・・・・・・そう、それと言うのも、陛下がここ何日もお帰りになっていないと言う事!!
イヤ、決して喧嘩して帰ってこないのではなく。
まぁ、誤解の無い様に言うならば、自分が起きている間に戻って来ていないだけ。
懐妊してからは心配なのか、必ず寝る前までにお戻りだったというのに・・・・。
そして、朝も会話もする暇さえ無くすぐに執務室に向かってしまう。
だから最近、陛下とマトモな会話をしていない有り様だった。

更に言うならば、ここのところの浩大も老師の様子もどうもヘン!!
私と会うと会話もロクにせず、コソコソ逃げるように立ち去ってしまう。

今までは老師にしたって私を見かけると、『さぁ講義じゃ!!国母となるモノとしては・・・・・』と後宮講義を始めようとする始末だったというのに。

「もう~~~~~何なのよ!!皆して!!!」

夕鈴はこのところの不満事にどうやら限界が来たようで、
久々に掃除婦の恰好になるとお掃除バイトを始めてしまうほどで。

これには浩大もさすがに冷や汗もので、護衛よりも止めるのが先であると判断して夕鈴の後ろから繰り返し声を掛ける。

「お妃ちゃん!!これは陛下にでも見つかるとオレ達がどんな目に遭うか分かったもんじゃないから、マジでやめとこうよ~~~」
「浩大!!何言ってるの?大体妊娠なんて病気じゃないのよ!!
下町の妊婦さん達は毎日の家事をしながら出産の日を迎えるって言うのに、
ここでは大事にされ過ぎなのっっ!!」

浩大の焦りも全く無視して、夕鈴は只管戸棚の埃を落としていた。
そして呑気に掃除しながら、傍で見ている浩大に話し掛ける。

「そう言えば今日は老師を見てないけど、どうしたのかしら??
浩大、知らない?」

知っているけど、お妃ちゃんには内緒だからね~~。
どう言おうか・・・。

「あ~~張のじいちゃんね・・・・。あっ、そうそう今日は李順さんが用事があるとかで、
そっちに行ってるんだよ。」
「そうなの、まぁ邪魔されないからいいってことにするわ。
ところで最近、皆ヘンよね」
「そう??」
「そうよ、大体老師も・・・それに浩大も!!
更には陛下も・・・・・」

また黎翔が夜遅くにしか帰って来ていない事を思い出し、
夕鈴は黙りこくって必死で掃除を続ける。
そんな夕鈴を見ていると浩大も罪の意識が芽生え、
洗いざらいこの計画についてしゃべりたくなる。

イヤ、ここは我慢!
お妃ちゃんには悪いけど・・・。

浩大はそんな事を思いつつ、もう何を言っても掃除をやめてくれそうにない夕鈴を窓の外から見守ることにし、そのまま静かに移動した。
そうすれば、夕鈴にさっきの質問を追及されない事も見越してのことだった。

「よしっ!結構キレイになってきたわよね。
これで後は水ぶきしておけば完璧!!」

桶を片手に井戸に向かおうとする。

オイオイ!!今から水汲みに行くのかよ!!
勘弁してくれよ。
これ以上は、マジでマズイって!!

「お妃ちぁ~~~ん、マジで待った!!!」

浩大が慌てて夕鈴の後を追い掛け、もう掃除を止めるのは無理でも重い水桶を持たせるのだけは阻止しようと手を伸ばした。
その時、浩大の更に後ろから冷気が漂ってくるのを背中に感じた。

「夕鈴!!!君は一体何をしているんだ!!」

浩大の横を通り抜けたのは、怒りのオーラを纏った黎翔。
すれ違いざまに感じたのは射抜かれてしまいそうな紅い・・・そう深紅の瞳が自分を見据えていた事だった。

うわ~~~これって結構ヤバい状況じゃね???
ここにオレがいたら、間違えなく夫婦喧嘩の巻き添えを食らうよな・・・。
此処は逃げるの一手だよな!!

浩大は冷静にこの状況を分析し、その場をソロリソロリと静かに退散した。
それに黎翔も気がついたのだが、浩大よりも今は夕鈴の方が先だとそのまま逃がしたのだった。

「何って、掃除です!!見てわかりませんか?」

至極当然とも言わんばかりに、夕鈴は強気に返す。
それに一瞬押されそうになった黎翔だが、
怒気は抑え気味に諭すように夕鈴に話し掛ける。

「夕鈴・・・・君は今普通の身体では無いのだから、
掃除はしなくてもよいと思うのだが」
「陛下!掃除くらい、下町の妊婦は毎日してる事なんです!!」
「でも何か有ったら・・・と心配してるんだ」
「気を付けていますから、大丈夫ですっっ!大体、妊娠は病気ではないのですが!!」

夕鈴はこのところの、不満をぶちまける様に黎翔に対峙する。

「あ~~もう!!それは分かっているし、君の行動を制限はしたくないが、これは別問題。
掃除してるだなんて・・・しかもこんな寒いところで、更に水桶を持つだなんて以ての外!!
どれだけ僕の肝が冷えたか・・君にはわからないよ!!
その姿を見た時の僕の気持ちなんて・・・」

始めの狼の声音から気がつけば小犬の弱り切った声に変化しており、
いつもは強い光彩を放っている深紅の瞳も今は心配そうに揺れていた。

そんな黎翔の様子に気がつくと夕鈴はサァ~~と気持ちが落ち着いて、
先程までに感じていたイライラ感が何処かに吹き飛んでいた。

本当に陛下は心配して下さっているのよね・・・・何だか申し訳ない事してしまった。

「ゴメンナサイ・・・」

素直な気持ちで黎翔に向かい合うと、夕鈴は申し訳なさで謝罪の言葉がすんなりと出ていた。
頭を下げる夕鈴に黎翔は手を差し伸べ、優しく頭を撫でた。
そして、ホッとひと息つくと夕鈴の謝罪を受け入れたのだった。

「もういいよ・・・・僕の心配が分かってくれたのなら。
それよりも夕鈴を連れていきたいところがあるんだけど」
「連れて行きたいところ?どちらですか?」
「それは行ってからのお楽しみだよ」

黎翔はニヤリと微笑むと片目を瞑って夕鈴の手に自分の手を絡め、
その場所から連れ出した。

「陛下~~私、まだ掃除婦の姿なんですが~~~」

夕鈴の叫び声が、辺りに響いていた。



続く。



2013.02.18 SNS初載


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瓔悠

Author:瓔悠

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