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【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   

なお、この話は【初夏の一日 前・中・後編】の後日談となります。

【初夏の一日 前編】
【初夏の一日 中編】
【初夏の一日 後編】 










今日は、空を見上げると雲ひとつない晴天。
夕鈴は寝台から降りて、眠気覚ましに窓越しの爽やかな空気を胸一杯に吸い込み深呼吸する。


「お妃さま、おはようございます。お目覚めでございますか?」
「おはようございます・・・はい、起きています」

いつものやり取り。
寝室の扉まで歩いて行き、侍女を迎え入れた。

渡された衣裳を受け取り、寝室より誰もいなくなったのを確認して着替え始める。
先日衣替えをして頂き夏衣に変わったので、衣裳はサラサラしていて肌に纏わり付かず着心地はすごくいい。
着替えと朝の支度まで済ませて寝室を出ていくと、すでに朝餉の用意が卓上にすっかりと用意されている。
夕鈴は美味しそうな朝餉を目の前にして、食べる前に今日の予定を告げておく事にした。

「今日は夕方まで、老師様の所に参りますので昼餉はそちらで頂きますね。
夕方からは、陛下の所に参ります。陛下が昨晩『夕餉は共に・・・』と仰っていましたので、夕餉をご一緒いたします」

今日一日は自室にいない旨を、殊更強調する。
そうしておかないと一日帰省するなんて、到底出来ないから・・・。

先日の衣替えの後。
実家の衣替えの事が気になり帰省させて欲しいと申し出たところ、
『一日だけなら』と許可してもらぅた際の李順さんからのお達しなのだ。
今日一日しか無い貴重な帰省ということでさっさと朝餉を食べて出掛けたいが、
そこはお妃という立場上、優雅に頂かなければならない。
それでもいつもよりは早く済ませ、卓上を片付けしてくれている侍女さんに微笑みかける。

「では、行って参りますね」

そのまま優雅に部屋を後にし、その足でまずは李順の部屋へ直行する。
今から帰省することを報告する為である。
部屋には李順一人きりで、一礼して中へ入る。

「では、今から老師の所へ行って着替えた後、裏門より出て帰省します。
夜には戻りますので宜しくお願い致します」
「分かりましたが、くれぐれも人に見つからない様にして下さいよ。
とくに陛下にはご注意を・・・また付いて行かれると政務が滞りますし、
下町でやっかい事に巻き込まれますと後々面倒ですからね。
あと裏門に馬車を用意してありますからそれに乗って行って下さい。
私からは、以上です!!」

ズレた眼鏡を手で直しながら、鋭く注意事項を念押ししている李順を夕鈴は注視する。

「はい、わかりました」

夕鈴は大人しく了承した。
そして上司の話も終り、夕鈴は家に帰れると喜び勇んで老師の元へと少し急ぎ足で向かう。
その姿を柱の陰から見ている人影が・・・。
しかし夕鈴は家に帰っている自分の姿を想像してニマニマしていたので、
そんなことは全く気付いていなかった。
その柱の人影を屋根の上から見ていた浩大は面白い事になりそうだとニンマリしつつ、
護衛のため夕鈴の向かう先へと屋根伝いに追いかける。

後宮管理室の老師の元に着いた夕鈴は、すばやく下女の衣裳に着替えて裏門より王宮を後にする。
そして通りに出ると、李順が言っていた場所に馬車が一台止まっていた。
馭者さんに軽く会釈した後、人目に付かない様にすばやくその馬車に乗り込む。

馬車が軽快に走りだし、窓から移り変わる景色は臨時花嫁になる前にはよく見ていた見慣れた下町の風景である。
夕鈴はフゥーと息を吐き出し、落ち着きを取り戻した。
知っている人に見られないかと今まで少し緊張していたようだ。
久々の下町の風景に見入っていると、馬車はすでに自宅のある集落近くまで来ていた。

自宅まで送って頂くのはちょっと困るので、馭者さんに声を掛ける。

「あの、すみませんっっ!
この辺りで降りますので、馬車を留めて頂けませんか?」

しかし聞こえていないようで、まだ馬車は動いている。
このままだと自宅に着いてしまう。
几鍔なんかに見つかると、色々と聞かれて非常に面倒くさい事に成りかねない。
危機感からか今度は大きな声で叫ぶ。

「すみませーーーん、この辺りで降りたいんですがーーー」

今度はきちんと聞こえたようで、すぐに馬車は止まってくれた。
夕鈴は素早く降りて、乗り込んだ時と同じように会釈する。
馭者さんは外套を頭から羽織っていてよくは見えないものの、
何故か馭者さんの肩は小刻みに上下している様に見えた。
笑ってる・・・・って言うか、笑われてる。
自分の行動が可笑しかったのか?・・・そう不思議に思いながらも、
取り敢えず馬車が角を曲がって見えなくなるまで見送った。


久々の自宅に足を踏み入れると、やはり男二人所帯になっているので自分がいた頃に比べると少々散らかっていた。
しかし思っていた程散らかっていないのは、
青慎が勉強の合間に片付けをしているからであろう・・・。
父ではないとわかるのは、片付けるという家事能力は父にはほぼ備わっていないと思われるからである。
時間は限られているんだからと、夕鈴は自室に入り動きやすい服に着替えて腕まくりをした。

さて、何処から始めようか?

思案していると、戸口辺りが何やら騒がしい声。
夕鈴が何事かと慌てて戸口まで来ると、門の所で聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「一体、ここん家に何の用なんだ」
「何の用だと言われても、夕鈴に用があって来たんだよ」
「あいつに用って、だから何の用なんだっっ!!
ハッキリ言えよ!!!」
「どうして、金貸し君に言う必要があるのかな。
僕は夕鈴だけに用があって来たんだけど・・・」
「全く王宮務めの役人は、案外暇なんだな。
どうでもいい下働きの後を尾けまわしたりして」
「まぁ、暇ってわけでもないんだけど・・・・ね。
でも夕鈴が気になって、様子を見に来たんだよ」

いや、ちょっと待った!!

最初のは几鍔だと容易に分かったが・・・。
もう一人の声も知っているが、この下町で聞こえるはずのない声である。

夕鈴は頭を振りながら『そんなはずは無い』と、たった一つの可能性を必死で否定しながら門へと歩いて行く。
通りに面した門の所では、若い男性が二人で言い合っていた。
一人は分かってはいたが、やっぱり几鍔だった。
もう一人を見て夕鈴は、本気で頭を抱えたくなった。
やはりあの声は、陛下・・・もとい、今は李翔さんだ!!

どうして??何で・・・?
確か、陛下には気づかれなかったはずで。
だって李順さんに相談して今日も王宮を出る時も注意していたから、見つかるなんてないはず!!
なのに、目の前にいるのは紛れもなく陛下だわ。

「へい・・・いや李翔さん、どうしてこちらへ?
と言うより、どうやって来たんですか?
それに几鍔もどうしてここにいるのよ?」

矢継ぎ早に質問を繰り出すのは、夕鈴の動揺が現れたものだろう。
先に夕鈴の質問に答えたのは、長年の付き合いの几鍔である。

「いや、おまえん家の前で怪しいヤツが中を窺っているもんだから。
昼間は誰もいないはずなのにってさ」
「 はいはい!!几鍔、分かったから・・・この人は、私の職場の上司だと前にも言ったと思うけど!!」
「そうだったか?もう忘れたよ。
まぁいいや、ところでお前いつまでいられるんだ?」
「サラッと流さないでくれる??まぁ、いいけど・・・休暇は今日一日だけよ。
でも、そんなの聞いてどうするのよっ」
「どうだって、いいだろ。親父さんが帰って来るまでいるんだろ?」
「一応そのつもりだけど・・・やりたい事も沢山あるし。
じゃね、私は忙しいんだから、もう帰ってよ」

そんな二人のやり取りを見ている黎翔は何とも羨ましいと、
次第に紅い瞳がスーと細い目つきに変わっていく。

「はぁ・・・・・じゃあ、李翔さんは、取りあえず入って下さい」

夕鈴はこのままだと悪目立ちすると思い、黎翔を家の中に招き入れた。
そんな様子を今度は几鍔が、じっと睨みつけていた。
こちらも羨ましいと言わんばかりに・・・。





続。




2012.06.04、06、08、16 ・ 2012.07.03、11 SNS初載



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コメしてたらこのお話がUPされてた^^
久しぶりだから内容がうろ覚え・・・。ごめん。
なので新鮮な気持ちで読めたかも。
はっぴーですというよりはっぴーになりました。
息子が修学旅行に行ってしまい、気持ちが落ち込んでいたんですよね~。
寂しいんです。なにか不安なんです。
自分で子離れできてないなぁと痛感しております。(笑)

こんばんは~コメント有り難うございます


うん、久々だよね。
私も先日、衣替えしてて
ふと思い出したんですよね~この話の存在を。

完結まで毎日UPするので。
お楽しみに~~~


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瓔悠

Author:瓔悠

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