【傍迷惑な歓迎・17】
2016年06月19日 (日) | 編集 |
【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り







「あの・・・陛下。
私、これで大丈夫でしょうか?」
「あっ、ああ。
似合っている・・・・」

黎翔は、言葉少なに夕鈴に答えた。
そして、それ以上は言葉にしなかった。
ましてや、これであれば悠鐸殿とて満足するであろうとは・・・口が裂けても言いたくは無かった。

それを言ってしまうと、何だか自分が悠の目論見にまんまと嵌ったことが露呈してしまうし、
敗北感を否応なく感じてしまうから。

「では、宴へと参ろうぞ」
「はい、陛下」

黎翔はゆっくりと半歩遅れて歩く夕鈴の方へと振り返り、その白く柔らかな手をさりげなく取った。
自然な感じで・・・・。
それこそ、本物の夫婦のように。



*******


既に宴会場は、二国の官吏たちの歓談で熱気を帯びていた。
丁度いいくらいに酒も入り、会議場では出来ない突っ込んだ交渉もなされていた。

その賑やかな会場が一瞬にして、静寂が訪れた。
それは今宵の主役の登場であった。

白陽国の王とその唯一の妃。
堂々たる足取りで会場へと入る黎翔と、その半歩遅れて静々と歩く夕鈴。
その見事な一対に皆見惚れてしまっていた。

その静寂を切り取る言が会場に響いた。
それはこの宴の主催者、悠鐸であった。

「これは、黎翔殿・・・そして夕鈴殿。
待ちかねておりました。ささ、こちらへどうぞ」

一段高く設けられた座から立ち上がった悠は、
にこやかに微笑むと自分の隣を黎翔へと勧める。

「悠鐸殿、遅れて済まない」
「いえ、女性の支度は時間が掛かるものですからね。
ましてや、そんな艶やかなお妃様の支度と有れば、幾時間でも待てます」
「お招きに預かり、光栄でございます・・・悠鐸様」

夕鈴は李順に躾けられた優雅な妃スマイルで以て、悠に挨拶をする。
その微笑みは、黄陵国の官吏たちを魅了して溜息を出させるものだった。

「これは、夕鈴妃・・・・・今日は一段と艶やかで、それでいてお可愛らしい」
「有り難うございます」
「そうだった、悠鐸殿。
このように妃に相応しき貴国の衣装をお贈りいただき、感謝する」
「いいえ、これはいつかのお礼の意味も込めているのですから、お気になさらず」

二人は口元を綻ばせ、笑顔を作る。
これは心からの笑みでは無く・・・・・一人は悦に入り、一人は苦々しいものだった。
しかしそんな素振りは一切見せず、互いに酒を酌み交わし始めた。
黎翔の隣に座る夕鈴は特にすることも無く、
勧められるままに珍しい黄陵国産の果物などを口にしていた。

「そう言えば、黎翔殿」
「何だろうか?悠鐸殿」

黎翔は一瞬身構える。
悠が一体何を言い出すのかと。
また夕鈴を巻き込んで、自分たち夫婦に嵐を巻き起こそうとしているのでは無いかと。

「夕鈴妃をお貸しいただきたいのですが」
「は?今、何とおっしゃったか?」

(何を言い出すかと思えば、そんな事許せるはずはなかろう)

「だから、夕鈴妃をお貸しいただきたいと」

(全く、黎翔殿は警戒心が強いんだから・・・僕は夕鈴さんを取って食いはしないよ)

「何故に、悠鐸殿はわが妃を所望するのだ?」

(一体、夕鈴に何をさせるんだっっ)

「いえ、ただ我が黄陵国をお見せしたくて」

(だって、夕鈴さんの生まれた国なんだから。見せてあげるのは当然でしょ)

「それならば、私も同行するが・・・」

(二人きりにすると、悠鐸殿は何をしでかすか分からんからな)

「そうですか・・・・では、明日にでも」

(フフフ、黎翔殿焦っている、焦ってる。面白い~~~)

たわいない会話。
しかしそれは、二人の意識下の攻防で以て違うモノへと変貌する。
表面上はニコヤカな会話ではあるものの、見えぬ火花がバチバチと飛び散っていたのだった。

「恐れ入ります、陛下。
そろそろお妃様の退出を、お願いいたしたく・・・・・」

そこに入り込んだのは、水月と方淵だった。
夕鈴の衣装替えの頃合いになったのだ。
そういう色恋などに疎い方淵は、黎翔と悠の攻防は全く気がつかず、
感の鋭い水月は二人のピリピリ感を肌で感じてビクビクしていた。

「ああ、そうだったな。
では、二人とも我が妃を頼んだぞ」
「黎翔殿、これは?」
「ああ、悠鐸殿。
お待ちくだされ、今素晴らしきモノをお見せする故。
夕鈴、二人について行くが良い」
「はい、それでは悠鐸様、失礼いたします」

夕鈴はスクリと立ち上がり二人の王に軽く会釈すると、
水月・方淵に連れられ会場を後にした。

そこに残った二人の王。
これから黎翔の逆襲が始まる。



続く。









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コメント
この記事へのコメント
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2016/06/19(日) 15:05:20 | | #[ 編集]
けい様

こんばんは~コメント有り難うございます


続きUPしました。
さぁ始まりました、黎翔VS悠。

今回は悠様へ軍配が上がったようです。
ふふふ~~~~
ホワワンとしているように見せかけて、悠様とて一国の王。
狼陛下には負けてはいません。

さて、どうなる?
陛下、ファイトだっっ!!!!

陛下の反撃はどうなるのか??
どうぞ、お楽しみくださいませ~~~
2016/06/19(日) 19:08:31 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]

おっはよー!
朝からこちらに来たら、傍迷惑がUPされてるじゃないのよー^^
ウキウキしながら読んじゃった。

男同士の水面下での攻防戦にニマニマしながら、最後の陛下からの逆襲が始まるとかもう楽しみでしょうがないんですけどね~。
悠様と陛下の心理戦的なものがなんとも美味しいのです←おい
続き、待ってるね^^
2016/06/20(月) 08:11:07 | URL | ママ #-[ 編集]
陛下の反撃が楽しみ!
で、黎翔VS悠はこれだけじゃなく色々続くのでしょうか?想像しただけで涎が・・・。
2016/06/20(月) 08:48:40 | URL | ますたぬ #5RBA.3h6[ 編集]
ママ様

こんばんは~コメント有り難うございます

フフフ~~続き、書いたよっっ!!
何かこちらがフッと降りてきてね。

続きもなるべく早くUpの予定。
(だって、早く書かないと展開を忘れそうだからね)


オトコ同士の攻防。
私も楽しみながら書けました。
この『傍迷惑』では、悠様が好き放題してて楽しい~~
やっぱり一国の王だなぁ~と。

さぁ、陛下、どう出る??
私もワクワクするぅ~~~


2016/06/20(月) 20:24:23 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
ますたぬ様

こんばんは~コメント有り難うございます

わぁ~~い、楽しみにして頂けて
嬉しいですぅ~~

陛下は反撃できるのか?
それとも、悠様にしてやられるのか?
狼陛下という異名は伊達じゃないということを示してほしいですが・・・。

ふふふ・・・シスコンお兄様の悠様は、頑張りますよ~
またまだ続く・・・・よん。(笑)



2016/06/20(月) 20:44:21 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
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