【優秀な官吏にだって知らないことはある】
2016年08月05日 (金) | 編集 |
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【注意事項】

こちらのお話は、
【側近李順の頭の痛い厄介事】の続きとなっております。
単体でも読めるとは思いますが、
そちらをお読みの上、こちらを読まれた方がお楽しみいただけると思います。





噂なんてシロモノは、一体誰が最初に言い始めたのかなんて、
分からないことが多い。
そして色恋沙汰の噂ほど、急速に広まることが多いのである。
更に言うなら、噂は広まっていくにつれて尾ひれがついて、
当初とは違うモノになったり誇大広告のように飛躍した噂へと発展することもある。

人の噂も七十五日。
とは言うものの・・・そんな長い期間、放置しておくほど狼陛下の優秀な側近は甘くはない。

手を打つ。
その方策とは・・・・。




*********




「なぁ、最近のお妃様っていいよな」
「いいって何が?」
「ほら、艶っぽいっていうか・・・・・これまでに無かった色っぽさが堪らなくいいんだよ」
「おい。そんな余計なことを言っていると、陛下に睨まれるとかでは済まないぞ」
「そうは言っても、いいものはいいんだよっっ」


最近、官吏たちの間に流れる噂話。
それは、少し前に後宮に戻って来た妃の事について、である。
それだけだったら、放置も出来た。
それだけじゃないから、厄介なのだ。

放置できない噂。
それは・・・・・・・・・。

「それにしても、お妃様が以前にも増して艶めいたとなれば、
俺はきっと陛下との間に何かが有ったと思うんだ」
「何かって?」
「それは・・・・・・よく分からないけれど」
「分からないって何だよ」
「それが分からないから、最近気になってついお妃様を目で追ってしまっているんだ」
「それは、マズイと思うんだが・・・・・陛下に知られでもしたら」
「じゃあ、誰かお妃様に何があったのか、教えてくれよ」
「もしかしたら・・・いや、そんなはずは無いし」
「言ってみろよ、ここだけの話にしておくし」
「いや、だから・・・・・もしかして、陛下とお妃様の間には、
今まで・・・・・」

2,3人で立ち話をしていたが、次第に人垣が出来てくる。
短い休憩時間にこうも人が集まるものか?と言うかのように。
群がる官吏たちが一斉に生唾を飲み込んで、次の言葉を待つ。
それを遠巻きに見ている者がいた。


「あれは何だ!」
「何って、官吏たちだね」
「それくらい、分かっている。
何故、あんなにも人だかりが出来ているんだ」
「う~~ん、何だろうね。
案外『お妃様は最近お綺麗になられた』なんて言っていたりして」
「はぁ?あのお妃がか?」

眉間に皺を何本も寄せて、首を捻る方淵。
それに対して、涼やかな表情で穏やかに微笑む水月。

両手に書簡を持ちつつ移動する際に見かけた光景。
看過するには、少々気になる。
方淵が思うことは、盲目的に敬愛する陛下に対することであるならば注意する必要があるという一点のみ。
それは『不敬罪に値する!』と・・・・。

「方淵、君が何を考えているのかは何となく想像がつくけれど、
僕が思うに関わらない方が懸命だと思うよ。
それに彼らの論じている事は、君のその優秀なおつむで考えても答えは出ない事だと思うし・・・」
「何だと!!!私の陛下に対するこの忠誠心を疑うというのか?」
「だ・か・ら、陛下の事ではないよ。
それだったら、僕の危険回避センサーが警告を鳴らすと思うし」
「ならば、私が行って確かめてくる!!」
「ちょ、ちょっと!方淵」

ズンズンと靴音を鳴らし、勇み足で彼らに近づく方淵。
それを見送りながら、大きな嘆息を吐き出す水月。

「おい、きさまら!何をそこで論じている。
この回廊は陛下もお通りになる所だ!邪魔だろうが。
それに、何の話題なのだ、こと陛下に関してならば不敬罪となることも有るのだ。
その事を弁えているのか?」

方淵の厳しい口調に、官吏たちがタジタジになっていた。

「はぁ~~方淵。全く分かってないね、君は・・・言い方ってものがあると思うんだけどね」

柔らかい口調で官吏たちの後ろから話しかけたのは、水月で。

「君たち・・・・・・大体何を論じていたのかは想像がつくけど。
お妃様の事だよね・・・お綺麗になられた理由は何かって」
「これは、水月殿!!!我々にその秘密を教えてはくれまいか?」
「ふふっ、知りたいのかい?」

「「「はい!!!勿論です!!!!!」」」

人垣の中の官吏たちは口を揃えて返事をする。
その表情は、皆興奮して上気しており。

「それはね・・・・・・」
「それは・・・その先を早く!!」
「私が言うよりも、いいモノがここにあるのだけど」
「いいモノとは?!」

差し出したのは、桃色の綺麗な紙で包まれた巻物だった。
大よそ、政務に関係のある書簡だとは考えにくい。

「これを読めば、君たちもお妃様の秘密を知ることが出来るよ」

傍にいた巻物を手渡すと、方淵に目で合図してその場を立ち去った。
その去り際、水月はボソリと呟く。
誰にも、そう、隣に並ぶ方淵にも聞こえない囁き声で。

「お妃様は、ついぞ最近、陛下のお手つきになったんだよ。
まぁ、これは誰も知ることもないことだけどね」


その場からある程度離れたところで、方淵が徐に口を開く。

「おい、あれは何ったのだ」
「あれ?ああ、あの巻物ね・・・・あれは、我が妹が書した物語の巻物だよ」
「お前の妹が書した?」
「まぁね。そういえば、方淵は知らなかったね。
我が妹はお妃様を心酔する余り、陛下とのめくるめくロマンスを書し出してしまったんだよ」
「はぁ?」
「フフフ、まぁ、こんなところであの巻物が役に立つなんて思わなかったけど」


*************


その後。
臨時妃であったことを暴かれる心配は無くなった。
李順の頭の痛くなることも無くなった。

それは水月の功績であり・・・それを命じた李順の手腕。
李順は知っていた、女官たちの間で広まっている紅珠先生による壮大なロマンス物語なるものを。
それを使って、陛下とお妃様の脚色されたロマンスを官吏たちに植え付けるという策。


それは見事に功を成し・・・・・。
官吏たちの間にお妃様ファンクラブなるものが密かに作られた。
そして政務室に現れる夕鈴に対して、
官吏たちの視線が温かくも何とも言えない尊敬の眼差しとなった。

そして。
官吏たちが水月に物語の続きをせがんだことは、
その当事者たる夕鈴と黎翔の全くあずかり知らぬ事である。


********


「ねぇ、夕鈴。僕たち、最近政務室で注目を集めているような気がするんだけど」
「注目ですか?それは、当然だと思いますが・・・・。
だって、黎翔様は狼陛下なのですし」
「いや、僕が!じゃなくて・・・・・僕たちが!だよ」
「私も入るのですか?」
「うん」

そう、あの官吏たちが夕鈴を見る目つきが気になるっていうか。
まぁ、色目ではないから放っておいているけど。

「そうですか・・・・私、少し政務室通いは止めておきますね」
「えっ?なんで??」
「だって、官吏の方々の事が気になって黎翔様のお仕事が進まないと困りますし」

・・・・だって、そんな事にでもなると、私が李順さんに怒られることになるんだから!!

「そんなぁ~~それじゃあ、僕頑張れないよ」
「大丈夫です!!」

夕鈴は寝台の上にちょこんと座り、上目遣いで黎翔を見詰める。

「だって、黎翔様はこの国の発展や民の暮らしの向上を願って政務に励んでいらっしゃることは、私が一番知っていますから。
だから、そんな私がいる、いないなんて関係ないですよね」

花も恥じらうような、艶やかな微笑み。
それは黎翔にしか見せない、極上のモノで。

そして、それは合図でもあった。
本物の夫婦となった時からの・・・夜の儀式。

「夕鈴・・・・・・・」

黎翔が夕鈴を抱きすくめて、優しく寝台へと押し倒す。
二人の視線が絡み合い、唇が重なり合う。
それは、息が続かなくなるまで。
互いを感じ合う。

そうして、今宵も長い夜が始まりを告げた・・・・・。


「お早く、支度をなさいませんと!
朝議に遅れてしまいます!!!」
「え~~、行きたくないよ」
「何を言っているのですか??
李順さんに叱られるのじゃありませんか!!!」
「じゃあ、あと1刻だけ!」
「先程から、そればかりです!!」

騒々しい朝。
それはいつもの事であり。

今頃、ハラハラしながら執務室で待っているであろう李順に、
夕鈴は心の中で詫びる。


・・・・・・スミマセン、全ては私が陛下を拒めないのが原因なんです。
今宵こそは、今宵こそはキチンと拒みますから。


そんな事を思っていても、黎翔に流される事は必至で。
夕鈴の思いなんて、黎翔には分からない。


そんな国王夫婦に・・・・特に夫の方に振り回される李順は、
今日も頭痛を覚えるのであった。




終。





2016.08.03 SNS初載





**************

先日、SNSの日記でUPはしたものの、
直ぐに下げてしまった話。
少し付け加えて、こちらにUPしました。

糖度も無く。
誰得にもならなかった話。

文章力の無さに、頭を抱える日々です。

ご拝読、有り難うございました


瓔悠。


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コメント
この記事へのコメント
追記が素敵♡
なんか2倍お得になって戻ってきた感じでこちらで読めて嬉しいです♪
マイペースで好きなものを書いてくださいね(#^.^#)
いつも楽しく読ませて頂いてます。
2016/08/05(金) 18:49:37 | URL | まるねこ #-[ 編集]
No title
また読めて嬉しいです(o^^o)
追記も(*^^*)

いつも楽しみにしています!
2016/08/05(金) 19:17:12 | URL | 花愛 #sZpm1ECI[ 編集]
No title
なんでー?
面白かったし面白いよ??
読ませてくれてありがとう。
楽しかった。

誰得…私得ですが、何か。←威張るな
2016/08/05(金) 21:21:56 | URL | あさ #-[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016/08/06(土) 06:03:10 | | #[ 編集]
No title
久しぶりです~^^

ココ最近忙しくって、しかも色々あってお話も読めてない状態が続いてます・・。
しんどい・・。

少しの時間でココに来た。
コメする気力もなく去ろうかと思ったんだけど、振り絞ったよ。

面白かったよ~^^
李順さんの手腕が羨ましいこの頃。
そしてそんな李順さんを欲している私がいる・・・。
誰得?うん、私得ですよ。得々です(笑)

次回も楽しみにしてますね~。
次いつ来れるか解らないけども・・・。つらーい。
2016/08/08(月) 22:52:54 | URL | ママ #-[ 編集]
まるねこ様

こんにちは~コメント有り難うございました
返信が大変遅くなりまして、申し訳ありません。


お得感が得られましたでしょうか??
あのまま掲載するのは、ダメだ!と思いまして・・・
書き足してしまいました。
あの時は、沢山励まして下さり、有り難うございました。

スンゴク勇気を貰えました。
こうしてここにお目見え出来たのは、まるねこ様のお蔭『大』なのですっっ。

いつもご訪問有り難うございます。
また宜しくお願いいたします

2016/08/28(日) 13:30:23 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
花愛様

こんにちは~コメント有り難うございました
返信が大変遅くなりまして、申し訳ありません。


あの時は、沢山励まして下さり
本当に有り難うございます。

こうしてここにUP出来ました。


いつもこちらにお越しくださり、有り難うございます
実は花愛様の足跡見ると、とっても嬉しくなるんですよ~~


2016/08/28(日) 13:32:05 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
あさ様

こんにちは~コメント有り難うございました
返信が大変遅くなりまして、申し訳ありません。


面白かった???
追記のお蔭でしょうか??
夕鈴と陛下のイチャな下りが無かったからね~SNSのは。

マジで誰得???と思いました。
はぁ~~やっぱりセンスが無いのが一番痛いんだよね~~

センスって売ってないんかな・・・。
扇子ならあるけどね~~(笑)
しょうもない、ダジャレだわ~~~

2016/08/28(日) 13:34:26 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
ともぞう様

こんにちは~コメント有り難うございました
返信が大変遅くなりまして、申し訳ありません。


あの時のドタバタは、本当に失礼いたしました。
でも励まして頂いたおかげで、こちらにUPすることができました。
本当に有り難うございます


水月の鋭さと方淵の鈍感さを書きたかっただけかもしれません。
この二人の掛け合いって、結構好きなんですよね~~実は。

2016/08/28(日) 13:36:34 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
ママ様

こんにちは~コメント有り難うございました
返信が大変遅くなりまして、申し訳ありません。


お久しぶりですって、私の方こそお久しぶりです!!

その後は少しは落ち着いたかな??
まだまだ暑いから、身体には十分気をつけてね。
夏バテには特に!!!


時間が無いのに、わざわざコメントしにきてくれて
有り難う~~~。
スンゴク嬉しいよ~~~


うにゃ、マァマも私得になれた??
それは良かった~~~
皆さんの激励が無ければ、これお蔵入りしてたんだぁ~

良かった~~~
ヒマになったら、どうぞこちらにお越しくださいね。
お待ちしております。

2016/08/28(日) 13:42:39 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
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