【極めて非日常的な出来事・7】
2016年05月07日 (土) | 編集 |
【設定】 

現パロ設定  ・ 恋人未満

【注意事項】

こちらの作品は【アリスの口づけ】とは、
全く違う設定の現パロとなっております。

二人が出会い、そして繋がり結びゆく展開を
お楽しみいただけましたら幸いです。






ポロッ。

私の頬を流れていたのは、透明な雫だった。

『・・・・・・・・私、なんで泣いてるのよ』
心の中で自分に突っ込みを入れる。
でも、私が意図して流した涙で無い以上、私にも理由なんて分からない。
それに困った。
『これじゃ、社長が困ってしまう』
ホント、こんな往来で男女が一緒にいて女の子が泣いているなんて、
道行く人が見れば、悪者になるのは社長であって。

「す、す、すみませんっっ」

私はペコペコ頭をさげて社長に謝った。
でも涙が止まらない。

「そんなに嫌だった?」
「そんなんじゃ、ないんです・・・・多分」
「多分?」
「・・・・・・・・・・・・・私、女の子扱いされたことが無くて。
だから、あんな風に言われたことにビックリ・・・・したんだと・・・思うんです」

私は社長さんに言いながら、自分で納得していた。

そうだ、私・・・・・・自信が無くて。
でも社長さんが褒めてくれたことが、信じられなかったんだ。

分かった途端、私の胸の奥の恐慌が静かに治まったような気がした。

「大丈夫?」

俯いた私の顔を覗き込む社長さんの声音が、優しく聞こえてきた。
それがひどく安心出来た。

「・・・・・大丈夫です」

私は顔をクイッと上げて、微笑んでみせた。

「嫌なら・・・・・・「いえ、大丈夫です!だって、今日はこの後パーティですよね。
だったら、人にこの姿を見られるのだから慣れておかないと」」

そう、私はバイトの為にこんなキレイなドレスを着ているんだった。
一度引き受けたからには、まっとうしないといけないってことくらい分かる。

「このままで・・・いいです」

でも恥ずかしいって事には変わりはないのだから、私の声は小さくなる。
それでも私は顔をシャンと上げて、社長さんを見詰めた。

社長さんの深紅の瞳は、柔らかく私を見詰めていた。
透き通った紅玉は、温かみを帯びていた。

「ちょっと、待っててくれるかな?」
「は、はい」

私の返事を聞くや否や、社長さんはこの場から立ち去っていた。
何処へ?とは問う間もなく。

私は一人残されて、道の端っこで待っていた。
行き交う車が目に映る。
でも私の意識はそこには無く・・・・・。
いなくなった社長さんの事を考えていた。

私の子供っぽい我儘に嫌気が差したのだろうか?とか。
こんなに着飾っていても十人並みの容姿の私だから、ちゃんと婚約者に見えるのだろうか?とか。
たわいのない事を・・・・・。

だから、私に近寄って来ている人には気がつくなんてことは無った。

「ねぇ、オレらと遊びに行かない?」
「はい???」

いつしか、私の前には3人の若い男性がいた。
でも、私の知り合いでは無くて。

「いえ、私・・・人を待っているので」
「ええ~~さっきから見ていたけど、誰も来ないじゃん」
「オレらが捜してやろうか?」
「お気遣いなく、大丈夫ですから」
「そんな事、言わずに。オレらの親切心を無駄にすんなよ」
「いや、だから、私に構わないでください」

私がいくら断っても、3人の男性は一向に立ち去ってはくれなくて。
ホトホト困りかけていた時。
グイッと私の腕を引っ張られた。

「ほら、オレらと遊ぼうって言ってるだろっっ!!!」

それは、3人の中の1人だった。
強引に連れて行こうとする。

「やめて下さい!!」

私は掴まれた腕を離してもらおうとブンブン腕を振ってみたけど、
思いのほか強く掴まれているらしく外れなかった。

「離して!!!!!!」

怖い。
そう思って目を瞑った瞬間、捕まれた腕が外れて・・・・。

「おいっ!!!人の連れに何をしているんだ!!!」

押し殺した低い声が、聞こえた。
私が瞳を開くと、私の目の前には大きな背中があった。

「社長さん・・・・・」
「ゴメン、一人にしたのは間違いだった」

私は安堵から、大きく息を吐き出した。

「私の女に手を出そうとするとは、良い度胸だな。
だが、この女性はお前たちが相手に出来るようなそこいらの女じゃないんだ。
サッサと立ち去ってもらおうか」

鋭利なナイフでえぐるような・・・静かだけど、背筋から汗が流れるような声音。
私は社長さんの本気度が窺えた。

ホントに怒ってくれているのだと。

こんな状況なのに、何だか嬉しく感じる自分がいた。
不謹慎だけど、喜んでいる自分に驚いた。

「・・・・・あの、もういいです。
何もされていませんし」
「私の気が済まないのだが」
「いえ、私もはっきりとしなかったですし」
「・・・・・そうか。
だ、そうだ!彼女がお前たちを許すって言っているから、この場は収めるが。
二度目は無いからな」
「「「はいっっ!!!」」」

私に絡んできた若い3人組は、駆け足で去って行った。

「怖い思いをさせて、ごめんね」

社長さんはそう言うと、私の肩にフワリとボレロを掛けてくれた。

「これ・・・・・」
「夕鈴が恥ずかしそうにしてたから、これを取りに行っていたんだ。
まさか、あんな奴らが近寄ってくるとは思わなかったから・・・・」
「いえ、社長さんが助けてくれたから、大丈夫です」
「社長さんじゃないよ、黎翔さん・・・でしょ」
「そうでした・・・・・・黎翔さん」

口元を緩ませ微笑みながら、手を差し伸ばしてくれた社長さん。
私は迷いなくその手を取った。


これが、始まりだった。
恋の。
私の初恋の。




続く。




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コメント
この記事へのコメント
こんばんは。変な時間に寝落ちから覚めたらとっても素敵なお話が!
甘いです(*´ω`*)
社長さん優しい♡
そして夕鈴は恋心を自覚しましたね。この後の展開が楽しみです。ジレジレするのかな(´∇`)
ゆっくり更新でもいつでも待ってます♪
2016/05/07(土) 04:16:50 | URL | まるねこ #-[ 編集]
うわーい!更新されてる~♪
おはようございます~。

かわいらしいですわ・・初恋が17歳だなんて。
黎翔さんが守ってる!広い背中に守ってもらえるのは素敵ですよね~。女性ならほとんどの方が好きなのでは?!
私は超好き。

しかし、この男達はしつこいですね・・・。
可愛い女の子こそそういうのに靡かないというのが解らないんでしょうか。男の子って・・。

***

さて今日は息子が地区大会。
さっき出かけていきました~。
自転車で15分もかからないところの競技場なのでゆっくりしてますね。
応援に行こうと思ってるんだけど、いつ走るかわかんないからスタートリストの写メ待ちなの~。
お買い物にも行かなきゃ今日はやばいんだけど、時間的にどちらを優先しようかなというところです。

ではでは。
2016/05/07(土) 07:30:11 | URL | ママ #-[ 編集]
続きが読めてうれしいですっ!
お久しぶりです〜(*^^*)
仕事もリアもパタパタでコメントが残せずすみませんっ!!
全部楽しく読んでます(≧∇≦)
オフ本も楽しみにしてますよ!!

恋心が芽生える瞬間に立ち会えて嬉しいですっ\(//∇//)\
パーティでどうなるのかドキドキ!
2016/05/07(土) 21:05:42 | URL | まんまるこ #-[ 編集]
このシリーズ大好きなので続きが読めてうれしい。読んだのは更新されてすぐでした。そして、今日PC開けてびっくり。兎がかわいい・・・。瓔悠さんのブログの壁紙いつも楽しみなんですが、今回はニマニマしてしまいました~。スマホだとわからないんですよね。だからPCと両方でチェックしてます。
2016/05/09(月) 09:38:58 | URL | ますたぬ #5RBA.3h6[ 編集]
まるねこ様

こんばんは~コメント有り難うございます
返信が遅くなりまして、申し訳ありません

寝落ちしていたようですが、風邪は引きませんでしたか??


こちらは現パロで、反応がどうかなぁ~~と少し心配だったのですが、
気に入って頂けて、嬉しいですっっ!!

社長さん、優しかったですか??
まぁ、良かった~~

今後、どうやって結ばれていくか・・・ジレジレですが
どうぞ見守って下さいね~~

応援、有り難うございます~~
2016/06/13(月) 20:37:20 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
ママ様

こんばんは~コメント有り難うございます
返信が遅くなりまして、申し訳ありません


ホント、確かに17歳で初恋は遅いよね~~
私は小学1年だった・・・。
確か、田中君って子だったな~~
(遥か昔の事だけど・・・)

男性の背中に守られるって、女性としてはマジで嬉しいですよね~
私は・・・・・旦那さんに・・・・・無いな。
ああああ・・・これだからダメなんだ。
少しか弱くならないと。


息子クン、結果はどうだったのかな?
カッコイイ息子クンの写真は撮れました??
2016/06/13(月) 21:05:33 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
まんまるこ様

こんばんは~コメント有り難うございます
返信が遅くなりまして、申し訳ありません

続き・・・ボチボチ過ぎてスミマセン~~
気が付けば、また間が開いてる~~~~。
これは早急に書かねばっっ!!

オフ本。
マジで頑張れば、秋には出来そうです。
・・・・・・あるイベントに合わせて。
うん、頑張りますっっ!!!

続きなのですが、またお待たせするとは思いますが
どうぞ宜しくお願いいたします。





2016/06/13(月) 21:08:41 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
ますたぬ様

こんばんは~コメント有り難うございます
返信が遅くなりまして、申し訳ありません

まぁ、このシリーズが好きだとおっしゃっていただけて
嬉しいかぎりですっっ!!
現パロって好き嫌いが分かれますし・・・。


PCの壁紙・・・結構早い頻度で変わっていると思います。
私自身、飽きっぽい性格なもので・・・。
自分が一番自分のブログを目にする機会も多いので
しょっちゅう変えてます。
ますたぬ様も楽しんでいただけましたら嬉しいです~~~
可愛いモノ好きなんですよ、私。



2016/06/13(月) 21:12:26 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
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