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臨時妃 ・ 原作寄り

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前々ブログ『遥か悠遠の朱空へ』からの再録です。







その少し前。
夕鈴はというと、湯殿のなかで身体をのばし一日の疲れ・・・精神的な疲れをほぐしていた。

今日も無事に終わった・・・・侍女さんは一日衣替えでバタバタして頂き、私はジッと見ていただけ。
はぁ、見てるだけだったけど、何だか気疲れしちゃったわ。
でも侍女さんは 、本当に手際が良くて片付けかたが効率的で見習いたくなるのよね。
見てるだけで手伝えないなんて、結構妃って窮屈であまり私向きではないわよね。

ピチャン。
静かな浴室に天井からの落ちた雫の音が響き渡る。
その音で夕鈴は我に返った。

「さてと、上がろうかな・・・」

独り言を呟きながら、湯殿から出て歩き出す。
脱衣所には既に夜着が用意されており、身体についた雫を丁寧に拭ったあと袖を通す。
薄い青色で裾は踝まであるワンピース風の夜着。
薄い生地でできておりまだしっとりとしている肌に貼りつき、細い腰つきが露わになる。
このところ昼間は暖かく汗がでることもあるが、やはり夜になると風はまだひんやりとして薄い夜着では、しまだ肌寒く感じる。
夕鈴は夜着と共に置かれていた上着を着込むと、その細い腰をも包み見えなくなった。
そして一緒に置いてある櫛で軽く髪を梳かしたあと、ゆっくりと脱衣所から出た。

部屋に戻ると、侍女さんが気を利かせて入浴後の夕鈴の為に冷たい果実水を卓の上に置いてくれたいた。
夕鈴は杯を手に取ると、有り難く頂くことにした。
乾いた身体に、スッ―と甘酸っぱい果実水が沁み入ってくる。

「すっごく美味しい!」

あまりの美味しさに、つい妃らしくない大きな声で呟いてしまい顔を赤らめる。
侍女さんを見てみると、こちらを見て微笑ましいといわんばかりの表情で微笑んでくれていた。
呆れられてはいないようなので、安心して残りの果実水を飲み干す。
入浴後の乾いていた身体は、たった一杯の果実水で潤ってくる。
あまりの早さで飲み干してしまったので侍女さんからお代りを勧められるが、もう大丈夫だと申し出を辞退した。

飲み終えると、侍女さんが数人で香油を塗ってくれたり髪を梳かせてくれたりと、夕鈴の夜の支度をしてくれる。
これは陛下がお渡りになるならないにかかわらず毎日の光景で・・・・。
臨時花嫁になりたての時に比べるとアタフタもしなくなり、夕鈴も慣れてきていた。

そうこうしていると、陛下がこちらにお渡りになっていると先触れが入る。

夕鈴は、慌てて昼間に準備しておいた茶器を一通り確認する。
今日の茶壺は白磁製で正面に浮かびあがっているのは蓮の花で、この茶壺は夕鈴のお気に入りである。
茶壺に合わせて茶杯も白磁製でこちらには小花が藍色で控え目に描かれておりこちらもお気に入りも茶杯だった。

理由は単純で絵柄が色とりどりではなく控えめな単色の小花であること。
以前刺客撃退の為に割ってしまった青白磁製とは違い、
白磁製なので余り高価ではないだろうと予想出来ることからである。

しかし夕鈴の見解は見事に外れており・・・後宮で陛下にお出しする茶杯ということで、もちろん白磁製のなかでも逸品中の逸品なのである。
知らぬが仏とは、この事である。

今日の茶葉は『東方美人』とにした。
このお茶は烏龍茶の一種で、茶葉は烏龍茶の茶葉・白毫のある芯芽・枯れ葉のような赤茶色の葉の三色からなり、水蜜桃を思わせるように甘く豊潤な香りがする青茶で、日頃から夕鈴がよく好んで飲んでいるものである。
すべて整っていることを確認した夕鈴は、戸口まで陛下が訪れるのを出迎えることにした。

「妃よ、今もどった・・・昼休憩以来だな。
衣替えもすっかり終わったようだが、昼間も言ったと思うが夏の衣裳は色鮮やかで、どの衣裳も妃に似合うのだろうな。
折角だから、私の目を存分に愉しませてもらいたいものだが・・・」

この一言で、侍女たちは『お妃さまを着飾らせることが出来る』と色めきたつ。
どうも侍女たちは夕鈴のお世話がしたらないらしく、またとない機会だと張り切っている様子が窺えた。
その侍女たちの様子に満足したのか、陛下は夕鈴の肩にさりげなく手を添え長椅子へと誘う。
そうしながらもすかさず片手をあげ、侍女たちを下がらせるのは忘れなかった。

「侍女さん達、行ったみたいですよね!
陛下・・・あ、あの、肩にさりげなく置かれた手をですね・・・そろそろ下ろして頂けませんでしょうか」

夕鈴は、下を向いて言いづらそうにお願いをする。
表情ははっきりとは解らないものの、赤面していて恥ずかしくて居たたまれないという様子みたいだ。
僕はまだ触れていたくて、聞こえないふりをして夕鈴の肩にそっと手を乗せたままにする。
夕鈴は体温が急上昇しているらしく、僕の手を通しても身体が火照っているのがわかる。
そんな夕鈴の体温を感じられ、僕までほんわか暖かくなった。

「陛下・・・もう一度言いますが、肩に乗せている手を下してください」

夕鈴は、真っ赤な顔をしたままブルブル震えている。
これは夕鈴の怒りが頂点に登りつめる前兆だ。

まっ、まずい!!
このまま夕鈴が怒り始めるとなかなか収まらない。
それより最悪、この部屋から追い出され兼ねない。

僕は夕鈴の怒りが爆発する前に肩から手をはなし、もう片方に持っていた包みを夕鈴の目の前に差し出す。
夕鈴は怒りを忘れて、きょとんとした目で包みを受け取った。

「なんですか?これは・・・」
「これはね、隣国の珍しいお菓子だよ。
献上品の中にあったから夕鈴に食べて欲しくて、持ってきたんだ」

『夕鈴に・・・』を強調して言うと、隣にちょこんと座っている夕鈴から笑みがこぼれる。
この顔が見たくて夕鈴に逢いに来るんだよね・・・。

「では、お茶を入れてきますね!陛下も一緒に食べましょ」

夕鈴は、すくっと立ち上がりお茶道具一式が置いてある卓へと向かう。
夜着は既に初夏の物になっており、薄い生地で夕鈴が歩くと裾が踝の上までヒラリと舞い上がる。
ゆっくりと歩く腰つきは上着越しでも細く縊れているのが容易に分かる。
そんな夕鈴の後ろ姿を、僕はボォ~~と眺めていた。

夕鈴はというと、何だか後ろからの視線を感じるけど夜着が何か変なのかな?というくらいしか感じていなかった。
だから黎翔が『夕鈴は艶めかしいなぁ~やっぱり薄着はいいよなぁ』などと少し不埒なことを考えているなどとは露知らず、一生懸命にお茶を入れるのだった。

そうして夕鈴は・・・・・その姿で黎翔に沢山サービスしていたとは一切気づくことはなかった。

次の日。
いつにも増してご機嫌麗しい黎翔は、ここ何日かで溜まりに溜まった政務も綺麗に片付き、李順が喜んだとか?!




終。



2012.05.24,25,29 
2012.06.01 SNS初載


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瓔悠

Author:瓔悠

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