【アリスの口づけ・12】 互いの想い
2016年02月01日 (月) | 編集 |
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【注意事項】

この作品は、某SNSのコミュニティにて開催されたハロウィンパーティに合わせて
『花の四阿』管理人・さくらぱん様とコラボした作品を私なりに加筆したものです。

【設定】に表示しております通り、現代パロディの作品となっておりますので
ご注意の上で閲覧くださいませ。






「ねぇ、夕鈴・・・・ホントは心細かったんじゃないの?」

黎翔さんの腕の中で、小さく息を付いた私に彼が訊いてきた。

どうしてこの人は、些細な私の変化を見逃さないんだろう。
どうして私は、こんなにも嬉しい気持ちになるんだろう。

私は、知らずに頬が緩んでくるのを感じていた。
でもそんなことは黎翔さんには悟られたくなくて、努めて明るく言ってのけた。

「そんな事無いですよ。
だって、私勝ちたかったんですから!
だから、必死に黎翔さんを探していたんですよ」
「ふぅ~~ん、そうなんだ」
「はい!!」

私は恥ずかしくて、強がってみせた。
黎翔さんはそれ以上は何も言わなかった。
その代りに、抱き締めたまま私を離すことは無かった。

でも。
ホントは心細かった。
ミラーハウスで、お互いにお互いを探して。

このまま、出会えなかったら。
離れ離れのままだったら・・・・。

そんな有り得るはずもない馬鹿な考えが浮かんできて、
私は本気で哀しくなった。
ミラーハウスで迷いながら、黎翔さんを探し求めた道のり。
とっても長く感じて。
終らない永遠のような気がして。
ホンの少しの時間、離れていただけなのに。
だからあの場所で出会えたときはものすごく嬉しくて、それに心の底からホッとした。
黎翔さんが力強く抱き締めてくれているこの時・・・・・背中に感じる彼の温かな手をもう二度と離さないで欲しいと、私は願う。

彼の香しい香りに包まれて、心から湧き上がる黎翔さんへの想い。
そしてそれと同時に、離れたくない・・・このままでいたい。
あんな思いは、もう二度と味わいたくない。
そんな気持ちが止められなくて、想いが溢れてきて昂ぶってくる。

『ツゥーーーーー』

静かに頬を滑り落ちる、冷たい雫。
後から後から、止まる事無く落ちていく。
・・・・・・私は泣いていた。
彼の胸の中で、ボロボロと子供みたいに泣いてしまった。
黎翔さんが安心させるかのように、私の手を取って強く握りしめてくれた。

暖かい。
繋がれた手が熱を帯びて熱い。

段々と私の頬を流れた涙の痕が乾いてく。
泣きじゃくった私のひどくみっともない顔を見られたくなくて、私は俯いた顔を上げられない。
手を繋いだまま歩き始めた彼に、私は黙って連れ添って歩いた。


*******

夕鈴が泣いてる。
心細かったんだとそこで初めて気が付いて、僕は夕鈴を強く抱き締めた。

『狼陛下』と二つ名で呼ばれている自分。
会社経営の事を完璧に把握出来ていても、
自分の愛しい彼女の気持ちが分からないのはどうなのか?・・・・と思う。

あの迷路の中で彼女は何を感じたのだろうか?
心細くて泣いてしまうほど。
普段の彼女からは想像もつかない。
いつも明るくて、元気で。
一緒にいる僕までも気持ちを温かくしてくれる。

そんな夕鈴だからこそ・・・・分からないんだ。
心細いくらいで泣くわけがない。
何を感じて。
何を不安に思って。
泣くのだろうか?

でも僕が希うのは、ただ一つだけ。
あの時、迷路で夕鈴を探しながら思ったこと・・・・・夕鈴が欲しい、離したくない。
その想いだけ。
その想いが、僕を突き動かす。


*********


静かに流れていく刻。
周りの煌めく光が私達を包んでくれている。

誰もいない。
ここには黎翔さんと私だけ。

二人でこんなにも一緒にいられるのは久々だったから、
私は時間が経つことなんてすっかりと忘れていた。
だから、今が何時なのかさえ分からない。

パーク内の中心にそびえ立つ大時計の針は、23時を指していた。
まだまだ黎翔さんと一緒にいたい気がするけれど・・・・もうすぐデートの時間が終わりを告げる。
お互いに何も言わなくともそのことを感じて、自然と寄り添っていた。


「どこか、静かな場所に行きたい・・・・・」
「いいよ、何処に行こうか?」

ぽつりと呟いた私に、黎翔さんがうなづく。
急に甘えん坊になった私は、黎翔さんの肩にもたれてゆっくりパークを、あてどなく歩いてく。

甘く。
切なく。
互いの温もりを感じて。

夕鈴が。
黎翔さんが。
お互いにお互いを、唯一無二の存在だと・・・・決して無くしたくない存在だと再認識したから。



続。





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