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【アリスの口づけ・10】 悪戯な彼 

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【注意事項】

この作品は、某SNSのコミュニティにて開催されたハロウィンパーティに合わせて
『花の四阿』管理人・さくらぱん様とコラボした作品を私なりに加筆したものです。

【設定】に表示しております通り、現代パロディの作品となっておりますので
ご注意の上で閲覧くださいませ。











「クシュンッッ!!!」

折角の甘いムードを私のくしゃみが吹き飛ばした。
そんな私を見た黎翔さんが、自分の着ているタキシードの上着を脱いでそっと後ろから掛けてくれた。

「えっ、いいですよ、大丈夫ですから」
「だって、夕鈴・・・・寒そうだよ。もしかして、風邪引いた?
少し寒くなってきたみたいだね」
「風邪ではないと思いますけど、でも確かに寒いですね」
「じゃあ、デートの続きをしようか?
思いっきり遊べば、寒さなんてきっと感じないよ」
「そうですね・・・・折角の貸し切りですもんね。
楽しまないと損です!!」

夕鈴はニッコリと笑って、黎翔の提案を受け入れる。

そう、折角のデート。
普段忙しい黎翔さんが自分の為に計画してくれて、こうして楽しませてくれている。
だから、もっと楽しまないと。

「ねぇ、夕鈴!!この近くに、此処のパークで一番人気のアトラクションがあるんだ。
行ってみない?!」
「はい!!いいですね、行きましょう~」
「じゃあ、こっちだよ。夕鈴、ほらっ急いでっっ!」

差し出された手を私は自然に絡ませた。
それをチラリと確かめた黎翔さんは、私の手を引いて早足で目的地に向かう。
私は掌に感じる温かさに口元を緩ませながら付いて行く。

そしてやってきたのは、小さなトンネルの入り口。
この奥にアトラクションがあるのだという。

薄明かりのヒカリゴケが淡く染める細いトンネルを、二人肩を寄せ合い進む。
やがて水の流れる大きな音が聞こえてきた。
まだ位置的には山の中だけど、洞窟風の開けた場所へと抜け出た。

目に入ってきたのは、大きなテントウムシ。
いや、それはテントウムシ型の丸いボートだった。
それが人工の川にプカプカ浮かんでいる。
赤や黄色、青、緑、橙色、ピンクといったカラフルなテントウムシ型の乗り物は、
透明なドーム状の密閉型の屋根が付いている。

見ようによってはテントウムシというよりもカラフルな水玉UFOみたい・・・・。

何だかユーモラスで可愛い雰囲気が微笑ましくて、私はクスッと笑った。
でも黎翔さん曰く、これがパークで一番スリリングな乗り物なのだと。
乗り込んでから黎翔さんに聞かされた私の顔は、サァ~と青褪めた。

このアトラクションは、ウォーターボートスライダーとコーヒーカップとジェットコースターを足して三で割ったものらしい。
訳のわからない彼の説明が、更に私の恐怖心を煽る。

大した覚悟も無いまま・・・アトラクションのライドに乗り込んでしまった私。
容赦なく透明なドームの屋根がカチャリと閉められた。
アトラクションの案内人のお姉さんの眩しい笑顔が、恨めしくさえ感じてくる。

「お客様、危ないですから、お席にお座りください。
それでは、楽しんできてください・・・・・いってらっしゃいませ♪」

アトラクションの案内人のお姉さんに送り出されて、
あっという間にライドは川の流れに乗った。
私たちの乗ったライドは、すぐに曲がりくねった流れを順調に出発していった。

「夕鈴、ドキドキするね」
「・・・・・・黎翔さん」

ドキドキするなんて言っている割には、黎翔さんの顔は凄く楽し気で輝いている。
これはこの乗り物に対してなのかな?
何だか違うみたい・・・・・そう、私は悟った。

私は、何が起こるのか?そういう意味のドキドキを感じていた。
この密閉空間に二人っきりになったっていうのに・・・・・全く、恋する女の子としてはあるまじきドキドキ感。
ただの恐怖心・・・・はぁ、ダメだわ、緊張してきた。

私は、ライドの中央にあるハンドルのような捕まり棒をがっちり両手で握り締めるのだった。

最初は小さな滝を落ちながら、緩やかな流れをたゆとうように下っていった。
時折、ライドは山の外に出て外の夜景を楽しめた。
岩山には夜にも楽しめるように、光る花々が咲いていて、とても綺麗だった。

「ねぇ、ガチガチに緊張しなくて大丈夫だから、もっと楽しもうよ!」
「そんな余裕はありませんよ!!
イヤッッ、黎翔さん!!
もう、ななななななななななななっ
何するんですかっっっっっーーーーーーっ」

余りの恐怖に声が上ずる。
声にならない悲鳴まで出てくる始末。
それもそのはず!
突然、ハンドルを回し始めた黎翔さんがいて。
回すとライドが、コーヒーカップのようにくるくると廻り始めた。

ライドの下に強力な磁石が埋め込まれているそうで、
水の上でも遊園地のコーヒーカップと同じ動きが出来るらしい。

いや、そんなオプションは要らないから!!!

水の流れと、ライドの回転運動・・・ライドの動きが予測不能で、私はすでに目を回し始めていた。

私が楽しめたのは最初だけ。
後は、恐怖の連続だった。
強烈な渦潮に巻き込まれたり・・・不規則にぐるぐる廻り右に左に水の動きに翻弄されるテントウムシに、私は胃が押し上げられる感覚を覚えていた。

そしてだんだんと大きくなる滝は、着地も予想外で。
何度も、大きな水飛沫がかかった。
まぁ、透明なカプセルに包まれているお蔭で全く濡れることは無いけど。

ラストの大滝では、ライドが宙を飛んだ。
そのまま高波を上げながら水中を勢いよく、ライドは突っ込んで進む。
終点まで絶叫続きののあっという間の時間だった。

「大丈夫??夕鈴・・・・・」
「ふにゃ・・・・大丈夫・・・れないれふ。
ちょうと、ひゃふませて」

終始元気で楽しそうな黎翔さんと違って、
私は乗り物酔いが酷くて・・・支えてもらってようやく歩けたほど。

噂に違わぬ絶叫系アトラクションに、私の咽喉は枯れた。
全力で叫んで、先程の寒さは吹き飛んだ・・・むしろ今は暑いくらい。

黎翔さんには悪いけど、もう二度と乗りたくない。
ここまでのアトラクションとは思わなかった。
あんなにも可愛い乗り物なのに、何とまぁ恐ろしい。

「次は、何して遊ぶ?」

パークの地図を見ながら、本気で悩む元気な彼。
もう乗り物はこりごりだと、恐怖感で身体をブルブル震わせる私。


私は周りをキョロキョロ見回してみると、傍近くにミラーハウスを見つけて指差した。

「ミラーハウス?」
「はいっっ!」

あそこなら、怖い思いなんてしないから。
でもまさかあんなことになるなんて、この時点で私は思いも寄らなかったけど。

「いいよ」

ニッコリ微笑んだ黎翔さんは、私の手を引いて歩き出す。
私は、繋がれた自身の指が熱を帯びているのを感じていた。

温かい・・・・・・。

恐怖感の余韻を吹き飛ばすような温かさをホンワリと噛みしめて、
私は自然と笑みが浮かんでしまっていた。





続。






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この記事へのコメント

素敵なお二人でした^^。
黎翔さんのジャケットを貸す場面で、これよね~これこれと一人納得してました!後もう一つは寒いね~から手つなぎのポケットinですよね~。←手を握り口元ふぅで見詰め合うでもいいですよ(笑)
夕鈴のドキドキ違いに笑ったし共感もしたよ^^
確かにわかんない乗り物乗るときって、底知れない恐怖が襲ってきますよね。私も絶叫系は苦手ですよ。でも随分と旦那様に鍛えられ克服した部分もありますけどね(笑)
絶叫系に載るときの緊張ってヤバイです。解ってても辛いよ・・。

欠片のほうは落ち着いたら読むから開けておいてね~←
連続コメでほんとごめんなさい。ゆりんのお言葉に甘えてます。

こんばんは~コメント有り難うございます
返信大変お待たせしました!!


素敵だった??
マァマはこの話は初めて読むから、ホントに新鮮に読めてると思うよ~
ジャケットの下りは、私が追加させた部分です。
だから褒められて嬉しいよ~~~。
ポケットインは確かにウキウキしていいよね!
そこまでは書き忘れた~~。

私は絶叫系は好きなんだけど・・・・最近は怖いモノが出てきてショック。
この前子供と乗ったのは、マジで半泣きしたもん。

さぁ、この『アリスの口付け』は年越してしまいました。
来年早々にでも完結させます。
だってコミュでは完結させているからね・・・。
しばし、お待ちを!!

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瓔悠

Author:瓔悠

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