【アリスの口づけ・8】 星降る夜に
2015年12月06日 (日) | 編集 |
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この作品は、某SNSのコミュニティにて開催されたハロウィンパーティに合わせて
『花の四阿』管理人・さくらぱん様とコラボした作品を私なりに加筆したものです。

【設定】に表示しております通り、現代パロディの作品となっておりますので
ご注意の上で閲覧くださいませ。







程なくして、私の偽婚約者のバイトは本格的になった。
社長さん…もとい、黎翔さんはあちこちの会合に私を付き添わせた。

それは、色々な場所で行われるパーティや新製品開発イベント。
更には自社工場の視察なんかまでも。
でも何処に行っても私達は注目の的。
そりゃこんなに若くてカッコいい容姿の黎翔さんだから、誰からも見られることくらい私にだって分かる。
でも頼むから私にまで、注目しないでほしい。
まぁ、それは突然降って湧いたような婚約者だからこそ、注目されているのでしょうけど。

いつもドキドキしてしまう。
何かおかしいのかしら?と不安になって、
自分の格好を慌てて確認したりもする。
だって私・・・こんな高級な服なんて着ないから、
似合ってないんだろうなぁって事は重々分かっているもの。

「珀社長に婚約者にしては、随分とお若いようですが。
おいくつですかな?いや、女性に歳を訊ねるのは失礼だったかな?
ハハハ」
「可愛らしい婚約者さんね。貴女、いくつかしら?
どちらのご令嬢?」

黎翔さんと離れた途端に私へと向けられる、男性たちのいぶかしむような視線。
そして、嫉妬心の入り交じった女性たちの鋭い視線。
女性たちには化粧室で押しのけられたりと、あからさまな嫌がらせなんてものもあった。

でも私は兎に角、自分にやれるだけの事を頑張った。
ちゃんと婚約者に見えるように、言動も丁寧でお淑やかにと気を付けた。
黎翔さんの偽婚約者として。

おかしなもので、私は少しでも家計の為になればとこの特別なバイトを引き受けたはずだった。
なのに、いつの頃からか黎翔さんの役に立ちたいと思うようになっていた。

多分、その時にはもう好きになっていたんだと思う。

その洗練された仕草に。
その信念に満ちた瞳に。

そして私はいつしか知ってしまっていた。
黎翔さんの二面性。
狼陛下と小犬陛下の両方を。
醸し出す雰囲気の違いに最初は戸惑ったけれど、
段々どちらの黎翔さんもいいなって思う私がいた。

くつろいだ時に見せる小犬も。
誰からも畏怖される狼も。
どれも、私を魅了した。

でも私なんかはただのバイトであって、
素敵な黎翔さんに恋するなんておこがましい。
だから絶対にこの恋は秘したまま、ただバイトに精を出すつもりだった。

『好きなんです』
何度、そう告げたくなるのを我慢したかしら。
何度、枕を濡らす夜を過ごしたかしら。


そして・・・・・あの夜が訪れる。


******


それは、あるパーティの帰りだった。
取引先の創立何十周年かのパーティで、いつも通り私は着飾らされて黎翔さんと出席していた。
黎翔さんは濃紺のスーツに身を包み、カッコよさを際立てせていた。
会場でも、良家のお嬢様たちの視線を一身に受けていた。

いつも通り・・・のはずだった。
パーティが終りそのまま家の付近まで送ってもらって、
それで今日のバイトも終るはずで。
だからあんな事を言われるなんて、思いも寄らなった。

「夕鈴、今日はもう少し時間もらってもいいかな?」
「えっ?は、はい。まぁ、大丈夫ですけど・・・・」
「そう、ありがとう」

そう言って、黎翔さんは優しく微笑んでくれた。
私も何だか嬉しくなって、満面の笑みを返した。

そして黎翔さんの運転する車で連れていかれた場所は、星が綺麗な丘の上だった。

空には零れ落ちそうな星たちが瞬いている。
月も西に沈んで、星たちだけが空に鎮座する。

「綺麗ですね~」
「そう?」
「はいっっ!街中ではこんなに沢山の星は見れませんよ」
「夕鈴が、喜んでくれて良かった」
「有り難うございます」

黎翔さんと私は、しばらくの間隣に並んで空を見上げていた。
一言も発することなく…静かで、穏やかに流れる刻。

見上げた空の中天で一際星が輝いたと思ったら、
そのままスゥーーーと流れ落ちた。

「黎翔さん!!!見ました?
流れ星です!!!」
「夕鈴は願いごとをしたの?」
「・・・・・あっ、あまりに綺麗過ぎて見とれてて、忘れちゃいました」
「そうなんだ」
「はい・・・・何だか損した気分です」

私の返答に、黎翔さんは口元を綻ばせていた。
そしてまた私は空を見上げる。
今度こそ、流れ星に願いを掛けようと。
また二人の間に沈黙が流れていく。

しかし、その静寂も黎翔さんの一言で破られた。

「好きなんだ」
「・・・」

それは一瞬のことで、不覚にも聞き逃してしまっていた。

「聞こえた?」
「何がですか?」
「だから、僕は君が好きだって事!」
「はい、聞こえまし・・・・って、えっっ~~~」
「そんなに驚かなくても…傷つくなぁ~」
「いや、冗談なんですよね?」
「冗談なんかで、愛の告白なんてしないよ」
「・・・・」
「夕鈴?」
「・・・・・・・」
「夕鈴??」

私の目の前で、黎翔さんは掌を左右に振る。

「ねぇ、夕鈴?」

私の薄茶の瞳からスゥーと一滴、涙が零れていた。

「えっ?夕鈴、泣くほど嫌だった?
困らせてごめん!もう言わないから!!
冗談だよ!うん、冗談っっ!!」

黎翔さんは慌てて、訂正の言葉を紡ぐ。
それを聞いた私は、左右に首を激しく振る。

「違うんです!!!私・・・・嬉しくて。
だって、私もずっと前から黎翔さんの事、好きだったから」
「夕鈴・・・じゃあ、僕の恋人になってくれるの?」
「勿論です!いえ、私で良ければ・・・・・・・」
「夕鈴でなきゃ、ダメなんだよ」
「はい、有り難うございます。
あの・・・・こんな私ですけど、宜しくお願いいたします」
「それは僕だって、そうだよ。夕鈴、これからよろしくね」

私の返事に黎翔さんは、身体をスッと引き寄せて優しく抱き締めてくれた。
これは夢なんじゃないかという疑いを黎翔さんの身体を抱きしめ返すことで、
現実の事なんだと実感した。

その時、また天空で星が流れ落ちた。
それを私は見逃していた。
だって黎翔さんに口づけられて、恥ずかしさの余りギュッと瞳を閉じていたから。

今までで一番、嬉しくて幸せで。
私にとって忘れられない星夜の事・・・・・・・・。




続。







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コメント
この記事へのコメント
おはようございます。
忙しさにかまけてコメント残せていませんが、毎日来てます\(^o^)/読ませてもらってます‼︎

今日だけは絶対‼︎

瓔悠さん、ハッピーバースデイ♡
2015/12/07(月) 07:12:04 | URL | タイフーンです(≧∇≦) #-[ 編集]
ふおおおおおお/////
朝から愛の告白シーンが読めるなんて思ってなかったよ~^^
今日一日、いい日になりそうです。こんなことで?(笑)
二人共素直に気持が伝え合えるのはいいことですよね。

そして、そして・・・!!(=^・^=)
ハッピーバースデーーーー!!!!よゆりーーん♪
遠いけど心だけはよゆりんのところに飛んで行ってるよ←恋人か(笑)

元気は元気なんだけど体調もそんなに悪くは無いんだけど、座っててもクラクラして・・。貧血みたいなんですよね・・・。
昨夜も旦那様に
「え?!お前顔真っ赤だけど熱でもあるの?」と頬に手を添えられおでここつん・・。(それでは解らないですよ・・)
「うーん・・」
次は首筋に手を添えて、頬を合わせる。
「熱いよ・・いまから寝るぞ!」といわれたが、
「子供達がまだ起きてるから」と反論すれば、
「そんなの放っておけ。小さい子じゃあるまいし。おい!お前らママを今から寝かせるからな。解ったな!」
と言いつけ寝室に連れて行かれた・・・・が眠れない・・。という状態だった。
今もフラフラしてる・・・。用事が山ほどあるのになぜ今時期なのか・・・。困るよ~(泣)

よゆりんも気をつけてね!^^

2015/12/07(月) 09:41:45 | URL | ママ #-[ 編集]
今日は💝バースデイパーティー🎁?

こちら昼と夜の間のおつかい中。
ずんやり仕事でござんす。今日はちょっと高級忘年会予約ですよん。毎度おおきに〜

寝室へは抱っこで?
うひっ(#^.^#)

瓔悠さんもママさんも体調お大事に!(◎_◎;)
私昨日は8時就寝でしたさぁ‥
ずっと頭痛取れないです‥

あーんほんとに告白良いわん♡レジ待ち中にもう一回読みにきました\(^o^)/
2015/12/07(月) 15:33:56 | URL | タイフーンです(≧∇≦) #-[ 編集]
タイフーン様

こんにちは~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!

お忙しそうですね~~
体調が崩されていませんか??
少し心配ですよ~~

コメントのことはお気になさらず~
忙しいのにコメントくださったことの方が申し訳ないですし。

でも毎日来てくださっているだけで
スッごくうれしいです~~~
私も頑張って更新しないと!!!!


そしてお祝いのお言葉!
有り難うございます~~~

無事に(?)歳をとりました。
はぁ~~この歳になると、毎年一つづつ減ればいいのに~って思いますよ。
うんうん。


2015/12/08(火) 16:54:49 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
ママ様

こんにちは~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!


まぁ、朝から良かった????
良かった???
良かった?????
って何度も聞き返すなっ!って感じだよね。

ホント、告白っていいよね~~
私、されたことってあったかな?(遠い記憶をほじくり返してみる・・・・・が、ほぼ無いわ)
フフフ~~あれは全くの私の願望だな。


そしておめでとうコール有り難う~~~
歳とったよ~~
まぁ、心だけはいつまでも20代のつもりだけどね。
うんうん。
いつまでも若くいたいのよ。


で、マァマ
それは風邪の始まりです!!!
兎に角、寝ましょう~~
旦那様の行動は正しいです!!!
これから年末でもっと忙しくなるであろうから、今の内に治しておいてね。
お大事に!!!!


2015/12/08(火) 17:04:09 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
タイフーン様

こんにちは~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!

昨日は特にはパーティはしてませんが、
夕ご飯は私の好きなものにしました。
ピザとパスタ。
ピザは出来合いモノですが、パスタはミートソースを作りました。
美味しかった。。。。
で、旦那を迎えに行った帰りに、旦那がワインを買ってくれたので
ゴクゴク飲みました。
白ワイン~~マドンナ(リーププラウミルヒ)でした。
実は、昨日は私の誕生日ですが、同時に結婚記念日でもあるもんで。
だから、夫婦で再度結婚生活について語り合いました。


タイフーン様は今日も今日とて忙しい!ですね。
今日は高級忘年会ですか!
これは腕がなりますね~~
ファイトっっ!!!

しかし、頭痛がしているとは!!!
これは働き過ぎのサインなのですよ~~
早く寝れる時は寝て下さいね。
ホント、お大事に!!!

2015/12/08(火) 17:10:07 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
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