【アリスの口づけ・7】 未知なる体験
2015年11月27日 (金) | 編集 |
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恋人設定 ・ 現パロ設定

【注意事項】

この作品は、某SNSのコミュニティにて開催されたハロウィンパーティに合わせて
『花の四阿』管理人・さくらぱん様とコラボした作品を私なりに加筆したものです。

【設定】に表示しております通り、現代パロディの作品となっておりますので
ご注意の上で閲覧くださいませ。






バイトの内容がガラリと変わってからというもの、それまで週3くらいで良かった出勤も毎日のように本社ビルへ足を運んでいた。

それは何故に?
一重に講義を受ける・・・・それだけの為に。

社長の偽婚約者なんてご大層なバイトを引きうけた私は、
それらしい振舞いを叩き込まれていたのだった。
更には、あちこちで質問攻めになるであろうことを想定して、
その受け答えを丸暗記させられ実際に実技特訓まで受けさせられた。

その講義の合間には、全身のサイズをしっかりと測られて試着三昧。
それはすべて、それらしい恰好をさせる為の服選び。
そして自分に似合うものを何点か貸与された。
あくまで貸与だけど・・・・・。

しかし普段着から、パーティドレスまで。
どれだけ金掛けるのよ、たかが偽婚約者の為に!!と叫びたくなるくらいのモノだった。
それこそ普通の高校生が着ることなんてないであろうブランドもの服で、
正直言って服に縛られているような感覚まで味わう羽目になっていた。

しかも偽婚約者の相手である肝心の社長さんとは会うことも無く、
これで本当にバイト代もらってもいいのかしら?と申し訳無さまで感じる始末。

「はぁ~~~なんで私、こんなバイトを請け負ったのかしら?
肝心の社長さんとは会えないし・・・もしかして、実は偽婚約者なんて必要なくなった?」

私は講義の行われる広い会議室で誰もいないことをいいことに、一人呟いた。

「そんなに社長に会いたいのか?」

私の言葉に間髪入れずに、後ろから掛けられた声。
驚きのあまり、ビクッと心臓の鼓動が跳ねた。

もしかして私の独り言、聞かれた?
誰?ここの社員??
偽婚約者のことがバレた?
これってかなりマズい状況よね!

私は怖くて振り返ることは出来ず、そのままだんまりを決めこんだ。
でもいつまでもこのままというわけにもいかず・・・・・ビクビクしながら振り返ることにした。

そこに立っていたのは、先日フロアで会ったイケメン青年だった。
そう・・・・・・この大企業のトップ、珀社長その人だった。

「あっ、その、あの、いや、そうじゃなくて!
初めまして、私、汀夕鈴と申します」
「知っている」
「ですよね・・・・・」
「社長さん!一つ訊いてもいい「社長さん、ではなくて黎翔さん!」」
「はい?」
「だから、黎翔さん!と呼ぶ!!」

いきなりそんな事言われても、そんな呼び方出来るような器用な私じゃない。
男性と付き合ったこともないし、名前で呼ぶような親しい男性なんていない。
いや、一人だけいたか・・・・・・幼馴染の几鍔が。
でもあれは男性なんてシロモノではないけど。
ただの嫌味でイヤな奴で。
あんな奴は男性ではない!断じて。

私は返答できずに、黙り込む。
実際は、恥ずかしくて・・・・それを打ち消そうと色々別の事を考えていた。

しかし、そのままといいうわけにはいかないはず。
だって目の前の男性は私を凝視しているし。
スッゴク威圧感を感じる。
私はそれに圧倒され、小さく小さく囁いた。
それも、林檎のように真っ赤っかに頬を染めて。

「・・・・・・・・・・・・・・・・黎翔さん」


「聞こえないのだが」
「・・・・・・・いじわるですね!!」

私は頬を染めたまま、口を尖らせ抗議する。

「まぁ、私は『狼陛下』何ぞいう通り名があるから、いじわるなのかも知れないな」

聞いたことがある。
あれは確か・・・フロア清掃していて聞こえてきた会話の中にしばしば出てきた『狼陛下』って単語。
それを聞いて、『陛下』ってどんだけご大層な人なのかしら?
どんな人がそう呼ばれてるのかな?って興味を覚えたことまで、ふと思い出した。

その人が今、私の目の前にいる。
そう呼ばれるに相応しい立ち姿で・・・・・・。
珍しい深紅の瞳が一層力強く輝いている。


私は知らず知らずのうちに、見惚れていた。
視線が外せなくなるほどに。


「さてと、君は私の婚約者になってくれるんだったな。
まぁ、よろしく頼む」

大人の余裕の笑みを浮かべると、私の手を取った。
そのまま自分の口元に持っていき、手の甲にそっと口づけた。


「エっ?
はい?
今、何を、しました?」

私は自分の身に起きたことを一瞬理解できずに、酸素切れの金魚のように口をパクパクさせていた。




続。


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