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 【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り











王宮から出て下町へと続く大通りに入り込むと、ようやく手を離してくれ夕鈴も一心地ついたのだった。

そして知らない人に付いて来てしまって今更では有るが、キチンと誰かに言わなくて良かったのか?と夕鈴の頭の中で眼鏡を押し上げつつ仁王立ちする上司の姿がチラついていた。

―――まぁ、後はなんとかなるわよね!!多分・・・・それよりも人探しって言っていたけど、まずはアレをどうにかしないと!!よね。

夕鈴が考えているアレとは_____________同行者の彼の服装をまずはどうにかしなければという問題に直面しているのである。

町中で異国の官服と云うのは、あまりにも目立ち過ぎる。
彼の人探しがどういう人をさしているのかは聞いてないが、人探しには適していない服装なのである。
だがしかし、それを言うのなら夕鈴も掃除婦の服装のままだから人のことは言えないのであったが・・・・。
このまま実家に帰ろうもんなら、青慎辺りがビックリするだろう。

「あの・・・・・言いにくい事ですが、私もですが貴方の服装も町中ではそぐわないので、其処かで購入しないといけないと・・・ただ、生憎私は持ち合わせが無くて・・・。」
「それなら大丈夫だよ!!僕が持っているから・・・ただ店は判らないから君にお任せするよ。」

並んで歩く彼は一度立ち止まり、ニコニコと柔和な笑顔で懐から財布を取り出すと夕鈴の目の前に差し出し見せてくれた。

「ほら、大丈夫でしょ!!ところで、今頃訊いて失礼かもしれないけど、君の名前は?僕はさっき名乗ったよね、悠 鐸って!!僕の事は『ゆう』って呼んで!!」
「はぁ・・・・悠さまですね、判りました。私は、夕鈴と云います。」
「『夕鈴』かぁ~~~ドッカで聞いた事ある名前だよね・・・・う~~~んと何処だったかな??」

―――あっ、この人、黄稜国の官吏だったわ!!!もしかして陛下の妃の名前だって気がついた??偽名にすればよかったのかしら・・・・いや、ダメよ!!今から下町に行くのだから、下町には知り合いがウジョウジョいるから、声掛けられたらすぐにバレるものね。

「う~~~ん、誰だったかな・・・・・・・あっ!!!思い出した!!確か国王陛下のお妃さまの名前が『夕鈴妃』だったんだ!!!って、もしかして?!」
「ちっっ、ちっ、違います!!!恐れ多い事ですが、同じ名前なんです!!!」
「そうなんだ・・・・そうだよね。お妃さまがあんなところで掃除なんてしないよね。」
「ですよ~~~~~~。」

夕鈴はバレないように、曖昧に笑って誤魔化した。
そして周りを見渡し、洋装店を見つけると悠の手を引っ張って案内したのであった。

_________そして半刻ほど後、二人は漸く町でフラフラしても誰からも咎められない服装に、様変わりしたのだった。

「さぁ、人探しに行きますよ!悠さま」
「じゃあ、宜しくお願いします、夕鈴さん」

二人は連れ立って、喧騒の下町へと溶け込んだ。



所変わって、後宮立ち入り禁止区域の夕鈴が残した書き置きのある水汲み場では、紅い瞳に怒りのオーラを乗せ佇む、狼陛下其の人がいた。

「浩大!!!如何言う事だ!!!夕鈴は何処だ!!!」
「・・・・・・お妃ちゃん、何処にもいなかったっす。」
「いない???王宮の何処にもか?」
「・・・・・・・・・・。」
浩大の返答が無い事から、王宮から後宮まで夕鈴が立ち寄りそうな場所はくまなく捜したが何処にもいないという事が窺い知れた。

そして二人は足元をジッと凝視する。
そこには、確かに夕鈴の字で書かれている書き置きがあった。

「これは・・・・夕鈴の書いたものだ。強制されて書かされたのか?それとも夕鈴自身が書いたのか?」
「でも、これを書いたのは、『お妃さま』の時のお妃ちゃんでは無くて、掃除婦のお妃ちゃんだよ。だから、連れ去りとかではないと思うけど。」
「では、一体誰とだ?それとも夕鈴一人なのか?いや、一人では無いな、夕鈴が自身を『掃除婦』と書いたのだ。これは誰かと一緒だということか・・・。」

二人はこれだけでは夕鈴の身に何が起こっているのかは判らず、そこで考え込んでいても埒が明かないと、丁寧に書き置きを土で消して立ち去ることにした。
そして黎翔は執務室に、浩大は引き続き何か手掛かりが無いかを調べる為後宮にと、二人違う方向へと無言で向ったのだった。

執務室では李順が黎翔の戻りを今か今かと待ちわびており、黎翔が机に付くなり慌てて話し始めたのであった。
そう、重要な手掛かりを・・・・・・。

「やっとお戻りですね・・・先程から捜していたのですよ!!陛下にお伝えしたい議が有りまして。」
「なんだ!!私は今、どうでもいい事を聞くための時間を割く気は全くないからな。」

目の前の主君のこの上ない不機嫌さに、さすがの李順も身震いを覚えていた。

―――これは下手なことを言ったならば、その場で剣が抜かれるのでしょうね。

李順はゴクリと喉を鳴らし、一呼吸置いた。

「陛下、其れでは申し上げますが、黄稜国の官吏が一人居なくなっているみたいです。そして後宮に詰めている掃除婦一名も。」
「・・・・・・」
「それも、先程入った報告では、その居なくなった官吏が掃除婦を連れだしたらしいと。」
「なにっ!!」

黎翔は、掃除婦と聞いてピンときた。
これはまさしく夕鈴のことである。

―――夕鈴が異国の官吏と消えただと!!

紅い瞳が燃え盛る炎の様に血走り、それとは間逆の冷気が全身から発されており、周りを覆い尽くすようにどす黒い何かが立ち込めていた。
その雰囲気に呑まれそうになりながらも李順は、恐る恐る黎翔に問いかける。

そう、今から聞くことが間違えであって欲しいという願いを持ちながら。

「もしかして、とは思いますがその掃除婦は夕鈴殿だったり・・・なんてことは有りませんよね。」
「__________そうだ。夕鈴が消えた!書き置きを残してな。」

苦々しく語る黎翔に、李順はまず何を如何すべきなのかを瞬時に考えていた。

―――これは、マズイ!!この様子だと、夕鈴殿を捜しに飛び出しかねない!!ここは止めておかないと・・・ただ、この様子だと、止めてもムダな気もしますがね。はぁ~~~、全く小娘は何をしているんでしょうか??事と次第によっては減給も考えないと!!

「一言だけ言わせていただきたいの・・・・」
「お前の言いたい事は解るが、それは聞かないからな!!私が直々に行くのだから。」
「はぁ~~~~~」

黎翔は李順が言いそうな事は解るためか、その言葉を途中で遮って自分の主張をする。
それは承知の上であるから、敢えて李順も言ったのであったのだが、黎翔には伝わらなかったのである。

「しかし、黄稜国の王もこちらに滞在されておりますので、陛下が王宮にいらっしゃらないというのは些かそれは拙いと思いますがね。」

李順は如何しても止めたいらしく、一番尤もらしいことを言って引き留めようと画策してくる。

「お前が私の不在を何とか誤魔化せばいいだろうが!!それが有能な側近の仕事だ!!」
「はぁ、そうは仰っても・・・・」
「いいな!!私がいく事はもう決定事項だ!!それと浩大を連れていくからな。ところで、消えた先は??どうせお前の事だからもう掴んでいるのだろう。何しろ、我が国きっての切れ者で名高い李順だからな。」

紅い瞳を輝かせて、ニヤリと人の悪い笑みを浮かべる。

「褒めても、何も出ませんよ。取り逢えず掴んでいるのは、王都の方面に行ったという事です。」
「そうか、わかった!!」

一言告げると、疾風の如く駆け抜けていったのであった。

「全く・・・如何やって誤魔化すというのです・・・・。」

溜め息交じりに、呟いた言葉がこれだった。
でも李順の心配は杞憂であった________何しろ居なくなったのは、黄稜国の国王その人であり、黄稜国の方もそれを隠すのに必死だったからである。



その頃、問題の二人はというと、トボトボ歩いて下町近辺の露店市に来ていた。

「わ~~~これは何です?夕鈴さん」
「これですか??これは杏の砂糖漬けですよ。」
「美味しいのですか?」
「甘酸っぱい中に砂糖の甘さが程良くしみ込んで、美味しいですよ。」

夕鈴は、はしゃいでいる悠に丁寧に説明する。

「では、これを頂きましょう。ではそこの主人、二つ戴けるだろうか。」
「へい!!有難うございます。二つですね。」

悠は主人から受け取ると、先ずは自分で杏を手に取り、袋ごと夕鈴に差し出した。
これは、夕鈴の手が汚れないようにという配慮であった。

夕鈴は悠の行動の素早さと、紳士的な対応にすっかり感心したのだった。

「それにしても、悠さま。人捜しをそろそろ始めませんと・・・。」
「そうだね・・・でもその前に王都も満喫しておかなくっちゃ。」

片目を瞑りニッコリと微笑む悠に夕鈴は調子を狂わされ、気がつけば悠に引っ張りまわされていたのだった。

夕鈴は自分を捜しに黎翔が王宮を出た事なぞ知る由もなく、トボトボ気ままな悠の王都見物に付き合わされていた。


続。
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瓔悠

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