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未来夫婦・新婚くらい

【注意事項】

この話・・・どっぷりシリアスです。
いつものホワホワ感のモノしか受け付けられない!と仰るゲスト様は
ここでバックしてくださいませね。

あと、すこ~~し、ある方の過去の捏造有ります!




「へ、へーか・・・」

そこで浩大は言葉を止めた。
狼の纏うオーラがすさまじくて。

『お前は、もう黙ってろ!!』

声にならない命を、口元に乗せる。

『へいへい!』

浩大も黎翔に習い、声に出さずに返事をすると、静かに音も立てずに立ち去った。
黎翔の命は絶対であるから・・・それを承知の上でそそくさと逃げる。
そして夕鈴のことは、すべて黎翔に任せておく方がいいと判断して。

更には老師も場の雰囲気を読んで、すでに立ち去っていた。

夕鈴と黎翔・・・・二人残された墓所は静かだった。
ただそよそよと風が流れていくだけ。
青い空に漂う雲が作る日陰は、ゆっくりと形を変えて移り行く。

ここは俗世から切り離されたような空間だった。
ある意味、王宮と後宮を繋ぐ回廊隅にある小部屋の奥にあるのだから・・・・そういう雰囲気であってもおかしくないが。

黎翔は、静々と泣き続ける夕鈴に触れることすら躊躇した。
こうなると分かっていたから、聞かれた時に素知らぬ振りしてはぐらかした。
浩大と同じく。

夕鈴はこんなこと知らなくて良かったんだ。
ただ自分の隣で、微笑んでいてくれさえすればいい。
どうしてこんなことで夕鈴が心を痛めなければならないのか。

黎翔は真っ直ぐに前を見据えた。
そこに居並ぶ数々の墓碑。
それは、かつてのただの道具が眠っているだけ・・・だとは思えなかった。
以前の自分なら、そう淡々と思えたはず。
だけど、それは自分の前に立って肩を震わせて泣く心優しき妃が教えてくれた。
全てをあるがままに受け入れ、あらゆるものを愛しむ心で、そして何事に対しても逃げることのない強き意志と行動で以って。

黎翔はその小さく頼りなげな背中を包む込むように、ゆっくりと抱き締めた。
そして、耳元に唇を近づけ優しく語り掛ける。

「夕鈴・・・・・・・ありがとう。
君が流すその尊い涙は、そこに眠る者たちにちゃんと届いているから」
「・・・・・・・・へ・・・・いか」
「きっと、喜んでいるよ。王の妃が自分たちを思って涙してくれていることに。
今まで、そんな妃は後宮にはいなかったから」
「こんな・・・・誰にも知られない所に・・・・・・眠らないといけないなんて・・・・。
浩大もいずれは・・・・・そうなってしまうの・・・・・ですか?」
「そうだね、恐らくは、そう。
でも浩大は超一流だから、そうそうヘマはしない。
だから夕鈴と僕の子供たちも護ってくれるよ、だから大丈夫」

黎翔はくるりと夕鈴の身体を回し、自分の胸にスッポリと夕鈴の身体を収めた。
そしてきつく、強く、抱き締めた。

「陛下・・・・私、またここに来てもいいですか?」
「いいけど・・・・」
「私、お花の一本も持って来てないので。
それじゃ、ここにいる方々に失礼ですから」
「そうだね。その時は僕も一緒に来るから」

黎翔は夕鈴を見詰めて、柔らかく安堵した笑みを醸し出す。
それにつられるように、未だまつ毛に涙の珠を湛えたまま夕鈴も微笑んだ。

「では、戻ろうか」
「はい・・・・でも、少し待っててください」

夕鈴は自分の髪に差された簪を、スッと抜く。
それは、花簪。
今朝摘まれたばかりの、小さな桃色の花の束。

それを持って屈むと、浩大が捧げた花の隣にそっと置いた。

「有り難うございます・・・・あなた方が護ってくださっていたから、
未だにこの国がこの国のままでいられます。
これからもどうぞ見守りください」

夕鈴の言葉は、点在する墓碑すべてに届くように風に乗って遠くへと響いた。

「夕鈴・・・・この墓碑の下には、浩大の上司だった者が眠っているんだ」
「そうだったのですね。それで、浩大はここにお花を捧げていたんですね。
浩大を守って下さっていて有り難うございます・・・・今、浩大は私をたくさん護ってくれています。
これからもどうぞ、浩大を見守りください」

ゆっくりと手を合わせて、夕鈴は目を閉じる。
しばらくそのままだったが、気が済んだのか満足気に微笑んで立ち上がった。

立ち上がった夕鈴に、黎翔は優しく唇を重ねた。
安心させるためのキスだったのか?
それとも見せつけるためのキスだったのか?

その答えは、黎翔の心の中にだけ存在するが。




その後、黎翔と夕鈴は連れ立って度々この墓所へと足を運んだ。
それは、夕鈴が正妃になっても変わることなく。
そして、更に子供たちとも訪れるようになり・・・・・黎翔と夕鈴の没後も、子供たちにちゃんと引き継がれていたのだった。





終。



***********


終りました!!!
何とか。
私の中では、すごく満足してます。


ご拝読、有り難うございました。


瓔悠。






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30分前ぐらいでしょうか。ただいま〜
そしてお風呂に入り、《おやすみーみんなも早く寝てね》
男たちを放ったらかしに布団に入って、
スマホ!スマホ!(◎_◎;)
だって今晩更新するって書いてあったし!

ああ、涙涙。
枕も濡れます。
でも、あったかい涙なので目も腫れないでしょう(*^^*) 良いお話でしたm(_ _)mほんとに‼︎
私ははじめタイトルからして、怪談めいた話かと思っていました。
無念の最期をとげた妃たちの墓所かと・・
こんなうるっとする話だったなんて。

お疲れ様でした。
読めてよかったです。
このコメントは管理人のみ閲覧できます
お・・おはよ・・・うううっ。
朝から泣かせるなんて・・・。
ぼろ泣きですよ~。号泣してます。覚悟を決めてたつもりだったけど甘かったみたいです(笑)
でも代々引き継がれてそこに眠る人も報われるでしょう・・。

この悲しさ、はんぱなーーい!
今日、立ち直れるかしら・・・?(-_-;)

最後になったけど、
連載お疲れ様でした。
シリアスなんだけどよゆりんが書いたんだなぁ~と思えるお話でした。
ありがとう^^
このコメントは管理人のみ閲覧できます

おはようございます~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!

毎日、お疲れ様です。
就寝前のひとときに、私のドシリアスな話で失礼いたしました。
良かったですか??

私的には、久々に『書いたぞ~~』と充足感に満たされましたが。
泣かしてしまいましたね・・・すんません。

でもタイフーン様を泣かせることが出来た私は、実は書き手冥利に尽きていたりします(笑)
いつも有り難うございます!!


おはようございます~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!

まぁ、タイトルからそう読まれていたんですね~
これはタイトル付けって重要ですね~。

でもそういう話ってないから
それはそれで面白いかもしれませんね~
いつか、書いてみようかなぁ~でも私結構怖がりですから、
書いてても怖くて完結まで持っていけないかもしれませんが。(笑)


ウルウルさせてしまいましたか?
感動していただき、書いた私としては感激です。
私の中でも、感慨深い作品となりました・・・・。


有り難うございます!!





おはようございます~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!

まぁ、満足していただけましたか?
それは私もスンゴク嬉しいです~
これは合格点なお話ですね!!!
ふふふ~~~鼻歌が出そうですわ~


さて、ホントに急に寒くなりましたね。
雪国では、かなりの雪が降っているようですし。

しかし、私は仕事先でまだ半袖にポロシャツでレジ打ちしてますよ~
もうほとんどの方は長袖ジャンバーですが・・・。
季節感のない私はかなりの変人扱いされてます。
ただ単に新陳代謝がいいだけなのに・・・・。


最近は結構更新頻度が高くて、自分でもびっくりしてます。
このままが続けばいいなぁ~と私自身も思います。

いつもご訪問有り難うございます




おはようございます~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!

まぁ、朝から読んだのね~
そして、涙されたの??
それはゴメン~~~。
覚悟決めてたのにね・・・・。


その後、大丈夫だったかな?
浮上できたかしら??
そんな時は、美味しいお菓子と心休まるお茶がいいよ!
うん!!そうしよう~
私が近かったら、ご相伴にお伺いするのに~~
スンゴク残念だわ。


有り難う~~
私らしい???
それが一番の褒め言葉だなぁ~と思うの。
だから、すっごく嬉しい!!!ですっっ!!!

いつもありがとうね~~


おはようございます~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!

お休み中のところなのに、コメント下さり
スッゴク嬉しいです!!!感激っっ!!!

私らしいって、一番うれしい言葉です。
それも読了後にホッコリしていただけて、良かった~~
悲しいだけは、私も受け入れられないんで。


次???
それはどれでしょうかね??
って最近は同時進行作品が多々ですから、
どれになるかは???です。
でも私も『傍迷惑~』はそろそろ続き書きたいので
少しだけお待ちくださいね。
その内お目見えしますから~~
悠様!大好き💛


それでは、いつもご訪問有り難うございます!!

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瓔悠

Author:瓔悠

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