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【意味などとしての水入らず・3】
【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り






「これはようこそ遠路はるばるお越し下さった。この度のご即位には御祝いを申し上げる、蒼  悠鐸(そう ゆうたく)殿。」
「有難うございます、黎翔殿。即位の折には沢山の御祝いの品々を賜りまして・・・臣下共々、感嘆致しました。さすがは白陽国で有ると・・・。」

謁見の間にいるのは黎翔と『黄稜国(きりょうこく)』の王である。
ここに夕鈴の姿はない_______そう、先日の宣言通り黎翔が列席をさせなかったからだ。

「それにしても、黎翔殿・・・今日は噂に高いお妃様にお逢いするのも愉しみでしたのに、出し惜しみなさるとは・・・・よっぽど大切なのですね。」

目の前に座る黄稜国国王は、さも残念そうな表情であった。

「これは、申し訳ない・・・妃はどうやら体調がすぐれないようだ。」
「其れは、御懐妊では?」
「まだ侍医からはそのような報告は受けてないだが、早くそうなれば良いと常々思ってはいるのだが・・・。」

―――そんな事、あるわけが無い!!夕鈴とはそういう関係では無いのだから。私自身はそうなっても構わないのだが、夕鈴の気持ちはどうなのかが全く解らないのだから、これ以上の深入りは出来ないのだ。

黎翔は複雑な気持ちではあったもののそんなことはおくびにも出さず、ニコヤカに応対する。
そんな黎翔に屈託のない笑顔を向け、悠鐸王は更に突っ込んでくる。

「黎翔殿、早く御子が授かるといいですね。私自身『妃を迎えて欲しい』と進言してくる臣下たちも多く、花嫁探しに奔走しております。私が妃を娶り男御子が誕生した暁には、黎翔殿の姫君を迎えたいものです。そうなれば、この白陽国と姻戚関係となります故、もっと親密にお付き合いできるというもの・・・そうなる日が来るのが今から楽しみです。」

嬉々として夢見がちに話す悠鐸王は、ある意味柔和でこれが一国の王かと思わせるのだが、これでなかなかの切れ者であると間者の報告も届いている。
そして聞こえてくる噂は『あの王であれば黄稜国がこの先もっと栄えていく事であろうと、国民は期待している』である。
この王は太子の時に何度も黎翔を訪ねてきており、その際この柔和な態度を崩す事は一度たりとして無かったので、間者の報告と噂はにわかに信じがたいものであった。

その後も黎翔が切り回しながら穏やかに進み、両国は今後も堅い絆で友好関係を築いていく事を確認し合って残すは宴のみとなり、謁見は終了したのであった。


その謁見が終わった足でそのまま後宮に向った黎翔が、侍女から聞かされたのは妃の不在であった。

―――全く、夕鈴は何処をほっつき歩いているのやら・・・まだ黄稜国の王も滞在しているというのに。

「浩大!いるだろう!!」
「へ~~い、此処に。」

回廊の屋根からシュタッと降りて来ると、即座に床に膝を折り黎翔の言葉を待つ。

「夕鈴は何処だ?」
「お妃ちゃんなら、張のじいちゃんのとこ。だからオレっちは、鼠がうろついていないか捜索中~~。」
「そうか、わかった。」
「じゃあね~~。」

そう言うと浩大は、直ぐさま捜索の任を再開すべく姿を消した。

「夕鈴は、老師の所か・・・大方掃除バイトでもしている事だろうな。様子見にでも行くとするか。」

独りごちた黎翔は、颯爽と後宮禁止区域へと向ったのだった。


その頃、黎翔に探されている当の本人である夕鈴はと云うと_____________困惑していた。

と云うにも・・・・黎翔の推測通り掃除婦のバイトをしていたのであるが、その水汲みに出た際に思いもよらない人物に遭遇していたのだから・・・・・・。

そう、夕鈴は腕まくりしつつ、一心不乱に井戸の水を桶に汲んでいた_______其処に現れたのは、夕鈴を捜してやってきた黎翔・・・ではなかった。

「・・・そこの君、訊きたい事があるのですが。」
「誰????」

夕鈴は聞き慣れない年若い声に、身構えながら振り向いたのだった。
其処には、見慣れぬ官服を着た若い男性が佇んでいた。

―――誰???見た事が無い人だけど・・・・それに今の私はただの掃除婦!!そんな私になんの用なのよ!!

「誰?と言われても・・・・・・私は、悠 鐸(ゆう たく)と申し、黄稜国の官吏です。あなたに聞きたい事があるのですが・・・。」

―――黄稜国の官吏???そんな偉い方が掃除婦に何を訊くって云うの??

夕鈴の頭の中には幾つもの疑問符が浮かび、何度も円を描くようにグルグル回っていた。
しかし黙っているのも失礼だと思い、相手の聞きたいこととやらを丁重に聞くことにしたのだった。

「あの・・・・私に訊きたい事とはどの様なことで御座いましょうか?」
「実は、此処から王都・・・しかも下町に行きたいのですがどのようにして行けば良いのでしょう??出来れば、案内してほしいのですが。」
「下町????」

夕鈴は思いも掛けない事を頼まれ、思わず声が裏返っていた。

「下町に人探しに行きたいのですが、何しろ白陽国には何度も訪問した事が有りますが、その時はこの王宮から出る事は無く王都には詳しくなくて・・・・しかも今回の訪問も3日ほどなので時間が惜しいのです、だから詳しい方に案内してもらいたいと思い・・・。」

相手はかなり切羽詰まっている様子。
そんな様子を見たからには突っぱねることなど、世話好きの夕鈴は出来るはずなどない!!

―――この方、かなり困っている様子・・・此処は協力しないとかな??でも、キチンと誰かに断わってからでないと拙いわよね。

「あの、私でよければお手伝い致しますが・・・・それには上司に断わってからでないと・・・・それからでもイイですか?」

―――え~~~それは拙い!!!誰と?となれば僕の素性がばれてしまう可能性が高いよ!!

そう・・・・この方、黄稜国の 蒼 悠鐸王、その人だった。

「イッ、イヤ!急いでいるから、断わっている時間は無いから・・・後からキチンと報告すればいいよ!!それに掃除婦が一人居なくなった位解りはしないよ!!だから!!!早く!!!」

かなり慌てているその官吏の為りをしている悠鐸王は、目の前で困惑している夕鈴の手を取ると強引に連れていこうとする。

―――そんな~~~ただの掃除婦ならそれでもイイのでしょうが、私は臨時花嫁のバイトをしてる身・・・そんな勝手は許されないのですが!!!

でもそんな事をこの男性に言う訳にはいかない・・・・となると、黙って従うしかなかったのであった。
ただ、このままという訳にはいかないので手に持っていた桶を土の上に置き、影が出来た土に木の枝で伝言だけ書き記したのであった。

『私は大丈夫です!ただ3日ほど休暇を下さい・・・後宮禁止区域掃除婦』
と・・・・・・・・・・・・・。

―――これで、浩大辺りに私が書いたものだと解るわよね。それに連れ去られたのではないという事も解る・・・・と思う。李順さん、ゴメンナサイ!!!

夕鈴は相手の手に引っ張られながら、後宮の隠し扉から下町へと繰り出したのであった。



続。
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