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臨時妃 ・ 原作寄り

【注意事項】

前々ブログ『遥か悠遠の朱空へ』からの再録です。





外では、春を告げる花々が季節の移り変りを教えてくれている。
こんな心地良い日は、一人ブラリと何も考えずに散歩にでも行くに限る。
そして誰にも邪魔されずにお茶でも愉しめたら、尚のほど素敵な日だ。

そんな事を考えながら、右腕にはちゃっかりお茶道具を抱えて周りの景色を愉しみながらそぞろ歩く。
今日は侍女さん達には悪いと思いつつも、『一人になりたいので』と断りを入れて付いて来てもらうのは遠慮願った。

どうせ浩大が離れた所からこっそりと護衛と称して付いて来てくれているのだから、心もとない事なんてない。

ぶらりと庭園の花々を屈みこんで観察した後、人気のない四阿に続く石畳を歩く。
ここ最近急に暖かくなって、頬を撫でていく風は心地いい。
ふわりと金茶の髪を跳ね上げ通り抜ける風は、気持ちまでホカホカ暖かくする。

四阿に入ると中に備え付けられたやさしい桜色の大理石の卓に籠をそっと載せて、
中からお茶道具を取りだしいそいそと一人お茶を楽しもうと用意をする。
誰に飲んで貰うでも無いからいつもよりは簡単に入れるし、其処まで上等な茶葉ではない。
でも後宮で用意されているモノだから下町では超高級な部類に入るのではあったが。

鼻に通り抜けていくまろやかな香り、そして口に含むと甘い味が広がっていく。
口の中でその甘さを堪能した後、コクリと飲み干すと喉に暖かさが伝わってくる。

ホントに、こんなホッコリ出来る時間が有るのは贅沢なことよね~~。
こんな割の良いバイト、いつまで続くのかしら??
借金の為とはいえ・・・・ホントに続けていてイイのかしらね・・・・・。

ボォ~~とお茶を啜っていると、上からいきなり声が降ってきた。

「ねえ、お妃ちゃん!聞いてみたかったんだけどさ、
なんでこんなバイトをしようと思ったの?気は遣うし、
下手したら命狙われるし!!」

浩大が何処からとなく現れて、卓上のお菓子をつまみ食いしていた。
「これ、美味しいね」なんて感想を述べながら。

夕鈴はその問いに一口お茶を飲んで、う~~と考える。

「何で?と言われても・・・王宮でお仕事とは聞いたけど、何をするのかは聞かずにきたのよねぇ。
もし分かっていたら、どうしていたかしら??」
「やめてた?」
「かもね」
「でも、分かった時点で、断われたんじゃ?」
「う~~ん、確かにそうかも!!その時点じゃ借金も無かったし。
でもね、色々と分かってしまったから・・・・陛下の事も」
「でも今は良かったって思うんだろ?それでよかったじゃん」
「確かに、陛下の役に立ちたいとは思っているわよ」
「じゃあ、このままずっといればいいじゃん!」
「でも私はあくまで臨時だから。
いずれは地位のきちんとした、所謂お嬢様と言われる方をこの後宮にお迎えしないといけないのよ、陛下は・・・」

そして夕鈴は、また静かに考え込む。

浩大は考え込む夕鈴をそのままにして、またひらりと姿を消した。
戦利品のお菓子を手にして。

オレは護衛するのも、あの人の傍にいるのもお妃ちゃんでよかったと思っているんだよね。
まぁ、こうしてたまに色々と考えさせておくのはいいことだよなぁ~。
どうせ、多分陛下は離さないと思うし。

そうなるとオレはこの先ずっとお妃ちゃんの護衛かぁ~~。
中々いいんじゃね、オレにとってはさ。
だってあのお妃ちゃん見てると飽きないし、退屈しそうにないからねぇ。

浩大はニィ~~~~と笑って、お菓子を頬張った。


夕鈴はというと、浩大と交わした会話について其れから考え込んでいた。
そのせいかどうかは分からないが、その後夕方から微熱が出て寝込んでしまった。

その事を知った黎翔は、政務なんてそっちのけで一晩中傍について看病した事はまた別の話。




終。




2012.06.27 SNS初載



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瓔悠

Author:瓔悠

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