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臨時妃 ・ 原作寄り

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前々ブログ『遥か悠遠の朱空へ』からの再録です。
そしてこちらにUPするにあたり、手直しをしております。

2月14日はバレンタインデー。
こちらのSSSはその際に書いたモノです。








「ほら、これは大丈夫だから、夕鈴にもお・す・そ・わ・け。
口を開けてっっ」

夕鈴の耳元だけに甘く響く重低音の声。
勿論それは我が夫(仮)の声で。
周りの誰にも聞こえない事をいいことに、小犬のおねだり声。

「はい・・・では、頂きますね」

黎翔の形のよい指先から放りこまれたのは、ちょっとほろ苦くとろけるモノ。
口の中で、直ぐに溶けて喉を滑り落ちていく。

「これは?」
「ああ、これは先程献上された物で異国の菓子『ちょこれーと』と言うものだが。
珍しいモノだから妃にも食べさせたいと思い、まずは私が試食してみたのだ」
「ありがとうございます」

ボフッと音を立て、首筋まで真っ赤に染めながら夕鈴は必死に可愛い妃を演じる。
例によって政務室の定位置の黎翔の膝の上で繰り広げられる、国王夫婦の仲睦ましきやり取り。

それを仕事の片手間に横目で見ている官吏たち。
周りに気がつかれない様に嘆息を吐く者もいる。
あまりの仲睦ましさに、見惚れている者さえいる。

そして。
その中で苦々しく、二人の姿を見ている者は約2名。
それは、勿論李順と方淵である。

全く、陛下のお戯れも大概にして欲しいモノですね。ほら、お手が止まってますよ!!
これじゃ今日の分の政務は進まないではないですか!!!
何のためにバイト娘を政務室に置いていると思っているんです?
それはキリキリ陛下に働いてもらう為なのであって、二人のイチャつきをモテナイ官吏に見せつける為ではないのですよ!!

李順は眼鏡の奥の眼光鋭く、夕鈴目がけて無言で『陛下に仕事をさせなさい』と圧力を掛けていた。

そして、もう一方の方淵は。

あの妃は、全く陛下にあの様にしなだれかかって・・・・陛下はきっと迷惑だとお思いに違いない!!!
もっと陛下の思いを汲み取れないというのか!!

方淵の目には夕鈴が甘えているとしか見えないらしく、
夕鈴に苦々しい視線を送っていた。

陛下の過剰な夫婦演技に辟易しているのは、夕鈴の方だというのに・・・・・。

そして、その後も政務室で繰り広げられた『陛下の寵愛の深さ見せつけ』は永遠と続けられ、夕刻前にやっと解放された夕鈴はヘトヘトで早々に寝室で休んだのだった。

そして夕鈴は夢を見る。
『ちょこれーと』を持った黎翔に執拗に追いかけられる自分を・・・・・。





終。






2013.02.14 SNS初載



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瓔悠

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