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臨時妃 ・ 原作寄り

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前々ブログ『遥か悠遠の朱空へ』からの再録です。
そしてこちらにUPするにあたり、手直しをしております。







「髪、長くなってきてる・・・それだけここでの生活も長くなってきてるってことよね~~。
それにしてもいい加減この髪切りたい!!」

夜も更け就寝までの一時を過ごしながら、夕鈴は独りごちる。

仮にも今は妃のバイトの身だから、ある程度は長くないといけないことくらい分かるのだけど。
毎日侍女さんたちが絡まった髪の毛を気を使いつつ梳かすのを鏡越しで見てるのは、
申し訳ないなぁ~と思うのよね。

長椅子から立ち上がり鏡台に腰掛けると引き出しから持って来たハサミを持ち、鏡を覗き込んだ。

「ちょっとだけなら、大丈夫・・・よね」

髪を左右に分け、肩から出してまずは右の髪を毛先から10センチ程の所にハサミを差し入れる。

チョッキン・・・・パサリ。

切ってしまった!!!
自分の足元には薄茶の髪の残骸が、バラバラになって散らかっていた。

そして更にもう片方の髪の同じ様にハサミを差し入れて、勢いよく切った。
鏡に映して左右が揃っているかを確認してみると、少し左が長い様だ。
また髪を分け、左の毛先を注意深く少しだけ切ってみた。
今度は塩梅が良いみたい・・・・。

これで少しは面倒を掛けなくて済むだろうと、
夕鈴は安堵して散らかった髪の毛を掃いて屑かごに入れて置いた。

そしてスッキリとなり、夕鈴は満足気に就寝したのであった。

「この屑かごをご覧になってっっ!!」
「これは、どういうことでしょう?」
「お妃さまは、御存じなのかしら?」
「御存じなかったら、きっと哀しまれるでしょうから知らぬふりがよろしいかと」


帳の向こうで、侍女さんが何やらゴニョゴニヨ話し声が聞こえてくる。
内容までは聞こえないけれど。

もう朝みたいだわ。
それにしても今日からは、髪もスッキリしているから面倒を掛けなくて済みそうだわ。

清々しく起き出した夕鈴は、隣りの部屋で待機している侍女さんにニコヤカに挨拶をする。

「おはようございます、今日も一日お願いしますね」

『お妃さまは御存じない様だわ』と其処にいる侍女達は目配せし合う。
優秀な侍女達は先程の事は何事もなかったかのように、
妃である夕鈴の身支度をいつも通り始めた。

いざ、髪を梳き始めると少し髪が短くなったことは容易に分かったものの、
誰一人としてそのことに触れずに結い上げ簪を差していく。

誰も気付いてないみたいだけど、いつもより髪を梳かすのも簡単そうだし良かった。
準備が整うと、夕鈴は意気揚々と政務室へと向かって行った。

残された侍女たちは、その後ろ姿がどうしても無理をしているのでは?と思えた様で、
このままではお妃さまがお可哀そうと側近たる李順に報告をすることとした。

そう、報告した内容は。
『お妃様のお髪を何者かが、勝手に断髪してしまった』と!!!

そしてそれを聞いた李順が思いついたのは、
誰かが切ってしまったのではなく夕鈴が自分で切ったと言うことだった。

李順は侍女達には適当な事を言っておいて更に緘口令まで敷いた上で、夕鈴を密かに呼び出した。
そしてお小言を呈したのは、その日の午後のことであった。

「あのですね・・・夕鈴殿!こんな事は言いたくは有りませんが、
髪を自分で切るだなんて此処では絶対にあり得ません!!
侍女たち総出で、私に訴えてきたのですよ・・・・面倒くさいったらありゃしない。
大体、あなた付きの侍女達の多くは良家の子女達なのですよ!!
彼女たちはまさか自分で切るだなんて思いもよらないのですから、
心配するに決まっているでは有りませんか!!!!
いいですか!今後一切自分で髪を切るなんてことは、無しでお願いしますよ。
全く・・・こんなことを言う日がくるだなんて思いも寄りませんでしたよ・・・ぶつぶつぶつ」

李順は一気に捲し立て、これでも言い足りないと一人でブツブツ呟いていた。
当の夕鈴はというと・・・何故そんな事でお小言を言われているのかをあまり理解しておらず、
ただお給金を頂いている上司の命だから聞いておかねば!!くらいだった。

でも、下町では自分で切っていたし・・・。
それっていけないことなのかしら??
なんで???

いつまで経っても、理解出来ない夕鈴であった。
しかし『人の価値観や生活習慣は、中々相容れないところがあるものである!!』
夕鈴が学んだのは、まさにこれだった。



終。




2012.12.14 SNS初載
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瓔悠

Author:瓔悠

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