【ヤキモチ狼とドンカン兎】
2010年07月05日 (月) | 編集 |
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臨時妃 ・ 原作寄り

【注意事項】

前々ブログ『遥か悠遠の朱空へ』からの再録です。
そしてこちらにUPするにあたり、手直しをしております。










今日は、どうも周りが騒がしい。
特別な日だったのかしら??

予定表とにらめっこしながら、夕鈴は首を傾げる。

何かの行事?ではない筈よね。
昨日陛下は何も言ってなかったし。

余りにも思い当たる節が無いので、
忙しそうに立ち働いている侍女さんに申し訳ないと思いつつも聞いてみる。

「今日は、皆さん忙しそうにしてらっしゃいますが、
何か予定は組み込まれていましたか?」
「えっ?お妃様、昨晩陛下よりお聞きおよびではなかったですか?」
「ええ、特に何も・・・・」
「そうですか、それが・・・・陛下よりのお達しで、年末に向けての大掃除をと」
「そうなのですね・・・・私も何か致しましょうか?」
「とんでも御座いません」

だよね・・・どこの世界にお妃さまが大掃除をするというのよ!!
でも、侍女さん達がバタバタしているのを見ているとウズウズしてくるのよね~~。
これは、お掃除バイトに行くべきなのかしら??

「では、老師の元に参ります」

一言言い置いて、意気揚々と立ち入り禁止区域へと向かう。
いつもの掃除婦の恰好で、お掃除開始!と腕まくりをしていると、背後に人の気配が。

「誰??」

慌てて振り返ろうとした瞬間、逞しい腕が伸びてきて腰に巻きついて。

「!!!!!」

余りの驚きに声を発する事が出来ずに、その場にへたり込んでしまった。

「夕鈴・・・・・酷いよ!其処まで驚かなくても」

振り返ると、拗ねた瞳を浮かべながら立っている小犬がいた。


「えっ、陛下!何しているんですか?」
「恐らく僕があんな命を侍女に出したから、
夕鈴は恐らく此処にくるだろうと待っていたんだよ」
「どうしてですか?」
「それはね・・・・・」

そこまで言うと黎翔はへたり込んだままの夕鈴を抱き上げて、そのままギュッと抱きしめる。
更には、頬に掠める様な口付けをしてきた。

瞬間湯沸かし器の様にボッと音を立てて、顔が真っ赤に染まる。

「ちっ、ちょっ・・・陛下、なにしてるんですか?
もうっっ、降ろして下さい!今は掃除婦の恰好ですし!!」

降ろして貰おうともがくのだが、そこは男性の力で拘束されているので逃れる事は叶わなった。
ふと見上げて搗ち合った深紅の瞳は、意地悪な色が見えている。

「兎に角、降ろしてください!!!」

やっとのことで降ろしてくれた黎翔に夕鈴は軽く睨んでみた。
それくらいしか自分の意思を示す術が無いから。
だけど黎翔はそれをモノともせずに、余裕の笑みを浮かべそのまま満足気に立ち去ってしまった。

はい?今のは、何だったのよぉ~~~~~~。

残された夕鈴は、訳が解らないままそこに茫然と立ち尽くしていた。

「お妃ちゃん??どしたのさ?」

呆けている私に浩大が話し掛けるまで、私の意識は何処かを漂っていた様だ。

「それがね・・・・陛下が・・・・・ここに来て・・・・私を抱き上げて・・・・それで」

先程の訳の分からない黎翔の行動について、
記憶の糸を辿る様に浩大に話して聞かせた。

「あははははっは~~~~それってお妃ちゃん、あの人為りの仕返しだよ」
「仕返し?」
「そうだよ!覚えて無い?」
「何をよ」
「昨日の会話だよ!!」
「会話?」
「そうだよ、昨日書庫で官吏の数人と楽しそうに話していたでしょ!!」
「話していたって言っても、片付けのお手伝いがてら世間話を少々よ。
それがどうして?」
「ホントにお妃ちゃん、分かんないの?それって、ヤ・キ・モ・チだよ!!」
「如何して陛下がヤキモチなんて焼くのよ?」

はぁ~陛下、お気の毒様だね。
お妃ちゃんはホントに手強いよ~~~。

浩大はここまで言っても気がつかない夕鈴の鈍感さに、
段々黎翔が気の毒にさえ為ってくる。

「まぁ、良いよ・・・兎に角、そう言う事だから」

これ以上は伝えても無駄!と判断した浩大は、窓からヒラリと姿を消す。
そして残された夕鈴は箒を片手に、ただただ浩大の言葉を反芻する。
けれど、決して答えの出ない迷宮を彷徨い続けていたのであった。


そして、執務室に戻った黎翔は・・・・先程の事を思い出しつつ、ニマニマが止まらなかった。
それを李順に怪訝な顔で見られていたのだが、そんな事は全くお構いなしに上機嫌で政務に励んだらしい。

更に黎翔が出した命で後宮の夕鈴の部屋はピカピカになっており・・・・。
立ち入り禁止区域から帰ってきた夕鈴は、侍女達の素晴らしい掃除術を聞き出したくなるのを抑えるのに苦労したとことを知るのは、誰も知り様が無かった。




終。





2012.12.12 SNS初載



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