【僕が思い描くモノ】
2010年04月01日 (木) | 編集 |
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臨時妃 ・ 原作寄り

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前々ブログ『遥か悠遠の朱空へ』からの再録です。
12月6日は『姉の日』だそうです・・・それに因んでこの作品をSNS内でUPしたモノです。







僕は常々思う事がある。
それはたった一人の姉である、姉さんには幸せに為ってほしいと。

「青慎!ただいま~~」

玄関先から響く姉さんの元気な声。

久々の帰省だからはしゃいでいるみたいだな。
いつも僕の為に身を粉にして頑張ってくれている姉さん・・・・。
母さんがいなくて寂しいだなんて思った事なんて一度たりともない!
これは一重に母代りをしてくれている姉さんのお蔭で。
僕が心配なのは未だに浮いた話一つ無い事。
イヤ、あった・・・・一つ、二つ程。

そんな事をボンヤリ考えていると、目の前にはニッコリと笑う姉さんの顔があった。

「青慎、元気だった?
ご飯はちゃんと食べてる?
勉強は如何?
父さんは相変わらずなの?」

帰ってまだ一息もついてないのに、矢継ぎ早に質問してくるのは相変わらずだ。

「僕は元気だよ。
ご飯は食べてるし、勉強も頑張っているよ。
後、父さんは・・・・・・・まぁ、いつもどおりかな」

最後の質問にはハッキリとは答えず、お茶を濁しておく。

「また、父さんは青慎に迷惑を掛けているのね!!!
帰ってきたら懇懇と言っておかないと!
ただ夕刻までに帰ってくるのかしらね?またあそこで・・・・・・・・・」

ブツブツと父さんについて独りごちてるのをいつもの事だと眺めていると、
僕の視線に気がついて姉さんが聞いてきた。

「あっ、ゴメンね~~一人でしゃべりすぎちゃったわね。
夕餉は何がいい?昼餉には間に合わなかったけど、
今日は夕餉は作ってからでも帰るのは大丈夫だから」
「そうなんだね・・・今回は泊れないんだ」
「はぁ~~ホントは泊りたいんだけど、ちょっと立て込んでて。
近々おエライ人が王宮に来るらしくて、明日からいつもよりお掃除を念入りにしないといけないの・・・。
(実は隣国の使者がまた縁談を持ってきそうだから隣席しろというお達しで、
再度お妃教育のやり直しなんだけどね~)」

姉さんは、ホントにガッカリだと肩を落とす。

「姉さんの作ったご飯が食べられるだけで嬉しいよ」

僕がニコニコ顔で言ったもんだから、
姉さんは満面の笑みで腕まくりをして買い物籠を取りに行く。

よかった~~~どうやら元気になったみたい。

「ねぇ、たまには一緒に買い物に行かない?」
「久々だね・・・うん、行くよ。
じゃあ籠は僕が持つよ」

姉弟、肩を並べて下町の露店街を歩く。
道行く知人が口々に声を掛けてくる。

「あら、青慎くん、今日はお姉さんと一緒なのね。
「夕鈴ちゃん、今日は休暇かい?」
「相変わらず、仲が良いことだね」

その声に立ち止って、話込むので中々買い物は終らない。
そうこうしていると、一目見たら姉さんがゲェッと言う顔をいつもする人物に遭遇した。

「よう、夕鈴!!帰っていたのか?
今回はあのお役人はいないんだな~~もう捨てられたのか?」
「几鍔!!失礼な事言わないで!!
あの方は単なる上司で捨てられるも何もないの!!!」
「ふん、強がってんのか?」
「うるさい!!!」

僕は、1歩、2歩と後ろに下がる。
この二人は逢えば言い争いを始めるので、そっとしておいた方がイイのだ。

しかし、几鍔さんは、姉さんをどう思っているんだろう??
下町の噂では、姉さんは将来几商店のおかみさんになるらしい・・・・。
という事は、几鍔さんが義兄なのだろうか?
でも、姉さんはいつも『あり得ない』と否定はしているんだよね。
でももし姉さんの気が変わって結婚したら、きっと毎日言い合いをして賑やかなんだろうな~~。
それははたして幸せなのだろうか??

僕がふと考え事をしていると、二人はその間更にヒートアップしてそろそろ限界値に到達しそうだった。

これは、大暴れになりかねないから・・・ここで止めておかないとだよね。

そうして口を開こうとした瞬間、後ろからなんだかとんでもなくひんやりと冷たい空気が一瞬流れてきた様な感覚がした。

「これは、金貸し君!元気だったかな??」

この声は・・・・李翔さんだ!!!
振り返ると姉さんの上司の李翔さんが立っていて、
ゆっくりとした足取りで僕を追い抜き、二人の目の前に立つ。

「はぁ~?誰が金貸し君だ??」
「いや~~僕の目の前の人物だよ」
「いい加減、オレの名前は几鍔だと言っているだろうが!!」
「そうだったかな~夕鈴以外はどうでもいいからね~」

はぁ~~また始まった・・・・・もう誰か止めてくれないかなぁ~。

「几鍔!!そして李翔さん!!此処は往来ですから・・・」

先程まで、大声で几鍔さんの悪口を叫んでいた姉さんが止めに入る。

「ああ」
「夕鈴・・・勝手に帰っていたんだね。心配だからついて来たよ」
「ええ~~いつの間に???」
「あれ?気が付かなかった?」
「はい・・・・」

そして姉さんの隣りに並んだ李翔さんは几鍔さんに見せつけるかの様に、
姉さんの腰を引き寄せぴったりと寄りそって絡ませた腕は離そうとはしない。

「っつ!!李翔さん、近すぎます!!」

姉さんは真っ赤になってもがいて離れようとはしたものの、それは叶わなった様だ。


僕は思う。
一体どちらと結婚すれば、姉さんの幸せと安寧はやってくるのかと・・・・。
ただどっちと結婚したとしても賑やかであることに違いない。
そしてどちらもきっと姉さんを大切にはしてくれるのだろうと。
まぁ、どちらにしても近い未来きっと訪れることになるんだろうな。

「青慎、帰ろう・・・時間もないし・・・・李翔さん、私帰りたいのですが・・・離して下さい」
「わかった、僕も行くよ。じゃあ金貸し君!またね!」
「だから、オレは金貸し君じゃない!!」

最後の最後まで几鍔さんを挑発していた李翔さんは、
几鍔さんが行ったのを確かめるとスルリと腕を離した。
それでも姉さんの隣りは、がっちりキープしていた。

「もう、勝手に出ていらして・・・・これじゃ帰ったらまた私が叱られるではありませんかっっ」
「それは、夕鈴が僕に黙って帰るからだよ~~」
「だって夕刻には戻るんですから・・・」

前を行く姉さんたち二人は何かぼそぼそと話している様だが、
此処までは聞こえないから僕には内容までは分からないけど、仲は良さそうに見える。

これで、また下町で噂になるんだろうな~。
姉さんは男二人から想われていて、どっちにするのかと。
ホントにどうするんだろうなぁ~~。

本当に心配が尽きない姉さんだけど、僕にとっては最高の姉だと言う事だけは胸を張って言える!!!
前を歩く姉を誇らしく思いながら、家路へと急いだ。

その後、何故か姉さんのご飯を何の違和感もなく、
平らげた李翔さんはご機嫌に姉さんを伴って王宮へと帰って行った。

それにしても、姉さんは何をしに帰って来たんだろう???
そう思いつつ戸棚を開けてみると、手紙とお金が置いてあった。


~~青慎へ・・・そろそろ学問所で使っている文具が無くなっていると思います。
これで買いなさいね!くれぐれも父さんには渡さない様に!!  姉さんより~~


姉さん・・・有難う。
早く、官吏になって楽をさせてあげるからね!!
僕、今まで以上精一杯頑張るからね!!

決意を新たに机につく青慎だった。


いつか見るはずの夕鈴の花嫁姿を思い描きながら。
その時に隣にいる伴侶の姿はぼやけたままで・・・・・。




終。





2012.12.06 SNS初載



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コメント
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2016/04/04(月) 08:02:24 | | #[ 編集]
タイフーン様

こんばんは!コメント有り難うございました
返信大変お待たせしました!!


こちらへのご反応、有り難うございます~~
誰も気がつかないかな??と思い、あんな企画までしてしまいました。

まだまだすべて再録しておりませんので、
また気がつかないうちに、増えていることも考えられます。

その時はどうぞ、こっそりと探してみてください~
宜しくお願いしま~~す。


私も最近は、妙に臨時妃の話が好きです。
あのジレジレ感がたまらないんです~~


2016/04/21(木) 20:48:11 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
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