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臨時妃 ・ 原作寄り

【注意事項】

前々ブログ『遥か悠遠の朱空へ』からの再録です。
そしてこちらにUPするにあたり、手直しをしております。










山のように積まれた書簡を一日かけて切り崩しやっと李順に解放され、
一日の最後に夕鈴の顔でも見ておこうかな?!と後宮へ訪ねたというのに、
肝心の妃は居ない。

また何処をほっつき歩いているのやら。

そこら辺で拱手している侍女達に夕鈴の居場所を尋ねてみると、
その内の一人がおずおずと前に進み出る。

「此方へいらして戴けますでしょうか・・・・」

拱手したまま黎翔に断わりをいれると、そのまま黎翔を先導して歩み出した。
どうやらワザワザ案内してくれるらしい・・・。
これは好都合だとそのままついて行くと、着いた先は湯殿だった。

夕鈴は湯あみ中?!なのか・・・・私にどうしろと言うのだ。
もし夕鈴に断わりなしに入って行ったりでもしたら、
どんな叫び声を上げられるかなんて分かりゃしない。

湯殿まで案内した侍女は特に何も言わず綻んだ笑顔のまま、
そのまま部屋へと戻って行ってしまった。

さて、どうしたものか。
このまま帰るのも・・・侍女達に仮夫婦だと思われても困る。
かといって、夕鈴がいる湯殿で一緒に湯あみなど出来るはずもない。

「どうしたらいいんだ」

ドン詰まりとなった黎翔は思わず、声を出して呟いてしまった。

「誰っ???」

中から聞こえてくる声は間違えようもない夕鈴のモノで。

ここで返事をしてもいいのだろうか?
でも此処にいることで、夕鈴になんて思われるか?
『陛下なんて大っきらい』って大声で罵られるのだけは避けたい。

「にゃ~~~」

咄嗟に出たのは、古今東西この様な場合に有効な動物の鳴き声の真似。

「ああ、猫なのね~~~」

中から夕鈴の安堵した声が聞こえてくる。

ふぅ、良かった!!!
上手く誤魔化せたのか??

なんてホッとしたのもつかの間、
中から夕鈴の怒気を含んだ声が間髪入れずに飛んできた。

「なんて、騙されると思ったら、そうは行きませんよ!!!
陛下~~~~~」

抗議のためか湯殿から出てきた夕鈴は、大判の手拭に身体を纏わせていて。
濡れた雫がヒタヒタと流れ落ちている長い薄茶色の髪は身体に張り付き、
何とも言えない艶めかしさが浮き出されている。

僕の視線はくぎ付けとなってしまい、
その場から離れる事もましては夕鈴に近づくことも出来なかった。
ほぅ~~と気が付けば嘆息を吐いていた。
見惚れていると言っても過言ではない。

そんな僕に対して、夕鈴はというと腰に手をあて『私は怒っているんですよ』という合図を無言で送っていた。

「ごめんね、夕鈴・・・・覗こうとは全く思ってもいなかったんだよ。
ただ侍女がここへ案内してくれたものだから!!」

弁解じみているのは自分でも分かるがこれは不可抗力であり、
そこの所だけは夕鈴に分かって貰わねば立つ瀬が無い!!


「そうですか・・・・では、何故今もまだいらっしゃるのでしょうか?」
「そうだね、どうしてだろう???」
「もう!!もう!!!陛下、あっちへ行っててください。
恥ずかしいじゃないですか~~~~~~もう、陛下なんて大嫌い!!」

やっぱり、だよね・・・・言われてしまったか。
でも僕も立ち去ろうと思ったけど、
余りにも夕鈴が魅力的な姿で出てきたから足が動かなくなったんだよ。

「夕鈴、ゴメンね・・・では」

一言だけ謝って、その場を後にした。
歩きながらも僕の頭に中には、湯上りの頬も腕も太股もほんのり桃色に染め上げた夕鈴の肢体が浮かびあがって忘れられない。


夕鈴にはキライって言われたけど・・・なんだか得した様な気がする。

誰もいない回廊で頬が緩んできており、
中々自室へ戻れなかったのは言うもまでも無い。

しかし、あの侍女はどうして自分を夕鈴のいる湯殿まで案内したのだろうか?
これまでそんな事は無かったのだが・・・・・・。

不思議がる黎翔だが。
その裏側の事情には思いつかず。

それは、そう。
後宮管理人たる張老師の策した企みだったのだ。

正しい後宮管理人のお仕事。
国王夫婦にお世継ぎを!
ただその1点のみの為。

いつまでもじれったいバイト妃に既成事実をくれてやるため・・・・。
それは当人たちにとっては甚だ迷惑なことで、余計なお世話なのだが。
でも黎翔にとっては、棚ぼた的な企みとなった。




終。




2012.07.25 SNS 初載



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瓔悠

Author:瓔悠

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