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臨時妃 ・ 原作寄り

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前々ブログ『遥か悠遠の朱空へ』からの再録です。
これは結構手直ししました。
だって、読んでて意味が分からなったんですもの・・・・。
今も決して、きちんと書けてるなんて到底言えませんが、
それでも・・・・・・まぁ、今の方がマシです。










回廊をそぞろ歩くと、空がくっきりと見える庭に出た。
天空には星と月がキラキラ瞬きながら冴えわたり、優しい光りが射しこんでくる。

貴方を想うと眠れず、思わず夜の散歩としゃれこんでみた。
空を見つめて、瞳を閉じながら貴方を思い浮かべる。

そして、
貴方をそっと心呼んでみる。
『陛下』・・・・と。

「夕鈴・・・」

空耳だと思って、その声には反応はしなかった。
でも、また聞こえてきた。
空耳であるはずなのに・・・・。

「どうしたの?こんな夜更けに」

これは。
空耳なんかじゃない。

月明りで照らされ伸びる影が、貴方だと教えてくれる。

「眠れないので散歩を・・・」
「一人だと危ないよ」

影ではなく陛下の姿が見え、私の隣で空を見上げる。

「綺麗な星空だね」
「は、はい」

空ではなく陛下の横顔を見上げていたのを悟られないよう、
私は慌てて空を見上げ答える。

同じ夜。
同じ空。
見て感じられる想いが、同じでいて・・・・欲しい。

星に願いを・・・・とは言うけれど、願うだけじゃ叶いっこない。
叶えたい願いは、自分で頑張らないといけないことくらい、私だって分かってる。

だから、今日は一夜限りの夢を。

「陛下・・・・・・眠れないので・・・抱きしめて戴けませんか?」
「えっ?」

驚いた表情で、私を見てる。
だよね・・・ビックリしてしまうわよね。

「駄目ですか?」

思わず、瞳に涙が浮かんできた。
でも月明りごときでは判る筈はないから、流れ落ちるまでそのままにしておく。

でも、気づかれていないと思ったのは私だけ。
陛下は気配で分かったのか、優しく私に問いかけた。

「夕鈴・・・泣いてるの?」
「いいえ、そんなこと・・・」

言い終わる前に、ギュッと優しく抱きしめられた。
暖かい胸の中で、安心感が心の奥底から湧いてくる。

私は、今この時の幸せを噛み締め、両手を腰に回して抱きしめ返した。
そのまま時が止まってしまったかのように辺りに差し込む月明りが、
雲間に隠れてしまうまで抱き合っていた。
辺りが薄暗くなる。

「もう、戻ろうか・・・・」

陛下の優しい声に導かれ、夢現から現実に戻ってきた感覚に陥る。

「はい」
「眠れそう?」
「はい・・・」

今頃になって、何処かに追いやっていた恥ずかしさが舞い戻って来て、
『はい』としか答えられなくなった。

「部屋まで送っていくよ」

陛下の差し出す大きな手を素直に取って、並んで歩いて行く。

「おやすみなさい・・・・あの・・・今宵のことは・・・・」
「ああ、二人だけの秘密だね」

いたずらっ子のように微笑む陛下に安堵して頷いた。
部屋までの短い行道。
お互い、声を発することはなかった。
そして部屋の前で別れると、手を振りつつ回廊を心なしか軽いステップで帰って行った陛下を私はいつまでも見送った。

明日はどんな顔で逢えば良いのかしら?
今宵は夢だった・・・・なんて事では片付けられないわよね。
でも、月明りが魅せた幻・・・・ということにならないかしら・・・・・。

考え込む私は、
まだ眠れない。
眠れそうにない。

夢現に揺蕩う、一夜の現実。




終。




2012.07.29 SNS初載



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瓔悠

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