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【アリスの口づけ・11】  恋の迷路  

【設定】 

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【注意事項】

この作品は、某SNSのコミュニティにて開催されたハロウィンパーティに合わせて
『花の四阿』管理人・さくらぱん様とコラボした作品を私なりに加筆したものです。

【設定】に表示しております通り、現代パロディの作品となっておりますので
ご注意の上で閲覧くださいませ。







ミラーハウスの入口につくと、黎翔さんはさりげなく私の手を離した。
私は名残惜しい気持ちを抑えて、自分の掌を見つめる。
そこに残った黎翔さんの温かさの余韻を感じて・・・・。
そんな私を黎翔さんが口元を綻ばせて見ていたなんて、
私は全く気づきはしなかったけど。

不意にいたずらっ子のような声が隣から聞こえてきた。

「ねぇ、夕鈴、競争しない?」
「競争ですか?」

ミラーハウスで競争って、何を競うのかしら?
普通ミラーハウスってものは入口から入って途中のマジックミラーをよけつつ、
正しいルートを通って出口に出るものよね。
もしかしてここはあのテントウムシのライドの様に、
何かの乗り物に乗らされて恐ろしい仕掛けを体験させられるミラーハウスだったりで、
それをどれだけ耐えられるかを競うとか?
はたまた、お化け屋敷とコラボさせていて幽霊なんかが襲ってくるから、
それを退治してその数を競うとか?
どれもこれも、勘弁だわ。

私は、黎翔さんの言葉からあらぬ想像を巡らせ表情が硬くなる。
それを見ている黎翔さんの口元に笑みが浮かぶ。

「夕鈴・・・・・何を想像しているのか何となく分かるけど、幽霊は出てこないよ」
「それは良かったです」

私はホッと安堵の息を吐き出す。

「フフッ、夕鈴ってホント可愛いよね」
「お褒めいただき、光栄です・・・でも競争って何ですか?」
「実はね、ここのミラーハウスは普通のモノとはちょっと違うんだ」
「違うって何がですか??」
「ほら、ご覧よ」
「あっ、ホントですねっっ!入口が二つだわ」

私は言われた通り入口を見ると、可愛く装飾された入口は二つあって訪れた人を誘っていた。

「うん、ここはそれぞれの入口からはコースが違っていてね。
途中では合流出来るんだけど、ゴール間際で合流するんだ。
だから競争しようよ!どっちが先に相手を見つけられるのかをね」
「競争ですか?イイですよ!私負けませんから」
「じゃあ、後でね」

そう言うと、黎翔さんは鏡の国の入口へと身体を滑らせた。
私も慌てて違う入口から
中へと駆け込んだ。


******


「ミラーだらけ・・・・」

私は右手で鏡に触れながらゆっくり進んでいく。
ミラーは綺麗に磨かれていて、行く先がミラーなのかそうではないのかが直ぐには判別できない。
だから手で探っては鏡が途切れた先を曲がり、また鏡に触れる。

それを何度も繰り返す。
何度曲がったのか?
もう忘れてしまったくらい曲がったと思う。
でも行く先にはミラーが広がるばかりで、まだ黎翔さんには会えない。

胸の奥にチリッと微かに湧き上がる不安。
ホントにこの道で大丈夫なのか?私は心配になってくる。
実はこの先は行き止まりで、このミラーハウスに捕らわれて永遠に抜け出せなくなるような感覚に襲われる。

当たり前のことだけど、見えるモノは鏡だけ。
周りの鏡に自分の姿が写り込み、無数の『私』が生まれる。
そしてその『私』は『私』を見詰めている。
自分に凝視されて、私は身を竦めた。
そんな私に『私』は問いかける・・・・『この道は正しいの?自分が選ぶべき道なの?』と。
『この道』は、ただ暗にミラーハウスの事を指しているわけじゃない。
それは『私』には分かっていた。
黎翔さんとの事。
だって私はただの小娘で、黎翔さんは大企業の社長・・・こうして恋人になった今でさえも常に不安は付き纏う。
でも『私』は答えられない・・・『正しい』とも『間違い』だとも。
だから『私』は黙ったまま、兎に角歩を進めた。

だって恐怖に押しつぶされそうになるから。
まるでこの世界に私一人きりで残された気分を味わされている。
静かで、綺麗な透明無色の世界。
そこには誰もいない、黎翔さんでさえ・・・・。
私は、両手を胸の前で組んで不安を取り除こうとした。
その両手は冷えていた。
先程まで感じていた黎翔さんの温もりは泡のように消え失せていた。

私は、ただのちっぽけな『私』だ。
何の取り柄も無い。
だから黎翔さんには・・・・・・似合わない。

考えていると足は止まってしまう。
歩かないと、黎翔さんには会えない。

「早く、進まないと…黎翔さんに先を越されちゃう」

自分を叱咤するように、声を出す。
殊更に声を大きくして・・・・。
カラ元気でもいい。
今は黎翔さんに会うことだけを考えよう。

私は進んだ。
ただ、前に。
兎に角、前に。
力強く踏みしめて。
心の中で、黎翔さんの笑顔だけを思い描いて。



「夕鈴っっ!!」

声が聞こえる・・・・・。
私を呼ぶ声。
大好きな低めの声音。

「黎翔さん!!!!」

私は声を出して、自分のいる位置を黎翔さんに知らせた。

ここにいるの。
私はここにいるの。
だから、早く。
早く私を捕まえて!

急いで曲がった角の先に、佇む黎翔さんがいた。
両手を広げて、私を迎え入れてくれている。

「僕の勝ちだね」

そう言って笑った黎翔さんの笑顔が眩しく見えた。
私の瞳には涙の膜がうっすらと張っていた。
でも零れることは無かった。
だって、黎翔さんが私をギュッと抱き締めてくれたから。

胸の奥で『私』が問う・・・・『この道でいいの?』と。
『私』は答える。
『今は、このまま真っすぐに進みたい』と。
それは願望と決意の言葉。




続。





********

復活、第1話目はこの話でした。
正直新作ではないのですが・・・・・最近書いてないので、書き方忘れてるんです。
ちなみに『奇跡の欠片』を書き掛けて、書けずに断念したのでこちらの手直しをしてみました。
この話は元の話がありますから結構すんなり書けたので、
まずはこちらをUPします。
まぁ、ボチボチ書き方を思い出しながら書いていこうと思います。


お付き合い、有り難うございました。

瓔悠。

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この記事へのコメント

瓔悠さーん*\(^o^)/*先ほど帰りました〜☆
さすがですわ!有言実行♡ お話アップ嬉しいです!
なんと、ちょーど朝にさくらぱんさん宅の《アリスの口づけ》読ませていただいたところでした!うふふ(#^.^#)


こんばんは~コメント有り難うございました
返信お待たせしました!!

あらま、タイムリーでしたね(^^♪
あちらを読まれると、私がどれだけ好き勝手に話を盛っているのかが分かると思います。
結構楽しんで書かせていただいているんですよ~~

残りあと1話。
楽しんでいただけると嬉しいです!!!


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瓔悠

Author:瓔悠

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