【アリスの口づけ・6】 出会い・・・そして
2015年11月20日 (金) | 編集 |
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この作品は、某SNSのコミュニティにて開催されたハロウィンパーティに合わせて
『花の四阿』管理人・さくらぱん様とコラボした作品を私なりに加筆したものです。

【設定】に表示しております通り、現代パロディの作品となっておりますので
ご注意の上で閲覧くださいませ。












そして始めた清掃のバイト。
このビルは大きくて広くて、結構大変だった。
1フロア終わらせるだけで、息が上がる。
確かに割は良いかもしれないけれど、その分体力も必要だ。

私は中途半端なことが大嫌いだから、やるなら完璧に!を遂行していた。
だからバイトを初めて3か月、このビルで働く人の顔なんて誰一人として覚えることなんてなかった。
あっ、一人だけいた!!
あの時の眼鏡の面接官だけ。

兎に角、それくらい一生懸命にビル清掃に精を出していた。
全ては可愛い青慎の為に。
それだけを考えて・・・・だから、少々キツくても我慢出来た。


****

「君が新しいバイトの子かい??」

フロアの床の頑固な汚れをゴシゴシ拭いていた時に、不意に頭上から声が降ってきた。

俯いたままの私の耳に届いた声は、低いけど温かみのある声質で・・・・。
まず、その声に惹かれた。

その声に導かれ、私はノロノロと顔を上げた。

一番初めに目に飛び込んできたのは・・・印象的な深紅に輝く瞳。
私を見据える瞳は、力強くて視線を逸らすことが出来なかった。
視界に入ってきたのは、すらりとした長身で仕立ての良いスーツに身を包んだ若い男性。
顔だちも涼やかでキリッとした結構イケメンの青年。

きっと女性社員の憧れの的なんだろうなぁ~と容易に予想出来る。
まぁ、私には関係のないことだけれど・・・・・・。

そんなことを考えていた私は、返事が一瞬遅れてしまっていた。
返事待ち顔の男性に向けて、私は慌てて返答する。

「えっ、はいっ、そうです!」
「そう・・・・・君が」
「?」

その人はその一言を呟くと、私を見詰めたまま黙ってしまった。
私はどう返答してよいのか分からず、モップの柄を握りしめたまま固まった。

広いフロアには、私たち二人だけしかない。
お互いが黙りこくったことで、辺りに静寂が漂う。

私は掃除を再開したくても、その人の視線が気になって動きだせない。

「あの・・・・私、ここのお掃除をしたいんですが」
「ああ、どうぞ」

そんなこと言われたって、出来っこない。
見つめられたままだから・・・。
深い紅の瞳に吸い込まれ、拘束される。
一体、この人なんなんだろう。
私に何か用かしら?
用があるなら、さっさと言ってくれればいいのに・・・・・。

「私に何か用ですか?」
「いや、特には」

男性はそう返事する。
ならすぐにでも立ち去るだろうと思い、掃除を再開させるために軽くお辞儀をした。

これで、いいわよね。
私に用が無いのなら、無視してもいいわよね。

モップを動かして床を磨き始めるが、男性は立ち去る気配はない。
それどころか、まだ視線を感じる。
どうも私をまだ見てるみたいだ。

「・・・・あの、私、何かヘンですか?」

彼は私の何が気に掛かっているのか?すごく気になって訊いてみた。

「ヘン?いいや、別に」

男性はそう言うと、微かに口元を綻ばせた。

別に?
そんな事、無いでしょう。
じゃあ、どうしてただの清掃バイトをじっと見ているっていうのよ?

私の中で、疑問符が飛び交う。

ええい!もう知らない!!
私はまたモップを動かし、ごしごし掃除を始めた。
気にしないように努めて、掃除に精を出す。

床がピカピカに磨き上がり顔を上げると、もうそこには誰もいなかった。

「一体、何だったの・・・・・それに誰だったのかな?」

私は静かなフロアでひとりごちた。
それにしてもかなりのイケメンだった。
あの深紅の瞳も印象的で・・・・・・・忘れられそうになくて、私は頭を振った。



***************


それから、数日後。
秘書課のイケメン眼鏡青年に、私は呼び出されていた。

私、何か失態でもした?
イヤ・・・・・そんなことはないはず。
フロアのモノを壊したりはしてないし、通行する方には十分に気を付けて邪魔にならないようにしていたし。
思い当たる節なんて何一つ無い!

「あの・・・お呼びだと聞いて来ましたが」
「ああ、汀 夕鈴さんでしたね。お待ちしてました、どうぞそちらへ」

イケメン眼鏡青年は、スマートに手で指し示して私をソファーへと誘う。
私は言われるまま、浅く腰掛けた。

「さて、貴女に今日は別のバイトをお願いしようと思いまして、お呼びしたんです」
「別のバイトですか?」
「はい!それはもう、破格値のバイトですよ」
「破格値?」

私の頭の中で、お札がちらつく。
イケナイ!イケナイ!!そんな浅ましいことを考えちゃ。
私はすぐさま頭の中のお札を消し去る。

「それはどんなバイトですか?」
「社長の婚約者になってもらいます!!」
「はい?今何と仰いました?」
「だから、社長の婚約者ですよ」
「はぁ??いや、無理です!!!無理でしょ、そんな事。
だって、私…社長さんのお顔すら存じ上げてないんですよ」
「えっ?おかしいですね・・・・社長は貴女に会ったと言ってましたが」

私、社長さんと会ってる?
何処で?
やっぱりこのビルの中で・・・よね。
そんな人いたっけ?

私は必至で記憶のふたを開けて、まさぐるようにそれらしい人物を探す。

元々フロア清掃なんて大体が下を向いているから、思い当たる人なんてそんなにいるわけがない。

じゃあ、もしかしてあの人?
先日、フロアで会ったすっごくカッコよかった人。
でもあの人だとすると、社長にしては若すぎる。
だって、この目の前の社長秘書だというイケメン眼鏡青年よりも若かったし。
この前の事を少し思い出しただけで、あの端正な顔立ちがちらつく。
私は、頬が熱を帯びていることを感じていた。

何を想像しているのよ、私ったら。
こんな大きな会社の社長さんなんだから、あの人なわけないじゃないっっ!
でも私を婚約者の身代わりにするんだったら、社長さんがおじさんじゃ年齢のつり合いが取れない。
じゃあ、誰が社長なのよ?

いくら考えても私の中で納得がいく人物が思い当たらない。
観念した私は、目の前の眼鏡青年におずおずと訊いてみた。

「あの、社長さんって、どんな方ですか?」
「社長ですか?企業家の間では『狼陛下』なんて言われてますけどね。
まぁ、その手腕には、年配の重役たちも一目を置くというか、舌を巻くほどですが」
「えっ??年配の重役さんたちがですか?・・・・もしかして社長さんって、お若い方だったりします?」
「ええ、21歳ですよ」

あの人だ!この前・・・・私をジッと見ていた人。
でもあんなカッコイイ方だったら、私なんかが婚約者のフリなんてしなくてもいいと思うけどなぁ~。

「私なんかで務まるんでしょうか?」
「さぁ、それは分かりませんが、貴女は一応彼氏もいないということですし・・・何しろ社長が『絶対に貴女を!』と希望しているので」

そこでイケメン眼鏡青年はため息を吐き出す。

「私を指名しているんですか?」
「はい・・・・こんなどこにでもいるような高校生を偽婚約者にしなくてもいいと思うんですけどね」

納得がいかない表情を浮かべる眼鏡青年。
私は何と答えていいかわからず、曖昧な笑みを浮かべた。


そうして気がつけば、清掃バイトから偽婚約者バイトにガラリとバイト内容が変わっていた。


続。








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コメント
この記事へのコメント
きたー!偽婚約者!!
ふふふ・・さあ、社長のお眼鏡にしっかり止まってしまった夕鈴。
社長のお手並み拝見ですね!!
たのしみだー!!

続き待ってる~~~~~♪
2015/11/20(金) 15:29:32 | URL | ママ #-[ 編集]
瓔悠さん!つづきだぁ(#^.^#)

夕鈴が社長を最初からイケメン認識してる〜‼︎
声に惹かれて顔上げてる時点で『いいぞ!夕鈴!』でガッツポーズしちゃった♡
さて、ここからですね〜*\(^o^)/*

あっ。李順さんもイケメンさんに入ってる\(//∇//)\
2015/11/20(金) 22:47:49 | URL | タイフーンです(≧∇≦) #-[ 編集]
ママ様

おはようございます~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!

きたよ~~偽婚約者!!!
これが無くっちゃ、始まらない!!!

社長はすべて自分の思い通りになるのが、社長なのさ!!!
どうなる、夕鈴!!!
この先、結構簡単に次に進むから、かなり加筆しようと思ってます。
楽しみに待っててね~~~

2015/11/22(日) 07:45:37 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
タイフーン様

おはようございます~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!


あらま、そうでした~~
イケメンさんだと思っていたのね。
まぁ、現パロだから、その辺りの認識だけは有りかな~と。
私も昨日旦那を迎えに行った車の中から、道行く人にイケメン発見!!!見惚れてしまいました。
こんなおばさんになってもイケメンセンサーはあるのだと・・・フムフムと思っちゃいました!(笑)


いいっすか???
夕鈴、いきなり惹かれてますよ~自覚なしに。
フフフ~~~


2度目なのに楽しんでいただけて、嬉しいですよ~~~
続きは少しお待たせさせそうなんです。
ごめんなさ~~~い!!

2015/11/22(日) 08:32:42 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
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