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臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前々ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   













黎翔はイライラする気持ちを持て余していた。
部屋にいる夕鈴を警護している筈の浩大の気配は消え、
夕鈴がここから居なくなった事が容易に分かるからである。
それでもそこから離れることはせず、佇んだまま思いを馳せる。

夕鈴・・・・自室に閉じ籠ったと思ったら、今度は一体何処へ行ったんだ。
それほどまでに僕の事が嫌いなのだろうか?
それとも先程の事を怒っているんだろうか?
こんなに僕の心を掻き乱すのはたった一人だけ。
僕の妃である君だけだ。
しかし、このままここに居ても夕鈴は戻らないだろう。
ならば、自分で探すまでの事。
探し出して、そう・・・・赦してくれるまで君に赦しを請い続けるだけ。

ションボリ小犬は瞬時に俊敏な狼へと変貌を遂げる。
黎翔は踵を返して、兎捜索へと華麗に駈け出して行った。


********


夕鈴は回廊から庭園に出て来たものの、
逃げるべき場所を決めかねてその場で足踏みしていた。

後宮内は何処に陛下がぶら付いているか分からないし。
後宮立ち入り区域は酷い目に遭ったから避けたいし。
王宮はあちらこちら官吏が歩いていて、いつ陛下に私の居場所を進言するか分からないし。
それよりも方淵に逢ってイヤミの応酬を受けるのは、もっと御免だし。

腕組みしながら真剣に考えてみるものの、適当な場所は思い浮かばない。
更に『ウ~~ン』と唸りながら考える。

一体何処へ逃げればいいのかしら??
頑張らないと青慎の教科書代が手に入らない。
でも、適当な場所が思い浮ばない。
やっぱり庭園や四阿を転々とした方がいいかしらね、今日は幸い天気もいい事だし。

「よしっっ!!では、行動開始!!!」

夕鈴は気合を入れようと天高く拳を突き上げ、テクテク歩き出した。

そよぐ風は頬を微かに優しく撫でていき、
胸一杯に吸い込む空気は木々の葉から香る青々とした香りで満たされていく。
次第に清涼感が身体を支配して行き、いつの間にか夕鈴は鼻歌を唄っていた。
キレイな歌声は風に乗って運ばれ、空気に溶け込んで周りをパステル色に染める。

しばし歩くと、葉の生い茂る楠の大木の下まで辿り着いた。
夕鈴はそのまま木の根元に腰かけると、徐に天を仰ぎ見てる。
形を変えながらゆったりと流れていく雲をしばし眺めていた。

「ホントにいい天気・・・・このままここに居てまどろんでいるのもいいかもね」

クスッと笑うと、足を伸ばして大きく伸びをした。
次第に心が落ち着いていくが、先程の事が鮮明に頭に浮かんでくる。

部屋に閉じ籠って、更に家具まで移動させたのはあんまりにも大人げ無かったかしらね。
でもどうしていいのか分からなかったから、ああするしかなかった。
このままではさすがにマズイってことくらい理解できる。
だって陛下に一生会わないってわけじゃないんだから・・・・。

そんな事をボンヤリ考えていると、背後でカサッと人の気配と草を踏みしめる音がした。

「誰っ!!」

夕鈴は身軽にスタッと立ち上げると、声を荒げた。

刺客??じゃないわよね・・・。
刺客だったら足音なんか一切立てずに、もう攻撃してきている筈だものね!!

ドキドキ・・・・・・・・・高鳴る胸の鼓動を身体で感じながら、恐る恐る振り返ってみた。
そこに立っていたのは、夕鈴の問い質す声に驚いている氾 水月だった。

「お妃様がこんなところにいらっしゃるとは、思いませんもので失礼致しました」
「いえ、私の方こそ大きな声でビックリなさったでしょうね、ごめんなさい」

お互い軽く礼をして、ホンワリと微笑んだ。
辺りはフワフワキラキラと、穏やかな気配で満たされる。

「そう言えば、陛下がお妃様をお探しの様ですが・・・・どうかなさいましたか?」

特別手当目的で、陛下から逃げているなんて口が裂けても言えないわ!!

夕鈴は瞬時に言い訳を考えて、曖昧な笑みを浮かべる。
これもお妃教育の賜物である。

「ええ、それは陛下と競い合っていますのよ・・・どれほど早く私を見つけられるのか?
それで隠れていましたの。ところで水月さんは如何してこちらに?」

「いえ、方淵殿から聞きたのですが・・・陛下がどうも不機嫌なご様子で、王宮内を歩かれているとか。
それで、ではないのですが(陛下の怒気の対象にはなりたくないもので・・・とは言えませんが)私も私邸の庭を散策してみようかと思いまして、辞してきたのですよ」
「まぁ・・・そうでしたの。
只、水月さんまだお帰りには早いお時間では?」
「そうですね」

キラキラオーラを漂わせながら、ニッコリと微笑み立ち去ろうとする水月の衣をシッカリと掴んで立ち止らせる。

「水月さん・・・私、前にも申し上げたかと思いますが『労働は尊いもの』だと今でも思っております。
ですから、まだお帰りにはならないで下さいね」
「そうでしたね・・・・しかし池の鯉たちは私からしか餌を食べないらしく、餌やりもしたいと思いまして」

やはり水月さんは一筋縄ではいかない人だわ。
でも、ここでこのまま帰す訳にはいかないのよね。

「水月さん・・・事情は解りますが、やはりお仕事も大切だと思いますが」
「お妃様のお考えは正しいと思い・・・」
「あっ、こんなとことに居たのか、氾水月!!
大体貴様はいつでも直ぐに帰ろうとして!!
まだ書簡の山は残っているのだぞ」

頭から湯気を立ち昇らせ怒ってやって来たのは、柳 方淵。
なんのかんの言っても面倒見の良い彼は、
水月が無断で帰宅しようとするのをいつもキッチリと阻止しているのである。

「おや、方淵殿。君が如何してここに?」
「いい加減にしろ!!貴様を探しに来てやったんだ」
「そうですか・・・・しかし、私は体調不良で・・・・」
「何処がだ!!さぁ戻るぞ!!」

方淵は水月の腕を掴んで引っ張って行こうとする。
その二人のやり取りをポカンと見ていた夕鈴に気が付いた方淵は、苦虫を噛み潰したような視線を送る。

「貴方もここで何をしているのか?
後宮に引き籠っておれば、陛下がお探しするなどととんでもない事に為らずに済まれたものを。
陛下に此方に貴方が居ると、報告しておかねばな。
ほら、行くぞ。」
「では、お妃さまごきげんよう・・・・・・」

溜息を付きながら戻って行く水月を眺めながら、
夕鈴は次の行き先を考えていた。

方淵殿は優秀だから、直ぐに陛下を見つけてここに私が居る事を教えてしまうわね。
さて、今度は何処に移動しようかしら?
それにしても・・・・陛下が不機嫌だったって??
何で???
やっぱり私が閉じ籠ったりしたからなの?
だったら、後で謝っておかないと。
でも、私がそんな事した理由は陛下に有るんだし。
あっ、何処に行くか考えているんだった!
そうだわ!!老師も私が迷っていた事は知っているだろうから、謝りに行っておこう!!

「では、いざ後宮管理室の老師のもとへ!!」

夕鈴は、両手を振りながら軽快にリズムよく歩き出した。

まだ、狼と兎の攻防は続く。



続。












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口直しに読んでるんだけど辛い・・。
どシリアスの注意書き読んで悩んだんだけど・・読んでしまって。
あそこでコメするのは辛過ぎたので・・・ココに逃げ込んできた。
更新たくさーん!わーい!と喜んでいたんですが、おおう。その中にアレが・・・。(泣)
次の回が読めるか解りませんが、一話目は頑張った!私えらい?(笑)

更新頑張っててよゆりん凄い!えらい!!←上からでごめんね。
これから年末に向けて色々忙しかったりするけどお互い体調に気をつけながら頑張りましょうね!!ファイ!!

おはようございます~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!

口直しになったのでしたら、良かったです~~

あちら・・・・・・読んだのですね。
かなりどシリアスだから、注意書きはしっかりとしたつもりです。
でもよく頑張ったよ~マァマ。
うんうん!エライ!!

次は飛ばしてOKだからね~~。
多分・・・・かなり『くる』と思うから。
でも私が書くから、最後は・・・・・です。
ふふふ~~~

最近は、更新頑張っているよ~
なるべく毎日何かしら更新しようと思っているからね~~
そして更新できなくても、3日更新無し!は無いようにしてるから。
ただこれから結構忙しくなるから、どうかなぁ~とは思うけれど。

でも、できるだけ頑張るね~~~

お互いに体調には気を付けようね~~~




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瓔悠

Author:瓔悠

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