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臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前々ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   








風が止み、葉ずれの音が止んだ。
ふと背後に感じる気配。
これはいつも感じているモノで、夕鈴は誰のモノであるのか分かった上で後ろを振り返った。

「陛下・・・・・・・・・・」
「夕鈴、こんなところに居たのか・・・随分と捜したのだが」

そこには口を一文字にギュッと噤み、やや不機嫌気味の黎翔が佇んでいた。

「一体私がどれだけ捜したのか、分かっているのか?」

切れ長の細い眼が、夕鈴を鋭く問い詰める様に紅く光彩を放っている。
そんな黎翔の様子に少しビビって、夕鈴は首を竦めてみせた。
その弾みで、髪に差された簪が揺れシャランと金属音が鳴り響く。

そんな事言われても、しょうがないじゃない!!
李順さんからの特別手当付きのお仕事で陛下から逃げていたんだし、
それには直ぐに捕まったんじゃ特別手当のもう半分が貰えないんだから。
それよりも迷路区域で助けてくれた事は感謝しないといけないって事ぐらい分かっちゃいるけど、あの行為だけはまだ許していないのよ。

国王たる黎翔に謝罪を求めようとしている夕鈴は、結構大胆不敵であった。

「では、お伺い致しますが・・・・先程のあれは何ですか?」
「先程のあれとは??」

分かっている癖に~~~~~。
もうしらばっくれて!!

「私に言わせないで下さい!!
助けてくれた時に・・・・・していた・・・・ことですが・・・」

先程の口付けの感触が唇の上で甦り恥ずかしさに耐えきれず、
最後の方は聞こえるかどうかの小声になっていた。
そんな夕鈴の様子が微笑ましくそして可愛らしく思えた黎翔は、
ソソッと近付いたかと思うと人差し指でクイッと軽く顎を持ち上げた。
そして自分自身の顔を近づけ、剛胆にも先程の再現の様に口付けをしようとしてきた。

「ちょっと何するんですっっ!!」

意識したわけでもないのに余りの驚きに裏返った甲高い声が、
黎翔の行為を寸前で止めていた。
その慌て様にクックックッと声を押し殺して笑っている黎翔が目の前におり、
どうやら先程の不機嫌さは何処か遠くへ去ってしまっているようだ。

「僕に君を探させた事に対する報酬だよ」
「報酬って言われても!
こんなのは報酬とは言えません!!!」
「そうだね、ゴメン。そして先程の行為は、夕鈴を助ける為であったんだよ。
あんなところで倒れていて、ホントにビックリしたんだから。
息していないんじゃないかと焦って、人工呼吸をしてみたんだ」
「人工呼吸?そう、だったんですか・・・・。
陛下のご厚意を邪なものだと思ってしまって、ごめんなさいっっ!!」

夕鈴は、真っ赤になって俯く。
自分の自意識過剰さに恥ずかしくなる。

夕鈴ってホントに可愛い~全く素直過ぎるんだから。
僕の言葉を真に受けて・・・・僕の本心なんて、全く気付いちゃいない。

黎翔の背中には黒い羽と尻尾がチラリと見え隠れしていた。
そして夕鈴には見えないようにチロッと舌を出し、妖しい笑みを浮かべていた。

「それにしても夕鈴、珍しい格好をしているね。
いつもの装いより華やかで綺麗だよ」

夕鈴の着飾った艶やかな姿がいつもよりも数倍大人びており、
実のところ黎翔はドギマギしていたのであったのだ。

「ああ、これですか?
実は衣裳が汚れてしまっていて着替えをしたんですが、
侍女の方々が張り切って飾り付けられてしまって・・・」

夕鈴は、申し訳なさげに言葉を紡ぐ。
それを見た黎翔は抱き締めたい衝動に駆られるがグッと抑えていた。
また逃げられるのは敵わない・・・・。

謙虚な所はきっと君の美点だ思うけど、
たまには自分の容姿の美しさも認めた方がいいと思うけどね。

そんな黎翔の気持ちなんて、鈍感夕鈴には届きっこない。
今も尚・・・頬を真っ赤に染めて上目づかいで黎翔を見つめる夕鈴に、
柄にも無く心臓の鼓動が激しく打つ。


このままずっと。
君の美しさを愛でていたい。
このまま閉じ込めて、誰にも見せず。
自分だけのものに。
僕だけを見詰めて。
ただ、それだけでいい。

自分の願望に思い耽る黎翔を現実へと引き戻したのは、
鈍感兎の声に因ってだった。

「陛下、あの、此処でお茶にしませんか?
私を助けてくださったお礼に、美味しいお茶をご用意致しましたので・・・・」


夕鈴は卓に用意していたお茶道具で、手早く杯にお茶を注ぐ。
二人は仲良く並び座り、お茶菓子と共に午後のひと時をのんびりと寛いでいた。
黎翔は横目でチラリチラリと、艶やかな姿の夕鈴を眺め見る。
それこそゆっくりと堪能し、悦に入っていた。

ところが、背後からそれを邪魔する声が・・・・・。

「あれ?陛下・・・それにお妃ちゃんじゃん」

いつものノリで軽快に浩大がやって来た。

「はぁ~~陛下が先だったのか。
じゃあ、賭けは陛下の勝ちかよ・・・・ちぇっ」

浩大は残念そうに、黎翔に向かって命知らずか舌打ちをする。
しかし満ち足りている黎翔は、そんなことは些細なことと全くものともしない。

「そうだな、私の勝ちだな!!浩大、あの約束は反故だぞ」
「え~~~~~~そりゃないよ~~俺だって必死で探したんだからさぁ」

勝ち誇っている黎翔に、盛大にガッカリして肩を落とす浩大。
この対照的な二人のやり取りを見つつも、
話が全然見えない夕鈴は首をちょこんと傾げていた。

「ああ、それにあの特上酒は、もう献上品倉庫に納められているんだぞ。
その管理をしているのは誰だ?」
「李順さんだよね・・・・・」
「だったら、もうこの先は言わなくても分かるだろう?」
「分かるよっっ!!あの人のケチさ加減ぐらいオレだって知ってるよっ!」

『してやった』と、したり顔で黎翔の紅い瞳がキラリ光る。
その表情を見た浩大は始めから黎翔が自分が必ず勝つと確信していた事を理解し、
プーと頬を膨らまし拗ねてしまった。

「最初っからくれる気は、更々なかったんだろ!!
ひでえよ、陛下は!!」

浩大はやっぱり諦めきれずに、まだ文句をタラタラ言う。
しかし黎翔はどこ吹く風で。
もうこれ以上は言っても駄目だと思った浩大は、仕方なく諦めることに。
ならば、李順に『陛下追跡』の報酬として特上酒を強請ろうと思い直し、
踵を返し執務室へと向かうことにした。

「じゃあね~~お妃ちゃん!!
あっ、そうそう、陛下からちゃんと謝ってもらった??
気絶していたお妃ちゃんに嬉しそうに口付けしていた事をさ」

最後に浩大は黎翔に対し意趣返しと言わんばかりに爆弾発言を残し、
風のように消えて行った。




続。








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少しの隙間時間にお邪魔します^^

浩大の仕返しの爆弾を陛下はどうやって処理するのかしらね~(笑)
拗ねたお妃様は中々戻りませんよ~。
コメント少なくてごめんね~。
しかも、大量更新が嬉しくて読みたいのに読めない状況を打破しようといま、色々と一生懸命頑張ってますよ!
年賀状終わったと喜んでいたら・・・息子、娘の友達や上司さんの住所を持ってきた・・・。
一言も書き終えたのに・・・。クスン。

よゆりんもがんばれーーーー!!!では!

こんばんは~コメント有り難うございます
返信大変お待たせしました!!

ふふふ・・・浩大は良い所で爆弾を落としてくれたもんだ。
たまには陛下に苦労してもらいましょっっ。
拗ねたお妃様は怖いんだぞ~~~とね。


年賀状は後から出す先が出て来ると嫌だよね。
わかる~~~。
そしてウチでは、今日子供たちが出す分を書かせました。
県外は間に合わないだろうなぁ・・・・。
全く子供たちは取り掛かりが遅すぎるぅ~~。

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瓔悠

Author:瓔悠

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