【空は白く、輝きと共に】・後編 『空は青く光と共に』続編
2015年09月06日 (日) | 編集 |
【設定】

未来設定 ・  本物夫婦








物憂げに泉の水面を見詰める夕鈴。
それを横目にしながら、眩しげな視線を向ける少年陛下。
二人を照らす月は、全ての事象を知り得ているような優しげな光を放つ。


「お姉さん・・・・」
「はい?」
「前は・・・・キチンと戻れたの??」
「ええ、戻れたわ・・・・・・・・・・貴方の元に。」

夕鈴は頬をほんのり桃色に染めながら、最後の一言だけは小さく囁く。

「大切な人は、迎えに来てくれていたんだ」
「そうね、待っててくれたわ」
「やっぱり、今度も帰りたい??」
「帰りたい・・・・・わ」
「お姉さんが帰りたいとしても、僕の本心を言わせてもらえば帰したくない。
こんなどうしょうもない腐った王宮に居たら、僕はおかしくなりそうなんだ。
でも、僕は逃げ出すことは出来ない。それならば、お姉さんと一緒がいい」

少年陛下は夕鈴の肩を掴みクイッと自分の方に向けて、必死に嘆願するような表情を浮かべる。
夕鈴は小さく息を吐き出すと、少年陛下にふんわりと微笑みかけた。

「そう仰ってくださって、私も嬉しく思います。ここに留まることも選択肢の一つかもしれません。
でも、私はやっぱりあちらで待って下っている方のために帰らねばなりません。貴方なら・・・・・・大丈夫です。
私は知っていますし、信じていますから」
「知っている??」
「そうです、ちゃんと知っています。どれだけ民の事を思っていらっしゃるのか、そしてどれだけ努力して国を護って下さっているのか」
「・・・・・・・・・・・」
「貴方は王です、この国を豊かにさせることが出来る唯一の王なのです。
私は貴方を信じています、私だけの陛下を・・・・・・・」

夕鈴の言葉に瞳を閉じて、聞き入る少年陛下。
その姿は、大人じみていて・・・・・・そう、夕鈴の愛する大人の陛下のモノで。

「私、帰りたいです」
「そうなんだ、なら仕方ないよね。でも、また逢える??」
「ええ、きっとまた」


陛下。
私の陛下。
逢いたいです、今すぐに。
帰りたいです、貴方の元に。
そして、私の想いを伝えたいんです。


夕鈴の強く念じる想いが、空に浮かぶ月へと届いたように一際輝きを増す。
それは水面に映る月にも呼応して、眩しいくらいに光り輝き始めた。


その光を感じて、夕鈴は『帰れる』と何となく確証を持った。
そして少年陛下に一言。

「ずっと、私は貴方をお慕いしています」

佇む少年陛下は、少し困ったような・・・それでも納得したような表情で微笑んだ。
揺れる深紅の瞳だけは納得していないようであったが。

それを見た夕鈴は、そっと頬に自分の唇を落とす。

「きっと、またお逢いできます。
運命の糸は紡がれ、貴方の糸と絡み合いますから・・・・待っててくださいね」

その言葉と共に夕鈴の身体までも光に包まれた。



*************




「夕鈴????何処にいる??」

意識が覚醒してくると共に、聞きなれた声が耳に届く。
目をしっかりと開けて、周りを見てみた。

そこには先程覗き込んだ古い井戸があり、夕鈴はその隣に倒れ込んでいた。
身体を起こして、空を見上げると、大きく白い月が鎮座していた。

「陛下っ!!ここです」

夕鈴は思いっきり声を上げてみた。
するとその声に呼応して、黎翔が駆け寄って来た。

「夕鈴、如何したんだ?このようなところで何をしていた」
「酔い覚ましをしていました」
「・・・・そうか」
「はい、そして素敵な男性と逢っていたんですよ」
「何っっ!!!!そいつは何処の誰だ!!!」
「うふふ、陛下は本当に素敵な男性ですよね。
今も昔も・・・・・・」

夕鈴はにっこりと微笑んでみせるが、
黎翔はその夕鈴の微笑みの意味がよく分からないようであった。
それでも、夕鈴は良かった。
自分の中だけで思っていればいいことなのだから。

「陛下、大好きです」
「・・・・・・私もだ」
「でも多分、私の方が先に好きになったんですよ。
だって、陛下が陛下じゃない頃の陛下も好きだと思ったんですもの」
「??それは、どういう・・・」
「いいんです。それは私だけの秘密ですから」

黎翔は首を捻りながら、夕鈴の言葉の意味を考えていた。
でもあの時出会った夕鈴が、今この時の夕鈴であることに気づいていない黎翔は考えても到底分かりはしないものだった。

夕鈴は微笑んでいる。
それも幸せそうに。
それだけで、黎翔は自分までも胸の中が温かくなる感覚を感じていた。

「夕鈴、今宵の月は本当に綺麗だな」
「はい、あの時と同じです」
「あの時?」
「はい、あの時です」

夕鈴はそういうと、黎翔の首に自分の腕を巻き付ける。
それに呼応して黎翔はそっと抱きしめた。


眩く輝く月明かりの中、二人は強く抱きしめ合うとそっと互いの唇を重ね合わせたのだった。
もう離れないと誓いあうかのように。





終。




2014.09.10 初載
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コメント
この記事へのコメント
ここまで連れてきて一緒に居たいと吐露した小さいとはいえ流石黎翔君。
冗談にせず、本気で受け取り本気で返している素敵な夕鈴でしたね〜(#^.^#)
今陛下にもきちんと気持ち伝えられて嬉しいです(≧∇≦)
これで振り出しに戻ったタイフーンの月曜日朝も頑張れそうです\(^o^)/
2015/09/07(月) 06:55:09 | URL | タイフーンです*・ #-[ 編集]
久しぶりのキュンキュン////。
今は、夕鈴を手に入れられなくて辛いかもしれないけど数年すれば陛下の元に夕鈴はやってくるのよ・・・と教えたいけど、こっそりと見守っておくことにするよ←
もう・・・ラブ過ぎて見ていられないよ!////
2015/09/07(月) 12:38:44 | URL | ママ #-[ 編集]
タイフーン様
こんばんは~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!
さすがに陛下でしょっっ!!
やはり、小さくとも陛下は陛下なんです。
それに夕鈴は揺れなかったはずはない!と。
夕鈴と陛下の夫婦ぶりがもうちょっと書きたかったかな~~
少し簡単すぎました・・・・。
タイフーン様の元気の源になれればいいなぁ~と感じつつ
私も1週間頑張りますね~~
いつも元気と笑いをいただけるコメント、有り難うございます~~~
2015/09/07(月) 23:43:40 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
ママ様
こんばんは~ コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!
キュンキュンきた????
それは良かった~~~
私は甘さが足りないのな~~と思ったから。
もっとイチャラブさせたかった。
でも最近の気持ちの浮き沈みがそうさせてくれなかったんです。
困った!困った!!!
2015/09/07(月) 23:45:36 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
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