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臨時妃 ・ 原作寄り









「ねえ、落ち着いた?」

大声で叫んだ後、そのままゼイゼイ言いながら動きが止まった夕鈴に少年は声を掛けた。

「・・・・・本当に・・・・・・陛下の御名は違うの?」
「だから、そう言っている」
「じゃあ・・・・今は、誰が陛下と呼ばれているの?」
「僕の兄だ・・・・アイツは、国を疲弊させているだけなのに王だとはとんだお笑い草だがな」

夕鈴には『兄』だといった後の言葉は、聞えはしなかった。

「君は・・・・・何をしているの?ここで」

『君』ではおかしい・・・様な気はしたのだが、夕鈴の口から出たのはその呼び名だった。
だってまだ『陛下』ではないし、『黎翔様』っていうのも気が引ける。
自分はそう呼ぶ権利を持ち合わせてはいないのだから・・・。

だったら如何呼べばいいのかしら??と困った瞳の夕鈴に、深紅の瞳がぶつかる。
そして夕鈴がそのまま逸らさず見据えたままなのが気に入ったのか、
目の前の少年は堅かった表情が少し和らんで、ふっと笑ったのだった。

でも、呟いた一言は辛辣だった。

「飼い殺しだよ」
「飼い殺し??」
「いいよ、お姉さんには解らないのだろうからさ」

一体、陛下は即位する前はどんな生活されていたの?
確か、反乱勢力を一掃したのは知ってるけど・・・。

夕鈴は、如何返せば良いのか解らず黙り込むしか無く、
二人の間に妙な沈黙が流れていた。
それを破ったのは、少年陛下だった。

「ところで・・・・・お姉さんは、何処から来たのさ?それに何者なの?
あの愚遁な兄王から、僕の監視でも頼まれた?」
「監視??冗談じゃないわ!どうして私がそんな事しなくちゃいけないのっっ!!」

夕鈴は予想外であり得ないことを言われたので、その途端大声で切り返す。
その大声に此処ではマズイと、目の前の少年陛下が閉じた口に人差し指を当てて、
『声、大きいよ』と仕草で指摘した。

「ふうん・・・・・お姉さんは、嘘がつけない人みたいだね」
「そうよ!!!何処から来たのかは、正直に言っても多分信じてもらえないだろうから言えないけど・・・・間諜なんかじゃないわよ」

夕鈴は、此処が『過去』であるということに何となく気が付いていた。
そりゃそうだ・・・・目の前の黎翔を見れば何となく・・・認めたくはなくとも理解は出来る。

それにしても、穴をくぐった先は過去でした~~なんて、誰が信じるのよ。
ちゃんと私、戻れるの?あっちじゃどうなっているんだろう・・・・。
浩大辺りが探してるとは思うけど、まさか井戸に落ちて過去に来てるなんて誰も思うわけもないわよね。
でも何とか、あの井戸奥の穴から誰か助けに来てくれないかしら??

誰か・・・・・。
誰かとは、黎翔を差しているのか??
それは夕鈴の心の奥底の問題で、誰にも解らないのだが。

夕鈴は考え込んで、黙ったままだった。
帰還する方法を考えていたものの、考えは段々悪い方へ向かい、
本当にあっちに戻れるか不安が襲いかかってきてフッと表情が曇る。
それを見ていた黎翔は胸の中にざわめきを覚え、急に夕鈴の手を取った。

「お姉さん、ここに何をしに来たのかはもう聞かないからさ、僕と散歩にでも行かない?」
「散歩?」
「そうだよ、散歩」
「いいわよ・・・・但し、その・・・・・・手は離して欲しい・・・です」

夕鈴はここにいる黎翔があの陛下じゃないって事は重々承知していたのだが、
ドキドキする胸の鼓動が気になってお願いしてみたのだ。

「だって、この方が好都合なんだよ」
「好都合って言われても・・・・・・・・・・」
「えっ、お姉さんは迷惑だって言うの?」
「いや、それは、そんな事は・・・・じゃあ、このままで、いいです」

例え容姿や年齢が変わっていても、この人はやっぱり陛下なんだ。
夕鈴はボンヤリとしつつ、ヘンな所は納得していた。

「僕のお気に入りを教えてあげるからさ!それで元気出しなよ」

その言葉と共に握った手をもう一度シッカリと握り直して、
光りさす明るい庭園に向かい勢いよく歩き出した。




続。






2013.05.09 SNS初載
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瓔悠

Author:瓔悠

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