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臨時妃 ・ 原作寄り 









誰もいない・・・物音一つしない静寂の刻。

そりゃ、そうよね。
こんなところに一人なんだし。
それにしても、どうしてこんなに落ち着いていられるのか?
不思議と言えば、不思議である。

夕鈴は先ずは大きく深呼吸して、自分の状況を確認してみた。

大体此処は何処なのか?
後宮の自分の宮からは結構離れた庭園の・・・・・・今はもう朽ち果てて誰からも関心も持たれない、
そして水の一滴も無い井戸の底。

どうしてこんなところにいるというのか?
それは、此処に落されたから。
ならば、一体誰に?
其れは・・・・見知らぬ女官に。

あの落とされる間際の言が、まだ耳に残ってる。

『アンタさえ、アンタさえいなければっっ!!
ウチのお嬢様が、陛下のお妃となられていたはずなのに!!!
どうしてアンタなのよ!!』

主の敵!とばかりに、背中をエイッと強く押され此処に落とされたのだ。

全く女官だと思って油断してしまったわ!!
しかも陛下付きの女官で急用だっていうから着いて来たのに、
まさかこんなことになるなんて思いも寄らないわよ!!


そう・・・それが、ほんの四半刻前の話。
で、その後私は何をしていたのか???
それは落ちた衝撃で頭を打って、先ずは意識が無かったみたい。
程なくして気がついてからは、取り敢えず此処を脱出しようと自分なりに試みていた。
よじ登ろうと兎に角必死に。
でも水汲みに使っていただけあってかなり高さがあり、
途中までは根性で上がってみるが頂上までは到達せず、ずり落ちてしまうのだ。
其れをもう何回繰り返したのだろう??・・・_思い出すだけでも、恐らく10数回は繰り返したと思う。


「はぁ~~~これは、自力でっていうのはムリっぽいわね。
ここで大人しく、浩大辺りが探して見つけてくれるのを待つしかないわね」

夕鈴はさすがに持てる体力の限界を感じ、壁に凭れてそのまま座りこんだ。

しかし、昼餉の後で良かったわ。
お腹がすくと人間ロクな考えにならないもの。
それにしても、ここで夜明かしは勘弁だわ。
まだ夜は冷えるし・・・・。

そんな事をつらつらと考えながら、夕鈴は上を見上げてみる。
そこにあったのは、まぁるく形どられた青く澄んだ空。
井戸の形が丸いのだから、今はそれしか見えない。
流れ行く雲は真っ白く、まるで青い画布に彩られた綿菓子のようだ。

「キレイな空~~~~。
こんな風に空を眺めることなんて中々ないことだから、堪能しなくっちゃね」

どこまでいっても、どんな事があっても前向きな・・・・前向きすぎる夕鈴は呑気に空を見上げていた。


****


そして、その頃。
既に、王宮の黎翔の元には夕鈴がいなくなった事が知らされていた。

「ごめん!!へーか。お妃ちゃんがいなくなった!!」
「如何言うことだ!!」
「それが俺にも分からないんだ・・・・・どうも、ここに来る途中に急にいなくなったらしい。
今、侍女たちが血眼で捜してる」

「・・・・お前は何してた!!」

低い声が弾丸の様に飛んでくる。
それを浩大は予想していたが、実際に黎翔の怒りを含んだ物言いは結構くるものがあった。

予想していたとはいえ、キツイ・・・・な。

「オレは、その・・・鼠がウロチョロ徘徊していたのに気がついて、
それを追っ払っていたんだよ・・・・魔の悪いことにさ!!」

珍しく浩大が歯切れが悪く、言いよどむ。
どうやら、夕鈴から離れた事を浩大としても後悔しているらしい。

「そうか・・・王宮からは出たって事はないんだな」
「それは絶対にない!!オレも確認済み。怪しい者や荷物が出たりはしてない」
「では、私も捜索に・・・」

「何処に行かれるって言うのです!?」

二人の会話に入り込む、よく通る第三者の声。
それは勿論李順であり、既に立ち上がろうとしている黎翔に『待った』を掛ける。

「陛下が捜索に出掛けると必要以上の騒ぎになり兼ねませんから、
まずは浩大達に任せるのが良いと考えますが」
「・・・・・・そうだな、李順が正しいのだろうな」
「陛下!!任せてよ。俺たちが絶対に無事に見つけ出すから」

黎翔は自分が我儘を言っていることは重々承知しており、
それを制止されたことはごく当たり前なことだと自覚していた。
だからそれ以上は、自分が行くとは主張せずに口を閉じた。
その様子を見た浩大は真剣な眼差しで黎翔に言い切ると、
窓枠に足を掛け勢いよく蹴り上げてそのまま一陣の風の様に消えて行った。

残された黎翔は苛々感と平常心でいようとする理性とが胸中でせめぎ合い、
言い知れない気持ちを持て余していた。

「李順!!浩大達が成果を上げられなかったのなら、私自身が捜索に加わるのだからな、いいな!!」
「はい、理解しております。ただ、そうならないことを願ってますが」

短い会話がなされると、そのまま二人は押し黙ったまま卓上の書簡に向き合った。


「お妃ちゃん~~~何処に行ったんだよ!!
早く見つけ出さないとないとオレの首が胴から離れるのも、そう遠いことじゃないんだよ~~」

浩大は勿論優秀な隠密であった。
自他共に認める・・・・其れは誰もが疑いようもなかった。
でも、その優秀さを持ってしてでも、夕鈴の居場所を特定する事は叶わなかった。


だってそれは・・・・夕鈴が、もうこの王宮の何処にもいないのだから。
それは見つけようがないのである。




続。








2013.05.07 SNS初載
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このお話も大好きなの~^^
2へ行きまっす!!
こんばんは~コメント有り難うございました。
返信が遅くなって、ごめんなさい~~
そうよね、マァマもこのお話好きだったよね。
私も好きで・・・やっぱり引っ張り出してきました。(笑)
ごゆっくりどうぞ~~~
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瓔悠

Author:瓔悠

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