【傍迷惑な歓迎・15】 
2015年07月07日 (火) | 編集 |
【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り








どうしてこんな事になったのだろうか。

黎翔は不機嫌そうな表情のまま、考え込んでいた。
愛しの妃は、そっぽを向いて肩を震わせていた。

泣いているのだろうか。
声を掛けるべきなのだろうが、今は恐らく優しい言葉なんて出てこない。
そんなつもりは無いのに、また傷つけてしまうかもしれない。

そう思うと、黎翔は何も出来ずにただ口を閉ざしておくしかなかった。

「はぁ~~~~~」

深いため息までも出てきた。
こんな事になったのも、悠殿から贈られたあの衣装のせいだ。
大体、悠殿は何がしたいのか?
黄陵国に夕鈴を連れて来て欲しいと言ってきたのは悠殿だ。
『お礼がしたいから・・・・』と書状にしたためられていたから、仕方なく夕鈴を同行させた。
本当は夕鈴を何処へも出したくはない。
ましてや異国などには・・・・。
でも今回は、悠殿だったから許可もした。
それは一重に悠殿が夕鈴の兄だったから・・・・・・それだけだ。
もし、そうでなければ許可などしない!するわけがない!!

「夕鈴?」
「・・・・・・・」

意を決して声を掛けてみるが、やはりそっぽを向いたまま返事は無い。
こうなると、もうお手上げ状態で如何すればよいのか?黎翔には皆目見当もつかない。

それでも黎翔は解決策を見出そうと、腕を組んで考え込む。
そんな静まり返った部屋の入り口の扉を叩く音が響いた。

二人にとっての救世主と言うべき人物の登場だった。
救世主・・・・・それは、今回の交渉の調整役として同行した方淵と水月であった。
二人は酒宴に同行する人物の選定を黎翔から命じられており、その報告に来たのだった。

「誰だっっ!!」

黎翔の不機嫌極まりない声が外へと漏れる。
それを聞いた水月は、微妙にガタガタ震え始めている。
そして足が勝手に後ろに後ずさって行くのを方淵に腕をガッチリ捕まれ、
逃げようとする水月を寸でのところで留めていた。

「陛下、柳方淵と氾水月がまかり越しました。今宵の酒宴の出席者名簿をお持ちいたしましたが」
「そうか・・・入れ」
「御意!」

二人は黎翔の声に反応して、ゆっくりと部屋へと入っていく。
そこで部屋に流れる何とも言えない空気の違和感に、水月の敏感な感性が肌で感じ取っていた。
堅物な方淵は何も感じないらしく、淡々と報告を始める。

「人数は余り多くすると、酒宴内での交渉が進まないと考えまして最低限といたしました。
私、氾水月を始め・・・・・ざっと10人ほどに致しましたが、如何でございましょうか?」
「そうだな・・・・・それでよい」
「はっ!!」
「そして氾水月には、琵琶でも奏でさせようかと考えておりますが」
「えっ、方淵殿、それは聞いておりませんが・・・・・」
「ほう、水月が琵琶を奏でるのか。それは楽しみだな」
「・・・・・・・・御意」

水月は黎翔のキラリと光る双眸に恐れをなし、小さく返答をする。
その様子に隣では満足気な表情を浮かべる方淵がいた。

「時に陛下、恐れ多い事ではございますが、お妃様の同行は如何致しますでしょうか?」
「妃であるか?」
「はい」
「悠鐸陛下が是非にも我が妃に出席して欲しいと、わざわざ衣装まで贈ってくれているからな。
勿論同行させるつもりであるが・・・・」

そういう黎翔の言は至って平然と聞こえてくるが、その言葉尻には少し棘があるように水月には聞こえていた。
そして水月はこの部屋中を微かに纏う冷気みたいなものの原因を悟っていた。
更には打開させる策をも・・・・・。

「・・・・陛下、お妃様のご衣裳の件で少し申し上げたい議があります」

水月は黎翔に恐る恐る進言してみることとした。

「何だ、氾水月。申してみよ」
「はい・・・折角、悠鐸陛下からのお心遣いはやはりお受けになった方が良いのでしょうが、
お妃様は我が白陽国後宮の一輪の気高き華でございます故、
是非とも我が国の誇る煌びやかなご衣裳でお出ましして頂きたくも存じます。
そこで、お妃様には大層御身にご負担かもしれませんが、白陽国そして黄陵国両方のご衣裳を身に着けていただく事は出来ないでしょうか?」
「両方とは?」
「はい、さる国では・・・・婚儀の際に、何度も衣装を変えることがあるそうにございます。
ですので、お妃様にも最初にお出ましの際には、黄陵国のご衣裳を・・・そして少し後に、
我が白陽国のご衣裳に御召し替え願うのは如何でございましょうか?」
「ほう・・・・なるほどな。それは良い案であるな」
「では、お妃様は如何でしょうか?」

水月は奥に控えている夕鈴に、優しく微笑みかけて問う。
それに救われたという安堵の表情を浮かべた夕鈴は、コクリと頷いて見せた。

「陛下、お妃様も御承知くださいました。
では、そのように致したく・・・私は、同行の侍女たちに伝えて参ります」

水月は深々と拝礼をすると、そそくさと部屋から出て行った。
一重に、黎翔の表情を窺うのが怖かったからである。
自分の策で夕鈴は救えたが、実のところ黎翔が本心ではどの様に思っているのかが窺い知れなかったのである。
そして方淵も水月の後を追うように、キリッと拝礼して出て行ったのだった。

そしてまた二人きりになる部屋。
徐に黎翔は夕鈴に話し掛ける。
先程の様な怒気はもう無く、優しげな口調だった。

「夕鈴・・・・・ごめんね。大変かも知れないけど、二つの衣装を着てくれるかな?」
「・・・・・・・・はい」
「そして、さっきはごめんね。怖い思いをさせてしまって」
「いえ・・・・大丈夫です」

そう言うと、夕鈴は黎翔の瞳を見て微笑んでみせた。
これで、何とか二人の間に蟠ったものは無くなったのだった。



続。
関連記事
スポンサーサイト


コメント
この記事へのコメント
お久しぶりです
続きが読めて嬉しいです(#^.^#)
お元気でしょうか?
凄い雨が続いているようで、大変そうだなぁと遠い地からのほほんと思っております。
こちらは毎日殺人的な陽射しにさらされ焦げそうです(>_<)
再開嬉しいです(((o(*゚▽゚*)o)))
よくわからないですが、なんか、色々変化があって、寂しいな…なんて思ったりして。
ここがなくならなくて本当に良かった(o^^o)
続きもきになる連載がアレヤコレヤですし、のんびり待っているので、これからも楽しくよろしくお願いします!
2015/07/08(水) 09:45:56 | URL | まんまるこ #-[ 編集]
まんまるこ様
こんばんは~ コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!
は~~い、続きですっっ!!
気が付けば、前回UPから1か月近くが経っていて・・・自分でもビックリしました。
取り敢えず、今は少し前よりは元気です・・・・。
身体の方は随分と元気になりましたが、心の方は少し曇り模様です。
雨・・・・1週間の内半分は雨が降っているような感じです。
いつになったら梅雨が明けるのか???
ホントに太陽が待ち遠しいです。
有り難うございます
少し休ませていただきました・・・リアなどで色々ありまして。
でも一応落ち着きました・・・多分。
そうですね・・・まんまるこ様にお気持ち凄く分かります。
確かに最近少し寂しく思う事が多々ありますものね。
ブログしてても、う~~んと思う事もあります。
でも待ってて頂ける方がいれば頑張れます
ですから、またお越しくださいね。
連載モノが増えまくって・・・ホントに申し訳なく思います。
中々読みたいものが更新されないことも多々。
のんびりお待ち下さい。
そのまま完全放置にはしないつもりですからね~~
それでは、暖かいコメント有り難うございました。
今後ともお付き合いくださいましたら嬉しいです。
宜しくお願いいたします。
2015/07/08(水) 20:04:27 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する