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【華装会・5】
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臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   瓔悠。





華装会、開始時刻よりずいぶん前・・・・。

会場前には、一人の身なりの良い若い男性が佇んでいた。
そうこの方大貴族中の大貴族、柳家の二男方淵で本来ならこの様な会には縁遠い人である。
本人もそう思っているらしく、面持ちは――もちろん眉間に皺を寄せて不機嫌そうであった。

全く華装会など、不愉快極まりない!!
陛下からの直々の命でなければ、この様な所になんぞ来るものか。
官吏の中には、嬉々として参加している者もいるとは聞くが・・・・・こんな所に来る女にロクな奴はいないだろうに。

流石に誰かに聞かれるのはマズイ・・と、方淵は密かに心の中で毒づいていた。
そんなイライラした様子の方淵を木の陰から、そっと覗き見している若い男性がいた。
何が面白いのか・・・・・その男性は、ニヤリと笑っていた。

それはそう、この国の王であり、方淵をこんな場所に遣わせた張本人である。

黎翔は、自分の策でここに来らされている方淵には確かにホンの少しの罪悪感はあるものの、
これからの事を考えると期待感の方が大きく上回っていた。

方淵に調査させるということにしたのは、我ながら妙案だったな。
李順を騙す良い方便になったし・・・自分では行かないと宣言した上で、抜け出す素振りすらも見せなかったのだから。
流石の李順も気付かなかったらしく、執務室に大量の書簡を用意して缶詰状態にさせるなんて大技を使わなかったからな。
まぁ、今頃は気付いているだろうが・・・。
でもどうせ今日一日は、片付けておいた書簡の山の整理と采配で動けるはずはないから夕方までは大丈夫だな。
しかし徹夜で仕上げて抜け出してきたはいいが、余りにも時間が来るのが早すぎた。
このまま夕鈴の自宅に押し掛けてビックリさせようかな・・・でも会場内で偶然を装って逢う方が中々劇的かなぁ。

黎翔は自分の作戦を思い返してご満悦だった。
彼の立てた作戦は見事なまでに功を奏し、此処にいられるのだから・・・・。

開会時間まではまだまだ時間もある。
黎翔は暇を持て余し、これから始まるであろう楽しい時間に思いを馳せていた。


********


さて華装会の会場となっているのは、国直轄庭園・・・つまりは黎翔の持ちモノである。
しかし広く一般に開放されている緑いっぱいの植物庭園となっており、色々な種類の植物が植えらていた。
キチンと整備もされており、季節折々の花々が訪れる人々を魅了する。
此処は民の憩いの場となっており、暑い時期などには川遊びをする子ども達の歓声が響き渡り、
いつも散歩する人が絶えない賑やかな庭園である。
その庭園内には休憩の為の長椅子などが所々に配置され、ゆっくりと散策出来るようにもなっていた。
そんな庭園であるから参加人数の多い華装会にも度々利用され、此処から数多く成婚夫婦が生まれたのである。

今回は如何なる結果を生み出すのか?
主催者は始まる前から、心躍っていた。
この華装会の主催は、結婚式業者を始め・・・・・新しき夫婦の為の生活一式に必要な業者で成り立っていた。
自分たちの商売の為に、毎回熱が入った会となっていた。
実際、この華装会で知り合った男女が年間で何十組も成婚夫婦へとなっており、
主催する業者の懐を潤わせているのは間違い無かった。

さて、その庭園正面入り口に受付所が設けられていて、
まず参加者はそこで簡単な釣書・・・身上書を記入させられる。
姓名・住まい所・勤め所などを1枚の用紙に書いて提出するのである。
そして係が写しを取って受付を済ませるとその釣書が参加の証明となり、
それを持たされて初めて会場内に入れるのである。

朝早くから口実の為の命令でこの会場の前に佇んでいた方淵はというと、
何事にも遅れたりすることを嫌う性質上やはり此処にも一番乗りだった。
そんな方淵を何も知らない係の目から見れば、今年こそは!!と意気込んでいる青年に見えたようだった。
本人には勿論そんなつもりは毛頭なかったのだが・・・。

「はい、此方に記入をお願いします」

係から手渡された用紙をみて、方淵の眉間の皺はいつもよりも深くなった。

なんなのだ、この釣書なるものは・・・こんなものが書けるものか!
住まいや勤めを書いてしまえば、極秘調査にならないではないかっっ。

真剣に悩んでいる方淵の傍で、外套を深く被った青年が独り言の様に呟く。

「こんなのは適当に書いておいて、お目当ての女性にだけホントのことを教えてやればいいよね。
それが作戦ってものだし~」

独り言にしては・・・方淵にもちゃんと聞こえていた。
その青年は全く我関せずとちょっと離れた卓の隅でサラサラと筆を動かして、
書き終わったのかさっさと受付所に持って行ってしまった。

色々考えた挙句に方淵は、その青年の言う通り全くデタラメではないが脚色をして記入をした。
・・・・・汀 方月と。

全く、方淵は頭が固いよね・・・あんなの適当に書いておけばいいものを。
まぁ、ああいうお堅いヤツだから、安心して使えるんだけどね。

受付所で順番を待っている黎翔は、少し離れた所で頭を抱えつつ書いている方淵を遠巻きに見ていた。
そして此処で方淵とかち合うのは自分の計画に厄介だと、釣書と仮面を手にするとさっさと会場内に消えて行った。
黎翔が立ち去って少しして方淵も受付を済ませ、その場所で仮面をしっかり付けて会場内に踏み込んだ。



続。
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