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【華装会・4】
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臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   瓔悠。







朝も早く、李順は黎翔の自室へと足早に向かっていた。
大体ただの側近であるはずの李順が王の自室に行くなんてことまでしないといけない事には、彼なりの理由があった。
それはもちろん黎翔を逃がさない為である。
昨日は、グチグチいうこともなく大人しく政務をこなしていた。
すでに帰省した夕鈴殿は居ないというのに・・・・。
今にしてみれば、いつもの『夕鈴がいないとやる気なんて起きない~』の言すら無かった。
それが妙に気に掛かり、早朝の訪問と相成ったのである。

黎翔の自室へと向かう途中で李順は一人の官吏とすれ違い、すれ違いざまに一礼をされた。
いつもなら『今日は日曜日だというのに朝早くから頑張っているのですね』などと気安く声を掛けたりするのだが、急いでいたので会釈のみで李順は先を急いだ。
李順が気が付くことは無かったが、その礼を取っている官吏は俯いたままニヤリと意地の悪い笑みを口元に浮かべていた。

バンッと音を立てて、王の自室のドアを勢いよく開け放つ。
まずは入る前に一礼して、声を掛けてみた

「陛下っっ、おはようございます!!もう、起きていらっしゃいますか?」

かなり大きな声を出したが、返事はない。

嫌な予感しかしなかったが、まずは中に入って見る。
しかし、やはりそこは最早もぬけの殻であり。
『やられた~~~』と急ぎ足で部屋を出て黎翔を探すことにするが、そこでふと足が止まる。
そして先程出会った官吏の事を思い出していた。

もしや、あれが陛下だったりして。
でもそれは大いにあり得る話で・・・・・それにしてもわざわざ変装までして抜け出し、夕鈴殿のところに行ったというのでしょうか。
たかがバイト妃のために、何をしているのやら・・・全く。

李順は真剣に頭を抱えていた。
どうせまた帰りは夕方でしょうね・・・と思いつつトボトボ執務室へと入って行く。
皮肉な事に、机の上にはきちんと判を押された書簡の山が整然と並べられていた。

一応、政務だけはこなして行かれたということですか。
そこまで何が気に掛かるんでしょうか、あんな小娘に。
まぁ倹約家で綺麗好きで美徳は沢山あると思いますが、
がさつで落ち着きがないことは欠点であり、妃としてはあるまじきだと思いますがね・・・・。

はぁーーーと眉間に皺が寄る李順であった。




********


同じ頃、下町の夕鈴宅では早起きの夕鈴が(とはいっても殆ど眠れなかったのだが)朝ご飯の支度をしていた。
昨夜ついに帰ってこなかった父の分まで・・・。

青慎を起こし、朝ご飯を二人でゆっくりと食べる。
これは王宮に上がる前なら当たり前の風景だったのだが、今は懐かしく感じる。

食後の片付けまで終り、自室でお出掛け用の服に着替え一応髪も結い上げてみる。
鏡に映る自分は、大した美人でもなくタダの下町娘。

李順さんはバレないようにしてくださいと言っていたけど、誰がこの国の王である狼陛下の唯一の妃だと思うのかしらね・・・。

夕鈴は鏡中の自分を見詰めつつ、フフッと自嘲気味な笑みを浮かべる。
しかし、ふと以前に黎翔に言われたことを思い出し、ボフッと音が鳴った様に頬が桃色に染まる。
それは・・・・・
『――君は己を卑下してはいけない。
いついかなる場所にあり、どんな姿格好をしていようと君はかわいい私の妃だ』
その言葉を。

でもあれは演技なんだから・・・・・と高鳴る鼓動を抑えようと、必至に自分へ言い聞かせていた。

「ねえさ~~~ん、明玉さんが来てるよ」

青慎が部屋の外から声を掛けてくる。
深呼吸を2、3回ほどしてから部屋を後にして居間に行くと、明玉がいた。
その手には小箱と大きな袋を持っている。
そして夕鈴を見つけると駆け寄ってきて夕鈴の顔をまじまじと見て一言、言い放った。

「夕鈴・・・・・・いくら気が乗らないからって、それはいくらなんでもだわ。
しているかしていないか判らない様な薄化粧で!!!やっぱり私がきて正解だったわね」

明玉は慣れているのか、夕鈴を鏡の前に座らせ手早く化粧を施していく。
段々妖艶な大人の女へと変化していく自分に戸惑いながら、夕鈴は為す術も無く鏡の前でほんのり朱色に頬を染めながら見ているだけだった。
夕鈴を華麗に変身させた明玉は、腕を組んでウーンと唸りながら夕鈴の服を確認する。

「悪くは無いんだけど・・・・・地味なのよね。
で、私が親友の為に服を持参したのであります!!夕鈴、着てみてよ。」

明玉を見ると、ニヤニヤしていて凄く楽しんでいるようだった。

ここで辞退なんかすると後で厄介なことになる・・・・・。
そう思った夕鈴は、仕方なく明玉の言う通りにする事にした。
しかし持ってきている服は派手な物が多く、何故か妃を連想してしまい着るのに抵抗があった。
でも明玉の好意を無駄にする訳にはいかず、その中でも一番地味な服を選ぶ。

「それか~~~一番地味だけど、まぁいいんじゃない?
もっと派手な服もあるんだから、いつもとは違って冒険してもいいと思うけどね。
まぁ、仕方ないか・・・・夕鈴だしね」

一人で納得する明玉に半ば呆れていたが、折角自分の為に考えてくれているのだしと直ぐさま着替え、
それに合わせて用意してくれていた耳飾りや首飾りを素早く付けてみる。
すべて終わると、夕鈴はその場で一回りして明玉の合格を待った。

「バッチリじゃないの!!こうして見ると夕鈴、アンタ中々の美人なのね・・・」

明玉は腕を組んだまま満足げに首を縦に振って、自分の成果を納得していた。
準備もすっかり整った夕鈴は、部屋の真ん中に置いてある卓に明玉と顔を突き合わせて座っていた。
明玉はツトツトと話し出す。

「夕鈴、いい?まず男が寄ってきても、直ぐに色良い返事をしちゃダメ!少し焦らして相手を良く見るの。
まずは容姿・身のこなし・・・別っているとは思うけど、焦らした事に腹を立てて態度に出すのは最もダメな男ね。
次に一つだけ質問するの。う~~ん、そうね・・・・例えば『あなたは何処に連れて行ってくれますか?』とでもいいわ!
その回答で、経済・判断力なんかが分かるから。次に・・・・・・・・・」
「まだあるの?」

夕鈴は明玉先生から華装会における男性の見極めや扱いについてのご指南を受けていた。
流石に去年の華装会での武勇伝を持っているだけに、先生のご指南は確かに的を得ていた。
・・・・・が、しかし全くその気の無い夕鈴には、使えそうな技は無かった。

「じゃあ、夕鈴いってらっしゃいっっ!!!!
男どもを悩殺してくるのよ!!健闘を祈るわっっ」
「悩殺って・・・・・・・・」

一通りを伝授し満足した明玉は、夕鈴の背中をバシンと叩きながら片眼を瞑りニッコリと笑った。
その激励に感謝しつつも・・・私、ホントに興味無いから健闘と言われてもなぁ~~~と本音もチラホラ見え隠れさせながら、曖昧に微笑んで夕鈴は実家を後にした。




続。
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No title
久しぶりです!
夕方になると体調が悪くなってるこの頃でして・・・。
体の中なんですけどね・・暑いからかな・・
そうそう!陛下,官吏に変装してたんですよね!
思い出しましたー^^
懐かしい文面にニヤニヤです。
ママ様
おはようございます~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!
・・・・・・やっぱり。
体調が悪いんじゃないかな・・と思ってました。
まだジメジメした天候だし、蒸し暑くて身体が参るよね。
兎に角、休める時にはゆっくりとね。
だって、夏休みに逢えるの・・結構楽しみにしてるんだから。
また日程なんかは連絡するからね~~
懐かしかった??
それは良かったっっ!!
マァマの大好きなお話だもんね~~
陛下は官吏の姿で抜け出したんだよね。
でもその後、会場に入るのに何処で着替えたんだろ???
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