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【華装会・1】
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臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   瓔悠。










ゆっくりめの昼食後、黎翔は優秀な側近からお茶の時間を捥ぎ取って、
愛しい妃の元へと意気揚々と廊下を歩いていた。
そこに回廊外の芝生の上に座り、談笑する官吏の声が聞こえてくる。
どうやら昼休憩を外でしているらしい。

「今年の華装会に、やっと出席してよいと父上からお許しが出たんだよ」
「ほぉー、君はやっとなのかい?自分は去年から出席しているけど、イマイチだったよ。
今年こそは・・・と思っているがね」
「自分は、必ず成功させるよ」

カソウカイ?それは仮装する人々の集まりなのか?と黎翔は首を捻る・・・。
そんな会が催されているなどと聞いた事がない。
まぁ自分には関係が無いのだろうと、夕鈴のいる後宮へと足を早めた。

「夕鈴、午後のひとときを共に・・・と思い参ったが、如何していた?」
「はい、陛下。本日は侍女さんたちと針仕事を致しておりました」
「そうであったのか。政務室にも参らぬから具合でも悪いのかと心配をしたが、大事なさそうだな」
「ええ、大丈夫ですわ・・・ご心配戴き嬉しゅうございます」

夕鈴を見ると、恥ずかしさを必死に隠して黎翔の話に合わせてくれている。
それと言うのも・・・黎翔は抵抗できない夕鈴に話し掛けながら腰に手を回して、
しっかり自分の方に引き寄せ、抱きしめようとしているからである。

夕鈴、かなり頑張ってくれているようだけど、
ここら辺が止め時なんだろうな・・・。

黎翔はニヤリと笑みを浮かべつつ、夕鈴の様子を観察する。
もうすでに夕鈴の可愛い円らな瞳は少し潤んでいて、その涙目で『早く侍女さんをさげて下さい』と訴えている。
もう妃演技は限界寸前のようである。

こんな可愛い夕鈴を見ていたら、僕も我慢出来無くなって本当に抱きしめてしまいそうだし・・・。
僕は無言でスーと片手を挙げ、侍女を下げた。

「もうっっ!陛下!!!甘い演技は程々で!って、いつも言ってますよね」
「えっ?そんなに甘くは無かったと思うけどなぁ~」

返事をしながら黎翔は長椅子へ、そして夕鈴はお茶の用意のため少し離れた卓へと向かう。
夕鈴は手早くお茶を入れると黎翔へ茶杯を手渡し、ゆっくりと黎翔の隣へと腰掛けた。

黎翔は手渡された茶杯をすぐに傾け、乾いた喉を潤す為一気に飲み干した。
お茶の味は少し苦味はあるもののスッキリとしていて、飲み切った後は口の中に爽快感が広がる。

「陛下、もう一杯お入れ致しましょうか?」
「ありがとう、でももういいよ。それより李順からコレを預かったんで、夕鈴に渡しに来たんだよ」

服の袷の中から、一通の封書を取り出して夕鈴に手渡す。
実は李順が渡しに行く所を阻止した上で、昼休憩を無理やり捥ぎ取ってここに来たのだ。
差出人の名を見た途端に、夕鈴は満面笑顔になる。

「ありがとうございます!青慎からの手紙・・・久しぶりなので嬉しいです。
あの子元気にしているかしら・・・。

夕鈴は待ちきれないと、封を直ぐにビリビリ破って中身を取り出す。
開いて見た内容は。

『姉さん、元気にしていますか?僕は元気に学問所に通っています。
近々実力考査もあるので、毎日勉学に勤しんでいます・・・・』

こんな書き出しから始まり、家の事、学門所での事、後どうでもいい几鍔のことまで丁寧に書かれてある。
それはいつもの青慎が書いて寄こす近況報告で、夕鈴は嬉々として読んでいた。
ところが次第に読み進めて行くと、今回の手紙はそれだけでなく加えて書いてある事が・・・。
段々難しい顔つきになってくる夕鈴を、横から黎翔が心配顔で覗きこんで問うてみる。

「夕鈴、どうかしたの?何か悪い知らせでも?」

しかし夕鈴は熱心に読んでいるせいか、黎翔の言葉も耳には届いてないらしく・・・。
読み終えるとふぅーーと長い溜息をついて考え込み、次第に夕鈴は困り顔になっていた。

横から見ていると百面相の様にくるくると変わる表情が可愛らしいが、
何が書いてあって夕鈴を困り顔にさせているのかが、すごく気に掛かる。

黎翔は黙ったままではいられず、もう一度聞いてみる。

「夕鈴、どうしたの?」

すると夕鈴は瞬時に我に返って真顔になり、恥ずかしげに顔を赤らめる。
隣には黎翔がいたことを忘れていて、あまりにも真剣になっていたことに・・・・。

「いえ、また父が余計な事をしてくれて・・・どうも華装会に出席しないといけないみたいなんです。
李順さんになんて言って帰省させて頂こうかしら」

夕鈴はブツブツ独り言のように呟く。
黎翔はさっきの官吏達の話を思い出し、夕鈴に聞いてみることにした。

「夕鈴、華装会って何?」
「華装会ですか・・・うーんなんて言っていいのやら。
えーとですね、早く言えば集団お見合いですね」
「ふう~んお見合いかぁ~って、あのお見合い?!
どうして、夕鈴がそんなものに出席しないといけないんだっっ。君は私の唯一の妃ではないか」
「えーなんで、ここで狼陛下になるんですか?私以外誰も居ませんよ」

急に狼の雰囲気を纏い、自分に詰め寄る黎翔を夕鈴はすかさず抑制する。

「あっ、ごめんね。ちょっと驚いたものだから・・・でもなんで夕鈴がそんなものに出ないといけないの?」
「それがですね・・・・・まだ嫁にも行ってない上に王宮務めをしているのを心配して、
酒屋のご夫婦が酒代のツケの帳消しを盾に、どうも父に私の参加を迫ったみたいです。
流石に酒代帳消しともなれば、父も二つ返事とはいかないまでも色良い返事をしてしまった様です」

夕鈴は、また溜息をつく。

「仕方ありませんが、李順さんに帰省のお願いをしてみます」
「それって、いつ開催されるの?」
「確かこの手紙には、来週の日曜日と記載されてますね」
「ふうん、日曜日ね」

黎翔が小さく独りごちたのは、夕鈴の耳には届かなかった様だ。

「じゃあ・・・封書も渡せたし、夕鈴のお茶も飲めたから政務室に戻る事にするね。
そろそろ戻らないと、流石に李順が鬼瓦の形相で僕を探しに来そうだから」
「そうですね・・・では、頑張って下さいね。
後ほど李順さんにも帰省のお願いをしに行かないといけませんから、執務室へお伺いします」

黎翔が部屋を後にしたのを確認して、また夕鈴は封書を読み返していた。
やっぱり難しい表情をしながら。





続。
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No title
やった!
華装会がきた!これも楽しみにしてたんで、嬉しいです♪
今の陛下がのこ内容のお手紙を実家から受け取ったら・・・握りつぶすかな(笑)
それとも、実家に挨拶に行く後押しになるかな?
私には思い出のお話ばかり^^
続き、待ってます!!
No title
ありがとうございます。
おねだりしましたが、他にもこのお話を待っていた方がたくさんいらっしゃるのですね。
本誌が両想いでがんがん盛り上がって、ついに本物夫婦になったので、
演技夫婦時代が逆に新鮮な気がします。
続きを楽しみにしています。
ママ様
おはようございます~ コメント有り難うございます
UPしたよ~~~ご要望通り~~。
ホント、マァマはこのお話、大好きだもんねっっ!!
私も好きだけど、でもオフ本に纏めるまでもないなぁ~と思い、
こちらにUP。
移行するに伴い、読み返したけど・・・・まぁ、アラが一杯あって、もう恥ずかしいったらありゃしない。
結構書き直しましたよ・・・。
書き加えたりもしたしね~~
まぁ、こんな感じでUPしていくから、お楽しみに~~~
しかし、確かに今の陛下バージョンだとかなり話は変わるよね。
まずは夕鈴は華装会には出られない・・・だろう。うんうん!!!
それでは~~
ゆらら様
おはようございます~コメント有り難うございます
ゆらら様が仰られるより以前に、この話については要望があっていたんです。
じつは・・・・・・。
でも私のめんどくさがりが原因で、中々UPしてなかったんですよ。(笑)
ホントに、本誌のお蔭か?最近はホワホワ幸せなお話が多いですよね~
少し前は、切な系が流行ってましたけど・・・。
確かに、こういう完全臨時花嫁話は少なくなってますよね~
ゆらら様のお気に召していただけて良かったです。
続きはあまりお待たせせずにUp出来ると思います。
宜しくお願いいたします。
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瓔悠

Author:瓔悠

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