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臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   瓔悠。










寝台の上に置いてあった薄い夏用の膝掛けを持ち上げると、身体に巻いてもう一度姿見で見る。
肩から膝まできちんと隠されており、これで帳の外で待つ狼対策もばっちり!と安心して帳を開けて寝室を後にした。

「わぁ~~」

黎翔は感嘆の声を挙げた後は、夕鈴の姿を上から下までジックリと見惚れていただけだった。
華奢な撫で肩から伸びる腕は白く透き通る滑らかな肌が続き、その腕でシッカリと頸紐が落ちないように抑えている。
そして桃色の水玉模様の水中着越しからでも解る柔らかそうな双丘。
太ももの真ん中程度まで桃色の水中着の襞が被い、その下から覗くのは白くすらっとした両の足。
恥ずかしさを強調するようにホンノリと薔薇色に染まった艶やかな肌。
文句のつけようのない完璧な肢体で黎翔を虜にしてしまいそうである。

「あの・・・余り見ないでください」

瞳を潤ませ、紅を差してなくても薄桃色に染まった唇から紡がれる懇願の言葉は、
どうしようもなく黎翔の庇護欲と独占欲を駆り立てる。
夕鈴は恥ずかしがりながらも頸紐が解かれている事が気に掛かるようで、
胸の上ではだけない様に抑えている手を離す事が出来ない。

「僕が頸紐を結んであげるから、こっちに来て後ろを向いて」

ニッコリとご機嫌に笑うと、手招きをして夕鈴を誘う。

どうやら、逃げる事は最早出来そうにないわ。
ここは大人しく陛下の申し出を受けた方が得策・・・・・なのよね、きっと。

「では、お願い致します」

頭を下げた後、黎翔にゆっくりと近づき結び易い様にそのまま目の前に立った。
黎翔は待ってましたとばかりに両肩に乗っている頸紐を素早く持つと、
薄茶の柔らかい髪の毛をそっと左右の肩に分ける。
そこには日焼けしていない真っ白な項が露わになり、夕鈴の髪から花の様な芳しい香りがふんわりと立ち昇る。
黎翔はその芳香にクラリと眩暈を覚えながらも、真白の項には極力当たらないように気を付けて頸紐を即座に結び、両肩に分けた髪を元に戻した。
纏めていない柔らかそうな薄茶の髪は窓からの風でサラサラと揺れ、
真後ろで見ている黎翔は思わず触ってみたくなり無意識に自身の掌で優しく撫でていた。
夕鈴は、黎翔の無意識行動に身動き一つ出来ずに、文字通り『銅像』化していた。

もう頸紐は結んで下さった様だから、振り返ってお礼を言ってもいいのかしら?
このままだといつまで経っても小川には行けそうもないし。
行けないとなると、この衣裳はまだ脱ぐ事は出来ないと言う事で・・・。

「陛下、有難うございましたっっ。無事に頸紐も結べた様ですので、当初の目的の水遊びに参りましょう」

夕鈴は振り返りニコッと眩しい太陽の様な明るい微笑みを見せ、
黎翔の腕を引っ張って戸口に向かおうとした。

「夕鈴・・・そのままだと、回廊で他の者に逢った場合がマズイから」
「あっ、そうですねっ!侍女さん達が見たらビックリしてしまいますね。
では先程の膝掛けを巻いて行きましょう。」   
「いや、侍女達でなくて」
「えっ、他に誰かいましたか?」
「もういいよ・・・・・・・」

夕鈴の鈍感さには全く呆れるよ・・・全く。
何故夕鈴と同性である侍女に対して警戒する必要があるんだ。
僕以外の男性に対してだと如何して気が付かないんだ!

しかし男性に免疫のない夕鈴に、自分が注目の的になりうると気が付いて欲しいと言う方が酷である。
意識の距離は、夕鈴と黎翔とではかなりかけ離れているのだから。
気が付かないのなら教えるしかないのである。

「夕鈴・・・侍女ではなくて、回廊には官吏がたまに横切って庭園に方に抜けて行く者もいるのだから、
そんな所にこんな可愛い格好の寵妃が現れたら・・・どうなる?」
「そうでした・・・考えが足りずに申し訳ありません」
「ホントだよっっ、じゃあこれを纏って」

先程の膝掛けではなくそれよりは少し小さいが、
湯上りの際に使用する大判の手ぬぐいを夕鈴に手渡し身体に纏わせた。
これならば男性の好奇の視線もかわせ、水遊びをした後にも身体を拭けるので一石二鳥と言うものだ。
これで黎翔の心配事は無くなり、心置きなく出掛けられる事となった。

「では、夕鈴」

優しい眼差しで夕鈴を見ていた黎翔が、そっと手を差し伸べる。
でも当の夕鈴は、どうしてよいのか解らず戸惑ってしまい身体が固まってしまった。
けれどそんな夕鈴にはお構いなしに、黎翔は強引に夕鈴の手を握り締めた。

「行こうか、我が妃よ」
「・・・・・はい、陛下」

回廊に出るということで、黎翔が纏う雰囲気が狼のものに変わる。
それを感じた夕鈴も寵妃の受け答えをしたのだった。


***********




回廊を横切り飛び石の続く先には目指す庭園が有り、
その奥に入ると草が生い茂った先に清水の湧き出た小川があった。

「わぁ~~綺麗ですね」

日差しで水面はキラキラ宝石箱を引っ繰り返したかの様に色とりどりの光りが反射して、瞳に飛び込んでくる。
庭師によってキチンと整備された小川のようで、川岸は置き石で囲まれており周りには季節によって咲き変わる花々が植えられていた。
夏の盛りの今は薄桃色の夏水仙、赤色の姫檜扇水仙が所々で咲き誇っている。

夕鈴は川岸に座り込み、キラキラ光る水面の上澄みを両の手で掬ってみた。

「冷たくて、気持ちいい~水も透き通っていますよ~」

子供の様にはしゃぐ夕鈴を見詰めながら黎翔の表情は破顔していた。
夕鈴と水遊びに興じる事が出来る喜びを感じていたのだ。

「夕鈴、そんなに覗きこんでいると落ちてしまうよ」
「陛下、大丈夫ですって!!それよりも水が冷たくて気持ちいいですよ。
陛下も手を浸してみて下さいよ。涼が取れますよ」

振り向いて無邪気にニコッと微笑む寵妃は、否応が無く黎翔の胸を高鳴らせる。
直ぐにでも纏っている手ぬぐいを外して、夕鈴の肢体を僕だけのモノにしたくなる。
そんな独占欲が首をもたげてきて抑えきれなくなり、気が付けば黎翔は夕鈴を後ろから抱き締めてしまっていた。
髪からは陽光の匂いが立ちこめ、黎翔の頭の芯をクラクラさせる。
その香りに包まれ、黎翔は抱きしめた手を更に強め、夕鈴の身体をグイッと自身の逞しい胸に引き寄せた。
そして抱き締めたはずみで夕鈴の身体を覆っていた大判の手ぬぐいがハラリと肌蹴て、
微かに震える細い肩や薄桃色に染まったスラッと伸びた足が露わになる。
 
「へいか・・・・あの・・・どうなさったん・・・ですか?」

突然の黎翔の行動に慌てふためき、夕鈴は言葉が詰まり出なくなった。

バイト妃だからこんな事を喜んではイケナイのよ。
だけど本当は嬉しい・・・けど。

そんな相反する感情に夕鈴は戸惑っていた。
そして自分自身を如何していいのか解らず、身体をピクリとも動かせなくなっていた。
気が付けば、黎翔にされるがままで固まってしまっていた。


どれほど刻が経ったのか?
どれとも刹那だったのか?

・・・・・蝉の大音量の鳴き声が耳を劈き、二人は我に返った。

黎翔は後ろ髪を引かれつつ抱きしめた手を離し、夕鈴は居ずまいを正すと何事もなったかのように肌蹴た手ぬぐいを傍の置き石に掛けた。
そして小川の真ん中くらいまで入って行き両手で水を掬い振り返ると、
ニコリと口角を上げ微笑みそのまま『それっ』と黎翔に向かって浴びせた。

「冷たいよ~~~夕鈴」
「冷たいでしょう!!でも気持ちいいと思いますが、どうですか??」
「そうだね・・・結構気持ちいいね」

夕鈴は気恥しさを隠すために、敢えて楽しい雰囲気を出して先程の事は忘れてしまおうとしたのだった。

「陛下も入って下さいよ~~~水嵩はそんなにないですから、水中着が無くても大丈夫ですよ」

夕鈴は嬉しそうに足先で水を蹴って雫を遠くに飛ばしていた。
そのパシャパシャ音を立てて水面が揺れるさまは、二人の今の落ち着かない心情を物語っている様だった。

「じゃあ、僕も入るとしようかな・・・折角の夕鈴のお誘いだし」

片目を瞑りいたずらっぽく笑う黎翔に、やっと緊張が解け夕鈴は手招きして同じく笑ってみせた。
そうして黎翔は濡れる事も構わずズンズン入ってきたかと思うと水を掬って夕鈴に投げかけ、
あははと愉しげに声を上げて笑っていた。

「ほらっ、さっきのお返しだよ」

水嵩は膝よりも下ほどで夕鈴は生足で水の冷たさを感じていたが、
黎翔は衣裳が濡れ足に張り付いた衣裳越しに水の感触が伝わっていた。
衣裳がひんやりと肌に触れ、その冷たさにジリジリと肌に差す暑さはとうに何処かに行ってしまった様に感じて、この水遊びは正解だったと痛感した。

しばし童の様に水の掛け合いこをして笑い合っていた二人だが、
ふと空を見上げてみると遠くの空に出来上がった大きな入道雲が徐々に空の大半を占めてきていた。
更には微かに遠雷が耳の奥深くに届き、雨が近い事を教えていた。

通り雨がくる!!!

二人はそう確信して無言で水から上がると夕鈴は傍の置き石に置いてあった手ぬぐいを肩からふんわりと掛け、雫の付いた身体を拭いた。
ふと隣の黎翔を見ると、濡れた衣裳を絞りながら妖艶な瞳で夕鈴を見ている。
いや、盗み見をしていると言った方が正しいだろうか。

陛下が見ている・・・・私、何かヘンなの?

自分の姿を見回して、確認してみるも何処もヘンなところはなく首を傾げた。

『水も滴るイイ男』なんて言葉が有るけど、夕鈴の姿はさながら水の精霊とでもいったところだな。
やっぱり水中着を贈って正解だった。
こんな艶やかな夕鈴を見る事が出来たからね。

夕鈴は自分の姿が男性を誘う色香が備わっていることを全くと言っていいほど理解しておらず、
しきりにおかしいところがないか入念に調べていた。
そんな夕鈴が可愛くて、クックックッと声にならない笑いをコソコソとする黎翔だった。


「陛下、何かおかしい所でも?」
「いいや・・何もないよ。夕鈴、雨が落ちだす前に戻ろうか?」
「はい」

二人は連れ立って肩を並べて歩きだした。

「また、夏の間にもう一度二人で 楽しもうね」
「ええ・・・」

ハッキリと『はい』と言えないのは、もう水中着を着るのは恥ずかしくてコリゴリだと思ったからである。
しかしその後夏は駆け足で去って行き、水中着は箪笥の奥深くで静かな眠りに就いたままで取り出される事は無かったのであった。




終。
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コメ消えたわ~~泣。
可愛い二人に出会えて、すさんだ私の心も少しは純真な心を取り戻すことが出来たかな?←聞くな(笑)
陛下にしたら
「可愛い話なぞいらん。我慢の限界だ。瓔悠よ、早く例のスペースに話を持って行け。」
などと無理なことを言いそうですが(笑)
本誌早売りにて手に入れました。
今後に期待ですね!
またもしもししましょうね~。
こんばんは~ コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!
あらまぁ~~折角書いてくれたのに~~
でもまた書いてくれたんだね!ありがとっっ。
うふふ~
楽しかった??
荒んだ心が凪いできたぁ??
それならいいけどさぁ~~
いっちばん!その感想が嬉しいよぉ~
うふふ、あはは~~
あちらね・・・・(←遠い目)
一人の時間が取れないっっ!!
今日はバドの後、子どもが帰ってくるまで
お電話したり、お昼寝したり~と時間が取れなかったぁ~
でも明日は休みだから、書き上げるよ!!
うん、頑張るっっ!!!
もちっと待っててね~~
本誌買ったよ~~今日の夕方!!
さっき読んだけど、良かったぁ~~
もう素敵っっ!!!
ネタバレSS書きたくなるような内容だった~~
いいね~本誌。
早く来月号が読みたいっっ!!
あ~~~黒伯爵も買ったから、近くモシモシするね~~
萌えの丈を叫びたいから~~
それでは
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瓔悠

Author:瓔悠

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