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【桃色水面・1】
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臨時妃 ・ 原作寄り


【注意事項】

こちらの作品は、前ブログ『遥か悠遠の朱空へ』にて公開していた作品です。
今回こちらへ移行するに伴い少しだけ手直ししておりますが、
書いた当時の陛下と夕鈴の関係が浅いものでありましたので、
当時の雰囲気を残すべく糖度はあまりありません。
そのことを踏まえた上でお読みいただけます様、宜しくお願いいたします。   瓔悠。












今日も、外は茹だるような暑さ・・・ここ何日かはこんな日が続いている。
聞くところによれば、この暑さに体調を崩して休暇を願い出る官吏もいるらしい。
そしてこの後宮も例外無く、ジリジリとした暑さに覆われていた。

確かにうだるような暑さではあったが、侍女さんたち総動員で団扇で煽いで貰っている夕鈴はそこまでの暑さは感じてはいなかった。
普段ならば、そんな侍女さん達に煽いでもらうだなんて申し訳無い!と断固丁寧に辞退するのだが、
昼休憩でお茶を楽しみに来ている陛下がいるということで、仕方なく享受していたのだった。

「この頃は特に暑いですが、陛下は夏の避暑はどうされていますか?」
「避暑か・・・私は暑いからと言って休んでいられないから、
冷たい飲み物を飲んだり冷たい食事にしてもらうくらいしかできないな」
「そうなのですね・・・」

氷が入った冷たいお茶を飲み干して、黎翔は答える。
そして夕鈴は直ぐに、空になった杯に新しいお茶を入れ直す。

「では、後宮の小川などで水浴びはしないんですね・・・・それは勿体無いですね、あんなに冷たくて気持ち良いのに」
「うん?気持ち良いって・・・・夕鈴、もしかして・・・入ったのか?」

黎翔は、つい杯を持つ手に力が入る。
見詰めた先にいる夕鈴は、残念そうな表情を浮かべているだけで、
黎翔の視線なんて気にも留めてないらしい。

「はい、先日暑い日に足を浸けただけですけど入りましたよ。
ホントは足だけでなく、ちゃんと入りたかったんですけど・・・・。
えっ、何かいけない事でも?実はあの小川って入ってはいけない所だったのですか?」

夕鈴は慌てて杯のお茶を飲み干したため、コホッコホッと空咳が出てくる。

「夕鈴・・・・君は、以後小川での水浴びは禁止!!いいねっっ」

黎翔の深紅の瞳がジッと睨んでいるようで夕鈴は少し怖い気もしたが、
いきなり禁止を言い渡されるのには納得がいかず再度聞き返す。

「何でですか?」
「何ででも!!」

理由は告げずにただ『否』という黎翔にやっぱり納得はいかないが、
狼の声音を出してくる黎翔に逆らうことなど出来る筈も無く、夕鈴は仕方なく了承だけしておいた。

「分かりました・・・・」

どうしてあそこまで頑なに止められるのかしら?
でもまぁ、陛下達が暑い中一生懸命お仕事されているのに私だけが楽しんだら申し訳ないわよね。
そうよ、バイト妃なのだから、陛下のお役に立てる事でも考えないといけないのよね。

冗談じゃないっっ。あの小川は官吏も通る回廊の近くじゃないか!!
夕鈴の可愛い脚を見せるなんて出来るか!!!

夕鈴は黎翔の想いになんか到底気がつかず、違う答えを導き出し一人ウンウンと頷いて仕方が無いと諦めたのだった。
そんな可愛らしい夕鈴の様子に黎翔は満足したのか、
杯の中のほろ苦い冷茶を最後の一滴まで丁寧に飲み干すと、
何かを思いついたように急いで部屋を後にした。

この後黎翔が夕方頃にふらりと王宮から居なくなり、
李順が血眼になって探していた事を後宮で過ごしていた夕鈴は知る由もなかった。
まして黎翔が王宮を抜け出した理由が夕鈴にあるなんて思いもよらない事であった。


*******

それから数日後。
暑い日に小川で水浴びしたのを咎められた夕鈴は、今日のこのムシムシとする暑さに身体が涼を求めて悲鳴を上げかけていた。

やっぱりこんな日は、水浴びをするには最高の日なんだけどなぁ~
どうして陛下はダメだっていうのかしら??
水中着で本格的に泳ぐ訳ではないのに。

「お妃様、陛下がお越しです」
「分かりました、お通しして下さい」

戸口まで黎翔を迎えるのに、夕鈴は長い裾を静々と音を立てず足で捌きながら歩いて行く
窓を開けきっているというのに、高温多湿な部屋では少し動いただけで背中に一筋の汗がツゥーと流れていく。
本当に今日は気持ちが悪いくらいジトジトして暑い。

「夕鈴、今日は暑いがどう過ごしているのか気になって・・・それとそなたの冷茶が飲みたくて此方に参ったが」

黎翔は手に包みを持って入ってくる。
夕鈴の髪がいつもと違いおくれ毛を残したまま高く結い上げられているのを見て、「ほぅ」と感嘆の声を上げた。
それと同時に、夕鈴の白い項に手を添えてきた。
夕鈴はその行為に驚いものの、『私はプロ妃!私はプロ妃』と繰り返し呪文のように唱えながら黎翔にされるがままになっていた。

「陛下、お逢いでき嬉しゅうございます」

夕鈴は淑やかに言いつつも、しかし手を添えられた項が熱を持ってその熱が全身を駆け回っている感覚に襲われていた。
頬も上気しているのも感じて、恥ずかしさのあまり両手で自分自身の顔を隠してしまった。
黎翔はそんな夕鈴の様子はお構いなしに、今度は指でおくれ毛を摘まんで弄ぶ。
我慢の限界近くに達した夕鈴の瞳は『やめて下さい』と訴えており、
更には全身から静かな怒りオーラが出ている。

お楽しみは此処までだな。

黎翔は夕鈴の項から手を離して、さっさと何も無かったようにドッカリと長椅子に深く腰かけた。
夕鈴も妖しい指からやっと解放され、安心してお茶の用意へと向かった。
項に残る暖かさと胸の高鳴る鼓動を抱えたままで・・・・。

そして黎翔から離れた卓で高鳴っている鼓動を何とか落ち着かせるようと、夕鈴は何度も何度も深呼吸を繰り返した
次第に落ち着いてくる鼓動に安堵して、今度はお茶を入れるのに集中することにした。

「あの・・・・こちらは冷茶です。今日は甘めの茶葉にしてみましたが、陛下のお口に合うとよいのですが」

零さないように黎翔に杯を手渡しながらも、黎翔が手にしている包みの中身が気に掛かりそちらをチラチラと見る。
何かしら、あれ・・・・結構大事そうに持っているけど、重要なものかしら??

夕鈴の視線に気が付いた黎翔は、ニヤリと口角を上げて微笑んでみる。
これが気に掛かっているみたいだな・・・と。
そして未だに怪訝そうな顔つきをしている夕鈴の様子に、黎翔は直ぐさま侍女たちを下げる。

「夕鈴、これが何か気になるんでしょ」
「はい、スミマセン・・・実は気になってしまって・・・それは何ですか?」
「夕鈴、顔に出過ぎているんだもん。僕、面白くって吹き出しそうになったよ」

そう言うと、黎翔はクスクスと思い出し笑いをする。
笑われた本人はと言うと、少し拗ねてそっぽを向いてしまった。

全く可愛いんだから・・・・ホントにこんなに可愛いから後宮に閉じ込めておきたくなるんだよね。
まぁ、そんな事なんて出来ない事は解りきっているんだけどね。

「夕鈴、これ僕からの贈り物だよ。ハイ、どうぞ」

黎翔は夕鈴に包みごと手渡す。
渡された包みを持つと夕鈴は深々と頭を下げ、お礼を言う。

「有難うございます。今ここで開けてもいいですか?」
「良いけど・・・・夕鈴に一つお願いがあるんだけど、聞いてくれる?」
「お願いですか?な、なんですか?」
「うん、まずは承諾してから開けて欲しいから・・・どう?聞いてくれる?」
「承諾ですか?気になりますからお願いごとを言って下さい」
「まずは夕鈴が『いいよ』って言ってくれないと」

二人の押し問答は続く_。
しかしこのままでは埒が明かないし、いつまでたってもこの包みの中身も分からない。
夕鈴は言い合いしていても仕方がないと思い始め、自分が折れることにした。

「分かりました!お願いですね、聞きますから」
「じゃあ、これを着る時は必ず僕の前だけにしてね。もう一度言うけど、僕だけだからね!」
「着るですか?中身が何なのか、よくわかりませんが陛下の前でだけですね・・・・そうします」

念押しする黎翔に返事をしつつ包みを開けると、中から出てきたのは・・・・・・・。
可愛い桃色の水中着。

夕鈴の顔は真っ赤を通り過ぎて、深紅に染まっていた。
恥ずかし過ぎて、頭から湯気がでて今にも沸騰しそうである。

「こ、これは・・・・何でしょうか?」
「え、見て解らない?水中着だよ!!今度水浴びするときは、これを着てしてね。
それとさっき約束したけど僕が見ている時に着てね~。いや~~今から楽しみだよ」
「楽しみって・・・」

夕鈴はガックリと肩を落とし、不謹慎だとは思ったものの水中着を凝視しつつ『はぁ~~』と深い溜息を吐く。
そんな夕鈴を見ながら、作戦成功と満足げにニヤリと意地悪く微笑む黎翔がいた。





続。
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(非公開コメント受付中)

No title
陛下の企みって・・・手が出せない分目の保養に徹する感じでしょうか(笑)
自分の後宮にいてどうにでも自由に出来る立場なのに、大事過ぎて手を出せない、逃げられること嫌われることに恐怖を覚えてる・・・。そんな国王って、いるんでしょうかね(笑)
そんなところも可愛い陛下なんですけどね←
イヤー懐かしい!!
詳細までは覚えてないからどこが変わったのかな~と思いながら読んだんだけど・・。
懐かしい文面に気をとられていてわからなかった・・ごめんね。
またジーーーーックリ読むね。穴があくほど見つめちゃおうかな←怖いわ(笑)
ママ様
こんばんは~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!
まぁ、昔の話をリメイクしたものにまでコメントくださるなんて~~
もう感謝感激ぃ~~
ホント、昔の陛下って結構ストイックな気がする~
それとも、自分の恋してる気持ちに気が付かない振りをしていたのかなぁ~~
またコミックスを始めから読みたくなっちゃった。
うふふ~~
どうぞ、最後までお付き合いくださいね~~
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瓔悠

Author:瓔悠

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