【三つの祈り・3】
2014年11月28日 (金) | 編集 |
【設定】

未来夫婦 ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り

【注意事項】
此方の作品、確かに夫婦設定ですが・・・・いつものテイストでは有りません。









「全く、あの男は何者ですの?お父様。」

王専用の自室に駆けこんだ怜亜は、目の前の安楽椅子に腰かけ寛ぐ父王に詰め寄ったのだった。
そして問いかけながらも先程の事を思い出し、苛々してくるのを感じていた。

「あの男とは??」
「確か緋色の官服を着てましたわ。年のころは私よりも少し年上で、背丈もそこそこ有りましたし、顔立ちも恐らくイイ部類に入りますわね・・・ただ精悍さや誠実さは何処かに置いて来た様な感じでしたが。それより何よりあの物云いが気に入らないのですわ!!」
「ほぉ~怜亜、その男が気に入ったのか?」
「はぁ??私の話を聞いてまして??何処を如何したら『気に入った』になるんですの???」
「それは上々だ。フムフム・・・・。」
「もういいです!!!お父様に尋ねた私が浅はかでした。では、失礼いたします。」

答えて欲しい事は全く返って来ないことに郷を煮やし、怜亜は早々に辞したのだった。

もう、如何なっているのよ!!!
はぁ~~苛々する!!こんな時はあそこに行くのが一番だわ!!

そのまま回廊から庭園にヒラリと降り立つと、足取りも軽やかに少し遠くに見える小高い丘を目指した。
空は高く、雲ひとつない。
風は暖かく、頬を掠めていく。

こんな日は、あの野生の花々が咲き乱れるあそこで寝転ぶのが一番。
それにあそこには・・・・・・・・。


「はぁ~~~~着いた!!ヤッパリ此処が一番寛げるわ。それに・・・・此処にはアレが有るのだものね。」

怜亜は、丘の頂上から少し降りた森に続く木々が立ちそびえる小道の脇にズンズン歩いていった。
そして脇に植えられた木の根元の虚に手を差し入れた。

「あったわ~~。」

虚から出てきたのは、掌に丁度納まる程度の桜色した筒状の書簡入れ。

土や埃を手で掃って筒を開けてみると、入っていたのは一通の書簡だった。
怜亜は丁寧に破かない様に筒から取りだし、広げてみてウットリと眺めていた。
其処に書かれていたのは。

(あっ、あれは・・・・・・・・・・まだ残っていたの???)

怜亜は自分の内から聞えてくる声に耳を傾けていたら、そのうちまだ昼間だというのに夕闇が迫りくる感覚に襲われた。
そして意識がふわりと個として浮かび上がり、そのまま意識の底とでもいうべき場所に滑り込んだのだった。
その代わりに怜亜の意識と入れ替わったのは、ユックリと怜亜の意識の奥で漂っていた夕鈴の意識である。

「あら??また、怜亜の意識と入れ代わってしまったのね・・・・・それにしても、ここは変わらないのね。」

眼前の風景に夕鈴は確かに覚えが有った。
つい先日も陛下と・・・・いや、今の時間から言えば昔と為るのだが、政務から逃げて来た陛下と花々を愛でた場所。

手に持った書簡を広げると、そこには陛下の力強い筆跡でしたためられた私に当てた言葉が書かれていた。

~~~『君だけを永遠に。』

陛下に逢いたい・・・・・ギュッと抱きしめて欲しい。
自分に課せられたことなど忘れさり、ただ逢いたさと愛しさで胸が一杯になった。
気がつくとその書簡を握り締め、茶色の瞳からコロコロと水晶の様なキレイな涙という滴が零れ落ちていた。


この身体は怜亜のモノだというのに・・・・今は夕鈴の想いの深さに、身体まで反応してしまっていた。


カサッ!!!

後ろで人の気配がして、急に身体が強張った。
そのまま振り返るべきかを思案していると、若い男性の声が覆いかぶさってきた。

「おい!!さっきは絶叫していたかと思えば、今度はしおらしく泣いているのか?まるで百面相のお面だな。」
「・・・・・どちら様で?」
「おや?今度は大声を出せないのか?さっきの威勢の良さは何処に行ったのやら。」

誰かと思えば、先程の見知らぬ官吏だった。
きっとこれが怜亜であれば、また言い合いになっていたのだろう。
でも今は夕鈴の意識が表面化しているので、落ち着いて対応していた。

「そうですわね・・・ところで貴方は誰ですの?」
「オレか?さっきも名乗った筈だが・・・光迅(こうじん)だ。」
「ええ、其れは解ります。ただ、どちらの方ですの?」
「あんた、ちゃんと普通の対応が出来るんじゃないか!!ただの我儘姫なのかと思ったけどよ!!」

ここで怜亜だったのなら『無礼者!!』となっているわね・・・夕鈴は、思わず苦笑いが出ていた。
しかし其れを相手には見せること無く、ニコヤカに微笑んで相手の受け答えを待っていた。

「オレは、黄稜国の高級官吏だよ。此処へは貿易の交渉の為に来ているんだ。まぁ、王がくる前の事前交渉ってやつさ!!」
「そうですか・・・・。」
「じゃあな~~って云いたいところだが、実は交渉もほぼ終って帰国まで日があって暇してんだ。だから付き合ってくれよ。」
「そうですか・・では庭園でもご案内いたしましょう。」

夕鈴は極上の笑顔を振りまくと、内側で眠っている怜亜に呼びかけた。

『怜亜!!!起きて!!!私は疲れたから其処へ戻りたいの。だから起きてちょうだい』
『夕鈴姉さま??』
『ええ、そうよ。じゃあ後は宜しくね』

云う事だけ言うとそのまま夕鈴は意識を怜亜の核の押し込め、代わりに怜亜の意識を追い出したのだった。


え~~~!!なんで此処に、さっきの失礼男がいるの???

怜亜はあり得ない現実に直面して、驚愕していた。

(怜亜!!頑張ってね~~~~)

夕鈴は怜亜の中で、応援者という傍観を決め込んでいた。





続。
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