【傍迷惑な歓迎・13】 
2015年05月29日 (金) | 編集 |
【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り






夕鈴さん、やっぱり可愛いなぁ。
流石に僕の妹だよね~

挨拶を終えた悠はご満悦だった。
遠くから見るよりも、やっぱり近くから見た方がいいよね!と思いつつ、
足取りは軽く・・・ともすれば宙に浮いているような感覚だった。

「さぁて、黎翔殿・・・・・勝負といきましょうか。どうでるのかな?・・・・楽しみだよね」
「勝負はいいですが、本来の目的をお忘れなくっっ」

何処からか声が聞えてきたことで、悠はハッと我に返る。
どうやらいつの間にか執務室前まで戻って来ていたらしい。
執務室を通り越して行きかねない主を止めるべく、執務室の中から側近である朔が声を掛けたのだった。
それすら気が付かないほど、悠にしては珍しくボンヤリと考え事をしていたようだ。

「へっ?朔、いたの?」
「へっ?じゃありませんよ。大体、私に宴の準備を押し付けておいて、悠は敵情視察ですか?
全く優雅なことで・・・・・」
「はいはい、朔は口うるさいんだから。大丈夫!もう準備は出来てるし」
「準備って、言っておきますが夕鈴姫の贈り物の事を言っていたりしませんよね」
「勿論!それだよ」
「はぁ~~今回は何のために珀国王をお招きしているのでしたっけ?
夕鈴姫は『ついで』だったでしょう。お忘れですか?」
「えっ?あっちの方が『ついで』だよ!夕鈴さんに来て貰う事が一番の目的だけど」
「はぁ?関税撤廃の方が『ついで』と言える悠が羨ましいですよ。
これでよく黄陵国が崩壊しないのか・・・・これは王国の七不思議の一つですね」
「いいよぉ~~だ!朔の嫌味なんて僕は堪えないんだからさっ。
それに、関税撤廃交渉の準備はとっくの昔に終わらせてるよぉ~~だ!」

悠は人差し指を目に当ててあっかべーを朔にしてみせる。
それを見て、朔は呆れ顔で対抗する。

「はいはい、それは優秀な王様なことで・・・・ところで、珀国王はいかがでしたか?」
「ああ、僕に対抗心メラメラって感じだったかな。もう宴が楽しみ・・・・」
「では、まずは宴で白陽国の出方を見定めさせていただき、関税撤廃及び貿易品目の増加の足がかりにしましょうか」
「そうだね、朔・・・・・その辺りは、任せたから」
「御意!!」

悠の表情がキリッと引き締まり、挑戦的なものに豹変する。
先程までの夕鈴にデレデレだったバカ兄っ振りは何処へやら、夕鈴と同じ薄茶の瞳には為政者としての光が宿り本来の王としての悠の顔が現れた。



その頃、ようやく本来の滞在部屋へと案内された夕鈴と黎翔は黄陵国女官らのもてなしを受けて人心地ついていた。
夕鈴は珍しいお茶の味を舌でゆっくりと味わい、女官のお茶の淹れ方を観察していた。
他国に行ったことのない夕鈴であったから白陽国とは違う雰囲気を存分に楽しんでおり、
始終ニコニコ笑顔で、その表情は好奇心いっぱいで生き生きとしたものだった。
それとは対照的なのは、言わずもがな黎翔であり・・・・先程の悠とのやり取りを思い出しただけで、
苦虫を噛み潰したような感覚に陥っていた。

そして黎翔は期を見定めた様に片手を上げて、黄陵国女官と白陽国から同行している侍女たちを一斉に下げた。
豪華な客室は、夕鈴と黎翔の二人きりとなり静寂に包まれた。
夕鈴はキョトンとして、黎翔を見詰める。

「陛下?どうかしたんですか?」
「・・・・・・・夕鈴」
「はい?」
「悠殿をどう思った?」
「悠様をですか?」
「うん、そう」
「久しぶりに逢いましたけど、お元気そうで良かったです」
「それだけ?」
「はい、それだけですけど・・・・・それが何か?」
「いや、いいんだ」
「へっ?」

夕鈴は黎翔の質問の意図が分からず、首を傾げる。

「陛下?どうかしたんですか?悠様が何か?」
「夕鈴・・・・・君は僕の妃だよね」
「ええ、一応そうですけど」
「だったら、今回は頑張ってね」
「何を頑張るんでしょう?」
「こういう事を」

そう言うと、黎翔の端正な顔が夕鈴の目の前に近づける。
いきなりの事に、夕鈴はビックリして目を見開いた。

「あのっ、その、陛下?」
「黙って」
「は、はいっっ」

黎翔は一言だけ言い放つと、桃色に染まった柔らかい夕鈴の頬に自分の両手を添えて、
桜桃のようなぷっくりとした唇にそっと口づけた。

「えっ?_」

夕鈴はいきなりの事で、目を白黒させるだけで身動き一つできなかった。

「ごめんね、夕鈴。でもさ、僕は負けないから」

黎翔の表情が真剣で、夕鈴は抗議すら出来なかった。
ただ身体中の体温が急上昇するのを甘受していた。

動けない。
黎翔から目が離せない。
嬉しいけれど、素直に喜んでいいものかすら分からない。

夕鈴は複雑な感情に支配されていた。
ただ一つ、頭の中にある強烈な思い。
それは、この滞在は無事に終わるのだろうか?という不安だけだった。



続。
関連記事
スポンサーサイト


コメント
この記事へのコメント
嬉しい!
きゃぁ~!朝から更新ありがとうございます!しかも、朔が出てきた(*^▽^*)何気にお気に入りの朔さんです(笑)。
陛下と悠のバトルがエスカレートする度、夕鈴の疲労度が増すんですね!!きっと(+。+)アチャー。
2015/05/29(金) 10:21:22 | URL | 行 #jxT87rSU[ 編集]
陛下ってば・・お兄さんだよ・・・。嫉妬し過ぎ。
超絶独占欲の塊陛下には耐えられないのかしら・・、たとえお兄さんでも。
さて、宴で何をしでかすつもりなのでしょうね。悠様は。
しかも案件がついでとか・・・(笑)
てことは陛下は・・夕鈴を呼び出すためのえさ←
悠様の脳内には夕鈴しかいないのね(笑)
続き楽しみにしてるね~♪
2015/05/29(金) 13:53:58 | URL | ママ #-[ 編集]
やっば!
悠様側は仕掛けがたんまり出てきそう(O_O)
黎翔陛下は夕鈴に惚けてるだけじゃないだろうけどさぁ、頑張らなきゃ〜☆
2015/05/29(金) 14:07:05 | URL | タイフーンです(*^_^*) #-[ 編集]
こんにちは
忙しい中、更新ありがとうございます。
臨戦態勢の男二人に挟まれて、
夕鈴がまた気苦労しそう・・・
王様たち、ほどほどにしといてね。
いや、最後は夕鈴に切れられて蒼ざめるがよい。
ふふふ・・
ご無理なさらないでくださいね。
体が一番大事。
2015/05/29(金) 18:39:27 | URL | ゆらら #PzYVIlwM[ 編集]
行様
お晩です~~コメント有り難うございます
返信が大変遅くなりまして、申し訳ありません!!!
うふふ~~現実逃避で更新しました!!!
朔さんお好きですか??私も大好きなんです。
陛下と李順さんとは少し違う悠様との関係が結構ハマってます。
まだ出てきますからね~~お楽しみにっっ!!
そしてバトルの行方はどうなるんでしょっっ?!
私にも分かりません。
でも一つ言えるのは・・・・・行様もお察しの通り、夕鈴の疲労度が半端ない事です(笑)
どうぞ続きをお楽しみに!!
応援有り難うございます~~~
2015/06/05(金) 02:39:45 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
ママ様
お晩です~コメント有り難うございます
返信お待たせしました!!
うふふ~
陛下にとってみれば、兄だろうと夕鈴を取っちゃう人は全て敵なんですよ、きっと多分。
『超絶独占欲の塊陛下』は凄く言い当ててる言葉だわぁ~~
もうマァマったら、素敵っっ!!!座布団10枚進呈致しますわ~
さぁ、悠様の次なる作戦は?どうなる?どうする???
楽しみだね~~マァマも私も。
そう、貿易の話は『ついで』なのよ、悠さまにとって。
そう言いきれる悠様って、すごいよね~~
私もビックリしたもん!!!
陛下すら、おびき寄せのエサだもん。
さぁ、続きをお楽しみに~~
早く書きたいよ~~~
2015/06/05(金) 02:59:55 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
タイフーン様
お晩です~コメント有り難うございます
返信が大変遅くなりまして、申し訳ありません!!!
悠様はホントに愉しんでおられるご様子。
まだまだ出てきますよ、隠し玉。
あれもこれもそれも・・・と言うように(笑)
さぁ、陛下は如何対抗するんでしょうね。
私も実のところ楽しみなんです。
どうぞお楽しみに~~
2015/06/05(金) 03:02:35 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
ゆらら様
お晩です~コメント有り難うございます
返信が遅くなりまして、申し訳ありません
いえ~現実逃避に更新しました!愉しんで頂けたようで良かったですっっ!!
全く男性二人は何をしてんだか・・・。
二人とも独占欲の塊なんですから。
夕鈴が苦労するのがありありと目に浮かんできます。
お気の毒に・・・・。
ホント、お二人とも!!!程々にしないと、夕鈴からヒドイしっぺ返しが来ますわよ~
ご心配、有り難うございます
ボチボチいきますので、宜しくお願いいたします
2015/06/05(金) 03:34:37 | URL | 瓔悠 #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する