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【設定】

未来夫婦 ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り

【注意事項】
此方の作品、確かに夫婦設定ですが・・・・いつものテイストでは有りません。







「怜亜、如何したのか?」
「いえ、お父さま何でもありませんわ。只、退屈なだけです。」
「退屈だとは、一体何を考えておるのだ!!今はそなたのムコ候補が揃っておるというのに。」

父の玉座の隣に立ち、目の前を直視した。
そこに居たのは、見目麗しく、皆そこそこ身分のある男性達。
私を想うと云うよりも、この白陽国皇女の夫という地位に群がっているだけ。

なんとまぁ、よくもこんなに集めたものだわ。
私にその気がないと言うのに・・・もう勝手にやってよ。

扇越しに嘆息を吐き、喜んでいる父王を後目に踵を返して、接見の間から出て行った。

「怜亜ーーーまだ、終ってはいないのだぞ。」

怒りに満ちた父の声を背中で聞きながら。

そんな怒り声もへっちゃらよ!!
まだ私はホントの恋もしていないのに、結婚なんて冗談じゃないっっ。

いささかお行儀悪く足音を立てて、回廊をそぞろ歩く。
回廊の壁には歴代の王と正妃の肖像画が並んで飾られている。
私は一番お気に入りの画の前で立ち止まると、ジッと眺めていた。

見上げた先には、私のおじい様とおばあ様・・・・・狼陛下と恐れられた珀 黎翔陛下と夕鈴妃の画が飾られている。
殊におばあ様である夕鈴妃には、謎が多く出自がハッキリとしていない・・・それを口さがない者どもは色々と云うが、私にとっては些末な事。

だっておばあ様とおじい様は、端から見てても本当に仲の良いご夫婦だったもの。
おばあ様はおじい様を敬愛し、またおじい様はおばあ様をとても慈しんでおられた。

そして私は知っている。
おじい様がおばあ様を切望して正妃になって戴いた事を・・・・正妃には立后出来ない身分であった事を。
だから二人はいつもお互いを思いやり、愛し合えたのだと思う。

私も決められた縁談で将来の相手を見つけるのは、まっぴら御免!!
夕鈴妃の孫として、困難でもいいから素敵な恋をしたいの・・・。


(そうね・・・怜亜もお年頃だものね。
私が陛下と出逢ったのも貴女と同じくらいだもの・・・・。)



「誰?」

後ろを振り返っても、周りを見回しても人っ子一人いない。
侍女も下げているから、傍には誰もいないはず。


(怜亜、貴女も自分だけの人を見つけなさい。)

また聞こえる・・・・・この声・・・・聞き覚えがある。
優しくて暖かくて・・・・おばあ様の声??
でもおばあ様は私が幼いころに亡くなられているし、声もお若い様な・・・・そして何より、自分の内から聴こえている。

頭の中が疑問符だらけになる瞬間、怜亜は意識の内側に引きずり込まれた。
そして、目を開けると自分自身が回廊で倒れているのが見えた。
更に後ろを振り返ると、おばあ様・・・というより若かりし日の夕鈴妃が佇んでいた。

『おばあ様??おばあ様ですのよね。でもそのお姿は一体・・・。』

怜亜の顔は、驚愕と歓喜に満ちていた。

『あら、怜亜の驚きはそっちなのね。』

フフッと柔らかく微笑む顔は、怜亜が覚えている優しいおばあ様と同じ表情だった。

『あの・・・おばあ様、ここは何処ですの?』
『怜亜・・・・・・・・・・まだ私には子供もいないのだから、そのおばあ様はちょっと。』
『ごめんなさい、でもなんとお呼びすればいいのかしら?』
『そうね~~夕鈴とでも如何?』
『・・・・・・・・私よりは年上ですよね。だから夕鈴姉さまっていうのはどうでしょうか?私には兄と弟は居ますが、姉妹は居ませんから。』
『そうして貰いましょうか。』

奇妙な会話は果てしなく続くのかと思われたのだが、二人の中で同意を得て決着した。

でも、子供もいないって・・・・父上にそれに叔母様方はどうなっているの??
それにそうしたら・・・私が孫の怜亜だって何故解るの??

怜亜の中で展開される疑問は一つずつ積み重なってきており、もう満杯になって溢れだしそうである。
そして、ぼんやりと映る眼下には倒れている自分の姿も垣間見える・・・・・これもどうにかしないと、侍女でもやってきたら大騒ぎになりかねない。

『あの夕鈴姉さま、訊きたい事がたくさんあるのですが、少々お尋ねしても宜しいのでしょうか?』
『ええ、どうぞ。大体は解るけど・・・。』
『では、まず・・・まだ子供は居ないとは?それだったらなぜ私が孫だと?
そして一番聞きたい事は、私はどうなってしまったのでしょうか?』

目の前の夕鈴姉さまは、ニッコリと微笑んだ上で訳知り顔でツトツトと説明してくれた。

『びっくりするかもしれないけど、私は今からそうね・・・ざっと50年程前から来たの・・・それも意識だけ飛ばされてね。
それにしても過去の私の身体はどうなっているのかしら?でも怜亜が存在しているのだから、一応無事なんでしょうね。
そして子供のことよね・・・あっちではまだ正妃になったばかりで、子供はおろか懐妊だってしてないわ。
でも怜亜の事やこれから生まれるであろう子供たちの事は、ここに飛ばされる際に沢山の映像が自分の中に飛び込んできて、取り敢えず未来・・・そう50年間で有った出来事を色々と理解したのよ。まぁざっとこんなものかしら・・・・。』

そして此処は何処なのか?
私はどうなっているのか?

重要な事を聞く前に怜亜の意識はまたふわりと浮かび、何かの力が働いている様に今度は外に飛ばされたのであった。

『まだ、話は終わってないと言うのに・・・・・まぁせっかちな事。
これも全ては仕組まれている事なのかしら・・・・あのお方によって。』

夕鈴は、はぁーーと溜息を洩らすと怜亜の核の中に潜り込む。

そう、夕鈴は全てが分かっていた。
何故自分が此処に呼ばれ、何をなすべきなのか?
そしてそれが終われば、何をしなければならないのかも・・・・・それまで、現在の自分には戻れないと云う事が。

そして怜亜に聞こえるかどうかの声で呟く。

『さぁ、貴女の恋の始まりですわよ。シッカリと掴みなさい・・・・もし手助けが必要な時には私を呼んでね。直ぐに出てくるから・・・それまでは貴女の中で休ませてもらうことにするから。』


怜亜の意識が徐々に戻ってきて目を恐る恐る開けてみると、眼の前で自分を凝視する二つの琥珀色の瞳が飛び込んできた。

「きゃあ~~~~~~~~~~~。」

余りの驚きに、怜亜は誰かが駆け付けて来てもおかしくない程の悲鳴を上げていた。

「あなた、誰よ!!私を誰だと思っているのよ。」

怜亜は相手に完全に警戒心を抱き、座ったままジリジリと後ろに下がって行く。
そんな怜亜の様子がさも可笑しいと云わんばかりに、男性はそっぽを向きつつも微かに笑っている。

なんなのよ、このヒトは!!!更に誰なのよ!
それになんで笑っているのよ?こんな失礼な男性は見た事無いわよ。

「何とか言ったらどうなのよ!!」

目の前の男性は怜亜のその言葉に呼応するかのように、今度は隠さずに『あはははは~』と声を立てて笑いだした。
その琥珀色の瞳にはうっすらと涙を浮かべて。

「何が、可笑しいのかしら??」

ひとしきり笑った男性は、人差し指の腹で滲んだ涙を拭きながら怜亜に向き合った。

「勇ましいね、アンタ。しかも面白いし・・・・退屈しなさそう。」

そう言うと手をヒラヒラと振って、立ち去ろうとしている。
その引き際の鮮やかさに思わず服の裾を掴んだ怜亜は、相手をジッと睨んで『まだ逃がさないわよ』と瞳で抗議する。

「まだ、私の質問には答えてないと思うけど。」
「ああそうだっけ、じゃあしょうがないなぁ。名前だけは教えとくよ。オレの名は洸迅(こうじん)だよ。じゃあな・・・絶叫のお嬢さん。」

怜亜が最後の言葉を頭の中で反芻している間に、気が付けば先程まで居た筈の男性の姿は影も形も見えなくなっていた。

「もう何なのよ、しっつれいな男。絶叫のお嬢さんって・・・・・冗談じゃない!!」


(うふふ・・・・怜亜ったら、これも運命の出会いだったりするのに・・・・人の出会いは一期一会。
大切にしないと駄目なのよ・・・)

夕鈴は、陛下との出会いを思い出していた。
割りのいい仕事があるとのことでやってきた王宮で、王座に座していた狼陛下。
恐くて怖くて・・・断ろうと再度戻ってみるとそこに居たのは、うって変わった別人のような小犬陛下。

あれから色々あって、今はあの方の正妃となった私。
これからもあの方と共に寄りそって生きていきたい・・・・・それには早くこの問題を解決していかないと!!
それにはまず怜亜の恋を。

夕鈴は怜亜の意識の奥で漂いながらこれからの事を考え、そして今はいない黎翔の事を愛しく想っていた。



続。
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瓔悠

Author:瓔悠

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