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【意味などとしての水入らず・11】 

【設定】

臨時妃 ・ 原作寄り ・ オリキャラ有り ・ 原作外設定有り






――― 一体今日って云う日は・・・・何なんだ。夕鈴は勝手に悠殿と行ってしまうし、金貸し君は不機嫌そうな顔でやって来てるし。

黎翔は次第にイライラ感に支配されていくのを、自分自身で感じていた。
何となく黎翔の様子がヘンだと感じた青慎は、おずおずと話しかけてみる。

「あの・・・李翔さん、几鍔さんのことは・・・?」
「ああ、知ってる。」
「そうですか・・・・何か、姉さんから聞いてますか?」
「夕鈴からは、金貸しの家の息子だと。」
「・・・・・・姉さんは逢えば喧嘩ばっかりしてて、目の敵にしてますけど、ホントは几鍔さんスッゴクイイ人なんです!!!誰もいない我が家を見回ってくれていたり、何かと面倒をみてくれるので。」
「そう、なんだね・・・・。」

隣りにいる黎翔は微笑んではいるが、その笑顔に何か違和感を感じて背筋に冷たいものが走る。
これ以上、この話題は振らない方がいいと直感的に感じて、青慎は静かに口を噤む。



そして、この下町の悪童を取り仕切る几鍔が、子分を従えて現れた。


「おう、青慎じゃないか!!元気か??」
「はい、元気ですよ。いつもウチの周りを、見回ってくれて有難うございます。」
「気にするなよ!!ついでだしな!!!」

そこで、几鍔は青慎の隣りに立つ黎翔に目が向く。
目を細めながら、黎翔に牽制をかける。

「おう、久々だな!!王宮のお役人ってのは、相変わらず暇なんだな・・・・・っと。あっん??じゃ、アイツと一緒なのは誰だよ。」
「アイツとは・・・?」
「色気のねぇ、馬鹿女だよ。」
「・・・・・・・・・姉さんが今一緒なのは、悠さんだと・・・思う。」

青慎がおずおずと会話に入り込んできた。
李翔と几鍔___二人の視線がかち合う所に火花が散っている様に見えたので、思い切って間に入ったのだ。

「悠???誰だよ、そいつ!!!またあの馬鹿女は、オトコに騙されているのかよ!!」
「騙すだなんて、人聞きが悪いな、金貸し君!!僕は夕鈴を騙したりしてないが。」
「はん???其れはどうだか!!」
「じゃ、聞くけど、一体君は夕鈴の何なんだ?」

ついに勃発。
そこに当事者の夕鈴はいないというのに、殴り合いにはならないものの男性二人の静かな闘いが始まったのだ。
そうならないように青慎が間に入ろうとしたが、それは徒労に終わってしまう。

「オレか?オレは幼馴染だよ。」
「夕鈴は認めてないようだが。」
「アイツが何と言おうと、幼馴染なんだよ!!!じゃあ、そっくりそのまま聞いてやるよ!!お前は如何なんだよ!!」
「夕鈴は大切な女性だ・・・私にとって。」
「それじゃ、答えになってない!!」
「あの・・・・・・・あの・・・・・・李翔さん、几鍔さん。ここは・・・・・・往来なんですが。」
「前にも言ったが、テメーはテメーの領域(テリトリー)で女を見繕えばいいだろ!!アイツにチョッカイ出すな!!」
「金貸し君に、そんなことを言う権限はないと思うが。」

二人は徐々にヒートアップしていく。
お互い、一歩も引く気配も無く。
正に一触即発。

勇猛果敢に声をかける青慎だが、二人は全く聞いちゃいない。
このままだと往来に人が集まってくる・・・・と周りの皆が思い始めたその時。

別の子分が息を切らし走り込んできた。

「几鍔さん!!!あっちで、殴り合いの喧嘩らしいっす!!!しかもいつもの隣街のガラの悪い連中が、暴れ回っているらしいです!!!」
「そうか、わかった!!!!まっ、そう云うことだから、オレは行くが、くれぐれもアイツに手を出すなよ。」
「ここでは・・・・・出さないよ。一人占めも出来ないのに。」
「ああ??なんか言ったか??」
「別に~~。」
「あっ、後・・・今一緒だとかいう男もどんなヤツかは知らねえが、
青慎!!!気をつけねぇと、アイツ、ボロボロにされちまうからな!!!」
「几鍔さん、有難うございます。でも多分、大丈夫です。ああ見えて、姉さんシッカリしてますから。」

その青慎の言葉を聞いて、安心したのか・・・・几鍔は振り向きもせずに、駆け抜けて行った。

「全く、嵐みたいだったね。」
「・・・・・はい。」

――いえ、几鍔さんだけのせいではないと。

青慎は、頬を引きつらせながら、笑顔を保っていた。
黎翔は言いたい事は言ったので、スッキリとしたのか晴々とした表情だった。


「くっしゅん!!!」
「大丈夫ですか?夕鈴さん。」
「はい・・・大丈夫ですけど、さっきから、くしゃみが止まらなくて。」
「それは誰かが、噂しているんですよ。夕鈴さんは可愛いって!!」
「そんなことは無いですよ~~~悠さまは褒めるのが上手いですね。でもきっと、何処かの誰かが悪口でも言ってるんですよ。」

夕鈴は当てずっぽうで答えてみたが、見事にまるで見て来たかのように言い当てていた。
本当に往来で自分の話題で男性二人が大喧嘩していた事を聞いたのは、夕方青慎と合流した後の事だったが。

聞いた瞬間、顔を真っ赤にさせて
「何、往来でそんなことを言い合っていたんです??恥ずかしいじゃないですか~~~!!!!」
と黎翔に大声で怒鳴ったのは言うまでも無い。


*******



几鍔来訪を感じとって、悠と手を取り合って逃げた夕鈴。
その後、往来で几鍔と黎翔が言い合いをしている事なんてトンと知ることも無く、人探しを続けていた。

「夕鈴さん、今度は誰に尋ねるのです??」
「商店会のおかみさんの世話役に聞こうと思います。」
「女性の事は女性に聞くのが一番です!!!・・・・だって、長老たちが知らないと為ると後はあの方々に聞くしかないもの。」
「お世話掛けます。この御礼は如何すればいいのでしょうか。」
「そっ、そんな、気にしないで下さい!!!私が気になってお手伝いしている事なのですから!!」

夕鈴は、隣りで深々と頭を下げる悠に恐縮する。
顔を見合わせニッコリ笑うと、二人は商店街の中心に建っている事務所を目指す。

「それにしても、あの二人は大丈夫なのでしょうか・・・・。」
「・・・・・・・えっ、あっ、そうだった!!置いてけぼりにしてたんですよね。まぁ、青慎もいることだから、だいじょう・・・ぶでしょう。」

アハハ・・・と乾いた笑いで誤魔化す夕鈴。
青慎が気を利かせてあの場をさっさと立ち去ってくれていればいいが、
陛下と几鍔が鉢合わせしていたら・・・・・考えたくない事態に夕鈴は頭(かぶり)を振る。

それを打ち消すように『さぁ、行きますよ~~』と悠の手を引き、先を急ぐ。
程なくして、目的地に着くと夕鈴は躊躇することなくと中に入っていく。
後からゆっくりと続く悠。

四半刻もしないうちに、肩を落として出て来た二人。
ここも空振りだった。

皆、口をそろえ『悠那という女性は、知らない』と判で押した様な回答が返ってきただけだった。

「はぁ~~~もう、お手上げです!!もうすぐ夕刻ですし、ウチに帰って夕餉でも食べませんか?それから明日の作戦を立てると云う事で!!!」
「それは構いませんが・・・・夕鈴さん、迷惑なんじゃ??」
「大丈夫ですよ!!恐らく李翔さんも召し上がっていかれると思いますし。」
「彼も、一緒に食べるんですか??」
「えっ、ええ。」

悠は、目を見開いて驚いていた。
狼陛下と異名を取る黎翔が、ただの庶民の家で食事を取っているとは全く想像もつかず。

悠は・・・夕鈴が仮であるが、黎翔の妃とは知り様も無く、下町での協力者だとしても黎翔が食事を共にするとは考えにくい事だった。

「では、一足先に戻りましょう。」
「はい・・・では宜しくお願い致します。」

二人は足早に家路につく。
背中に落ちゆく陽の光りを浴びながら。


家に戻るとまだ青慎たちは戻っておらず、静まりかえっていた。
取り敢えず悠を居間へと通し、長椅子を勧める。
そして、自分はお茶の準備を・・・と台所に去ろうとした。

その時。

後ろから長い腕が伸びてきて、去りゆく夕鈴を引き留めていた。
そう、夕鈴は悠に肩を抱かれてしまっていた。
夕鈴は、いきなりの行動に驚きながらも、気恥しさから頬が薄桃色に染まっていた。


「悠さま・・・・・・なっ、なにを!!」
「夕鈴さん、このままでいて。」
「で、でも!!」

逃れようとして、もがいてみても、そこは中性的にみえても悠は男性。
力強く抱かれていて逃れられない。

「夕鈴さん、僕の無理な願いに付き合ってくれて有難うございます。貴女のように、何の得もないというのにこんなにも親身になってくれる人なんて、僕の傍にはいないんです。皆、見返りを求めてばかり・・・・・だから、僕はそんな裏表のない貴女に惹かれているんです。僕の国に来ませんか?・・・・・・その、僕の唯一人の女性になってほしいんです!!」

「えっ、ええっ~~~そんな・・・・・。」

夕鈴は突然の悠の申し出に、なんと答えて良いのかわからなくなる。
背中から抱かれていることもあり、そのまま動けずカチコチになる。

「あのっっ!!そんな!悠さまに親身になってくれる人もいますよ。私じゃなく。」
「それって、ダメだってこと??」

「いえ、その・・・・・私、好きな・・・・人が・・・・いるんです。」

「そう、なんだ・・・・・その人とは将来の約束でもしているの?」
「それは・・・・・ないです。私が一方的に思っているだけで。」
「じゃあ、僕にもチャンスはあるよね!!!だって夕鈴さんの想いが叶わないことだってあるのだし。」
「――――。」

夕鈴は、少し面喰って瞳を見開く。
悠の積極的な一面を見てしまったと云う事や、諦めないと云われたことに対して、どう答えていいのかわからずに。

『ガラッ』

「ねぇさ~~~~ん、帰ってる???」
「青慎!!!」

玄関口から声が聞えて来た事に、ビックリして悠は夕鈴の肩から腕を外す。
やっと身体の自由を取り戻した夕鈴は、駆け足で玄関口に逃げて行く。

「あ~~あ、あと少しなのにね。でも、夕鈴さんの想い人って・・・黎翔殿ではないよね・・・・まさか・・ね。」

一人居間に取り残された悠は腕を組みつつ、自分的にはあってほしくない現実を考えていたのだった。





続。
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